言わずと知れたミュージカルの名作『ジキル&ハイド』。2001 年の日本初演以来、鹿賀丈史さん、石丸幹二さんが演じてきたヘンリー・ジキル/エドワード・ハイドを2026年公演では柿澤勇人さん、佐藤隆紀さんが演じます。本記事ではジキル・ハイド役を佐藤隆紀さん、ルーシー・ハリス役を和希そらさん、エマ・カルー役を唯月ふうかさんと新キャストが演じたゲネプロの様子をお届けします。

佐藤隆紀が対極的に魅せる、圧倒的な善と底知れぬ悪

R.L.スティーヴンソンの原作小説「ジキル博士とハイド氏」をもとに、フランク・ワイルドホーン氏が音楽を手がけたミュージカル『ジキル&ハイド』。1人の俳優が正義を貫くジキルと凶暴なハイド、相反する2役を演じる本作は、世界中で愛されてきました。

2026年日本公演では山田和也さん演出の元、新セット・新演出にて上演されます。注目の新セットはジキルの実験室を含め全体的に洗練されたデザインに。豪華絢爛な舞台装置は減ったものの、盆(回転舞台)を据えたことや白黒の階段セットなど、視覚的にも本作の物語性を伝えるのが印象的です。

今回から新たにジキル・ハイド役を演じる佐藤隆紀さんはその歌唱力を遺憾なく発揮し、前半ではジキルをとことん清廉で崇高な医者として描きます。その歌声と新セット・照明が相まって、名曲「時が来た」は神秘的な美しさです。

曇りなき希望溢れる姿が印象的だったが故に、豹変したハイドの姿は衝撃。同人物だとは思えないからこそ、ハイドが正体不明のまま暗躍し、ロンドンの街を恐怖に陥れていく様が理解できます。

またこんなにも善良に見えるジキルの奥底にも、ハイドが生まれるような闇があったのかと思うと、人間の恐ろしさにゾッとします。

エマ役の唯月ふうかさんも佐藤さんのジキル像に呼応するかのように、とことん愛情深く、とことん清らかに。美しい高音を響かせ、愛を持ってジキルを信じ続けます。周囲の声に惑わされずにジキルを見つめ、「あなたはあなたのやり方でやれば良い」と伝えられる芯の強さも魅力的です。

ルーシー役の和希そらさんはハスキーな歌声がエマ役の唯月さんと対照的な存在感を放ちます。一方で、ジキルの優しさに触れて恋を知るにつれて少女のような可憐な声、表情を見せるため、その後の展開に胸が詰まります。

ジキルは人間の善意と悪意を分け、悪意だけを取り除くことができると信じていました。そうすれば、戦争はなくなり、社会で追いやられる人はいなくなり、父を救えるのではないかと。

しかしどんな人間にも悪意は存在します。それを無くすことはできない。ではどうすればより平和な世界がつくられるのでしょうか。ジキルとハイドはまさに今、私たちに問いかけています。

撮影:蓮見徹

開幕コメント到着

柿澤勇人
新演出のミュージカル『ジキル&ハイド』が開幕致しました。前回、3年前の公演とは大きく変わっておりますが、先輩方から引き継ぎました財産を糧に、大事に、大切に、リスペクトしながら新たなカンパニーでエネルギッシュなパッション溢れる作品にしていきたいと思います。最後まで駆け抜けます。劇場でお待ちしております。

佐藤隆紀(LE VELVETS)
挑戦したいと願い続けてきた『ジキル&ハイド』。ついに初日を迎えます。稽古期間は、とても大きな発見や気づきの多い濃い時間となりました。演出の山田和也さんはじめ、演出助手、音楽監督、歌唱指導、振付、アクション、それぞれの先生方から沢山の助言をいただき、それを形にするために試行錯誤する日々でした。なかなか思う様に出来ず悩む毎日でしたが、ひとつずつ壁を乗り越え、今は公演をお届けするのが待ち遠しく、楽しみに思えています。皆様の記憶に残る舞台を全力でお届けしたいと思います!

真彩希帆
ミュージカル『ジキル&ハイド』がいよいよ開幕します。善と悪という、人の中にある二面性を描いたこの作品の世界に、ルーシー・ハリスとして生きられることをとても幸せに感じています。過酷な環境の中でジキルと出会い、愛を知り、光を求めて生きようとするルーシー。その魂の美しさを精一杯お届けしたいです。エネルギッシュな音楽と共に、この作品が皆さまの心に強く残る時間になりますように。劇場でお待ちしています。

和希そら
2026年『ジキル&ハイド』いよいよ開幕です。今回からの新演出版ということで、歴史ある作品の新たな幕開きに胸が高鳴ります。そしてあっという間の公演期間。きっと一瞬で過ぎ去ってしまうことでしょう。一回一回を大切に、全身全霊でルーシーを生き抜きたいと思います。皆様、ぜひ楽しみにいらしてください。

Dream Ami
長いようで短かった稽古は、それはそれは学びしかない全集中な期間でした‼作品にかける皆さんの熱い想いと情熱を私も感じながら、エマへの理解を深めてまいりました。愛の深さ、信じ抜く力、誰にも惑わされないヘンリーへの愛を、舞台上でも存分に発揮できればと思います。まるでアトラクションのような、臨場感溢れるジキルの実験を、皆さんにも劇場で体験していただけたら嬉しいです!

唯月ふうか
いよいよ開幕します。新演出ということで、カンパニー全員で様々な演出を”実験”してきて、そんな日々がとても濃く充実していました。今まで以上に、自分の声と向き合ったと思います。先輩方が繋いで下さったエマを受け継ぎつつ、少しでも自分らしいエマを見つけて届けられるように、誠心誠意努めます。誰よりも深い愛で包み込みます。楽しんで頂けますように。

Yurika

個人的に新セット・新演出と新キャストを見て感じたのは、「なんて美しい作品なんだろう」ということでした。2階から見たのでよりセットや照明の美しさを感じましたし、キャスト陣の歌声の美しさも印象的でした。これまでは人間の愚かさや哀しみが強く残っていたので、新たな角度から本作を観られた気がしました。