ミュージカル好きに「次に映画化してほしいミュージカルは?」と尋ねると、必ず耳にするタイトルが『ウィキッド』です。『ウィキッド』は児童文学『オズの魔法使い』のアナザーストーリーであり、悪者の魔女のエルファバと良い魔女のグリンダの友情を描いたブロードウェイミュージカル。ドラマチックな楽曲と深みのあるストーリーが人気を博し、過去には劇団四季のロングラン公演の演目としても親しまれていました。そんな『ウィキッド』が、待望の映画化!2021年12月現在でわかっている『ウィキッド』映画版の最新情報をお届けします。

10年以上の時を経て、ようやく始動

『ウィキッド』が映画化されるというグッドニュースが最初に伝えられたのは、なんと2004年。ミュージカルの初演が2003年なので、舞台のヒットを受けてすぐに映画化の話が出たということになります。しかし企画は頓挫を繰り返し、なかなか映画化は実現しませんでした。

2016年にようやく制作元であるユニバーサル・ピクチャーズが「2019年12月20日に公開する」と発表するものの、結局同社は『キャッツ』映画版の制作を優先。それに伴い『ウィキッド』の公開は2021年12月に先延ばしになりましたが、今度は新型コロナウイルスの影響で撮影が延期になってしまいました。

何度も公開と延期の発表を繰り返していた映画版『ウィキッド』。2021年11月5日に、メインキャラクターであるエルファバとグリンダのキャスティングが発表され、ようやく具体的に始動したのです!

悪い魔女・エルファバ役はシンシア・エリヴォ

主人公である西の悪い魔女・エルファバ役に抜擢されたのは、ミュージカル界のスーパースターであるシンシア・エリヴォ。シンシアはイギリス出身の歌手兼女優で、2011年には『シスター・アクト』の英国ツアーで主人公のデロリス役を務めました。

2013年からはオフ・ウエスト・エンド発祥のミュージカル『カラーパープル』に主役セリーとして出演。優しくもメッセージ性の強い歌声が話題を呼び、同作のブロードウェイ進出時には、歌唱中にスタンディングオベーションが起こりショーストップになるほど。シンシアはセリー役でトニー賞主演女優賞をはじめとする数々の賞を獲得し、ミュージカル界の新生スターとして名を馳せました。

エルファバといえば、彼女が歌う「Defying Gravity」を真っ先に思い浮かべます。オズの社会を統制する不吉で大きな力に抗い、エルファバが自分の進むべき道を見出すこのナンバーは、作品の中でもメッセージ性が強いナンバーの一つ。映画館の巨大なスクリーンと圧巻の音響設備のなかでシンシアの「Defying Gravity」が聴けると思うと、想像しただけで武者震いのような魂を揺さぶられる感覚になります。

善い魔女・グリンダ役はアリアナ・グランデ

もう1人の主人公である南の善い魔女・グリンダ役には、世界的ポップスシンガーのアリアナ・グランデが選ばれました。2011年に歌手デビューをして以来、アメリカンミュージック・アワードやビルボードなど、あらゆる音楽チャートにノミネートされているアリアナ。実は歌手活動をする前は、ブロードウェイのミュージカルに出演したこともあります。

ティーンの頃にドラマや舞台で女優業をしていたアリアナは、大のミュージカル好き。2018年にアメリカで放送された『ウィキッド』15周年を記念する番組では、緑のドレスを身にまといエルファバのナンバーである「The Wizard and I」を披露しました。

ちなみに、アリアナは2012年にシンガーソングライターのミーカのシングル「Popular Song」の歌唱にも参加。『ウィキッド』の劇中でグリンダが歌うナンバー「Popular」をベースに作られた曲です。今からでも、キラキラと輝くドレスを着たグリンダにふんするアリアナの姿が思い浮かびますね。

さきこ

『ウィキッド』映画版の公開日や他のキャストについては、未発表のまま。名作ミュージカルの映画化ラッシュが続く近年、『ウィキッド』は間違いなく全世界が待ち望んでいた注目のミュージカル映画でしょう。歌唱シーンやファンタジックなオズの世