演劇・ミュージカル界において世界最高峰の栄誉とされる「トニー賞」。2026年も授賞式が開催され、ブロードウェイを彩った数々の名作やクリエイターたちが一堂に会しました。「第79回トニー賞」の受賞結果と受賞作品をご紹介します。

アメリカ演劇界で最も権威のある「トニー賞」とは?

「トニー賞」は、アメリカの演劇およびミュージカルにおける最高の栄誉とされ、世界最高峰の演劇賞として知られています。映画の「アカデミー賞」、音楽の「グラミー賞」、テレビの「エミー賞」、文学・戯曲の「ピューリッツァー賞」と並ぶ、アメリカエンターテインメント界の有名アワードです。

1947年に創設され、ブロードウェイの発展に大きく貢献した女優・演出家のアントワネット・ペリーにちなんで名付けられました。実は「アントワネット・ペリー賞」という正式名称があります。

賞の対象となるのは、ニューヨークのオン・ブロードウェイの劇場で、期間中に開幕した新作や再演(リバイバル)のプロダクションです。作品や出演キャストはもちろん、脚本家や作曲家、演出家、さらには音響や照明といったクリエイティブ・スタッフに至るまで、舞台に関わる多くの功績を表彰します。

毎年6月に開催される授賞式は、賞の発表にとどまらず、ノミネート作品の名場面のライブや、豪華絢爛なステージパフォーマンスが盛り込まれ、ブロードウェイのシーズンを締めくくるセレモニーとなっています。

「第79回トニー賞」受賞作品は?

今回のトニー賞は、注目作が主要部門を分け合うという見応えのある結果になりました。

『シュミガドーン!』パフォーマンス
写真:GettyImages

ミュージカル作品賞に輝いたのは、最多12ノミネートを獲得していた『シュミガドーン!』です。Apple TV+の同名人気ドラマを舞台化した『シュミガドーン!』は、カップルが迷い込んだ町「シュミガドーン」で『オクラホマ!』『回転木馬』『ミュージックマン』『サウンド・オブ・ミュージック』など1940年代から50年代に上演されたミュージカルにそっくりの登場人物たちに出会うというパロディ作品。ミュージカル脚本賞、オリジナル楽曲賞、オーケストラ編曲賞の計4部門を制覇しました。

ミュージカルリバイバル作品賞『ラグタイム』
写真:GettyImages

また、日本でも2023年に上演されて話題を呼んだ『ラグタイム』が、ミュージカル・リバイバル作品賞を受賞。主演男優賞(ジョシュア・ヘンリー)、主演女優賞(ケイシー・リーヴィ)、音響デザイン賞(カイ・ハラダ)の4部門を獲得しました。日系アメリカ人のカイ・ハラダさんは「受賞をとても誇りに思います。日本のみなさんに喜びを伝えたかったです。私にとって大きな名誉です」とコメント。

ジョシュア・ヘンリーは受賞スピーチで「(コールハウスは)芸術によって愛と夢を見つけた黒人音楽家です。彼は試練を乗り越えて声を届けました。声を届けるために芸術家として闘い、闘い、闘い続けましょう」と涙声ながら熱い思いを語りました。

アメリカンドリームの光と影、人種・移民・階級社会といったテーマに真っ向から切り込んだ作品が、分断が進む現代のアメリカで“今再演されるべき作品”として評価される形となりました。

ケイシー・リーヴィ『ラグタイム』(ミュージカル主演女優賞)
写真:GettyImages
ジョシュア・ヘンリー『ラグタイム』(ミュージカル主演男優賞)
写真:GettyImages

助演男優賞(アリ・ルイス・ブルズギ)、助演女優賞(ショシャナ・ビーン)など4部門で受賞を果たしたのは『ロストボーイ』。日本で1980年代にカルト的人気を集めたヴァンパイア映画がもとになった作品で、なんとブロードウェイ史上2番目に高い製作費をかけて製作されたそう。3階建ての巨大セットと圧巻のフライング演出が話題となりました。

『キャッツ:ザ・ジェリクル・ボール』は、ミュージカル演出賞(ジェイロン・レヴィングストン&ビル・ローチ)、ミュージカル振付賞(オマリ・ワイルズ&アルトゥーロ・ライオンズ)、ミュージカル衣裳デザイン賞(クイーン・ジーン)の3部門に輝きました。大人気ミュージカル『キャッツ』をLGBTQ+コミュニティによって生まれたボールルームカルチャーの視点で再構築した作品。劇中に立ち上がって喝采を送ったり、扇子を鳴らしたりとコンサートのような盛り上がりを見せる異質な作品となっています。カイ・ハラダさんは、本作でも音響デザインを担当しています。

演出賞を受賞したジェイロン・レヴィングストン&ビル・ローチは受賞スピーチで「周りになじめていない12歳の子がこの番組を寝室でこっそり観ているかもしれません。ぜひ居場所を見つけにきて」とメッセージを贈りました。

演劇部門では、ネイサン・レインが主演したアーサー・ミラーの不朽の名作『セールスマンの死』が圧倒的な存在感を発揮しました。演劇リバイバル作品賞、演劇演出賞(ジョー・マンテロ)、助演女優賞(ローリー・メトカーフ)など、最多6部門を受賞。ジョー・マンテロは「まるで昨日書かれたかのよう」と本作の時代を超えたメッセージを語りました。

演劇リバイバル作品賞『セールスマンの死』
写真:GettyImages

そして演劇作品賞に輝いたのは、女性解放運動をテーマに描いたベス・ウォールの『リベレーション』でした。ピューリッツァー賞も受賞した注目作です。アメリカ人女性作家の作品が同部門を受賞するのは1989年以来、実に37年ぶりとのこと。ベス・ウォールは受賞スピーチで「勇気を持って声を上げる女性たちを称えます。女性の皆さん、あなたたちが語る真実に耳を傾ける世であらんことを!」と力強く呼びかけました。演劇界に新たな一歩を刻む授賞式となったのではないでしょうか?

演劇作品賞『リベレーション』
写真:GettyImages

そのほか、演劇主演男優賞にジョン・リスゴー(『ジャイアント』)、演劇主演女優賞にレスリー・マンヴィル(『オイディプス』)、演劇助演男優賞にオールデン・エアエンライク(『ベッキー・ショー』)が選ばれました。

<主な部門受賞結果>
ミュージカル作品賞:『シュミガドーン!』
演劇作品賞:『リベレーション』

ミュージカル・リバイバル作品賞:『ラグタイム』
演劇リバイバル作品賞:『セールスマンの死』

ミュージカル演出賞:ジェイロン・レヴィングストン&ビル・ローチ『キャッツ:ザ・ジェリクル・ボール』
演劇演出賞:ジョー・マンテロ『セールスマンの死』

ミュージカル主演男優賞:ジョシュア・ヘンリー『ラグタイム』
ミュージカル主演女優賞:ケイシー・リーヴィ『ラグタイム』

ミュージカル助演男優賞:アリ・ルイス・ブルズギ『ロストボーイ』
ミュージカル助演女優賞:ショシャナ・ビーン『ロストボーイ』

演劇主演男優賞:ジョン・リスゴー『ジャイアント』
演劇主演女優賞:レスリー・マンヴィル『オイディプス』

演劇助演男優賞:オールデン・エアエンライク『ベッキー・ショー』
演劇助演女優賞:ローリー・メトカーフ『セールスマンの死』

「第79回トニー賞授賞式」はWOWOWでチェック!

『第 79 回トニー賞授賞式』オープニングパフォーマンス P!NK
写真:GettyImages

世界最高峰の熱気に包まれた「第79回トニー賞授賞式」の模様は、WOWOWで独占配信されています。

今回の授賞式で司会を務めたのはグラミー賞歌手のP!NK(ピンク)さん。ブロードウェイ未出演ながらオープニングアクトでいきなりピーターパンに扮して「I’m Flying」をフライングで熱唱するなどミュージカル愛をアピールした後、ブロードウェイスターたちと『ムーラン・ルージュ!』「Lady Marmalade」を披露。トニー賞ノミネート作品を紹介しながら、「こんな世の中だけれどこのコミュニティを祝おう」とアメリカの社会情勢を反映させた歌詞も。圧巻のパフォーマンスで冒頭から大熱狂の会場となりました。

『シカゴ』パフォーマンス P!NK
写真:GettyImages

さらに、『シカゴ』『コーラスライン』などの人気ナンバーが次々と披露されるなど、この場所でしか見られない特別なステージパフォーマンスが満載です。

日本のスタジオからは、ナビゲーターの井上芳雄さんと宮澤エマさん、スペシャル・サポーターの京本大我さんらが、ブロードウェイの最新トレンドや作品の魅力を深く熱く解説。現地の興奮がさらに身近に感じられることでしょう。

感動の受賞スピーチや奇跡のライブパフォーマンスを、言葉の壁なくじっくり堪能できる「字幕版」は、WOWOWオンデマンドで配信されます。ニューヨークの最先端エンターテインメントが気になった方は、ぜひチェックしてみてください!

WOWOWオンデマンドの配信視聴はこちら<PR>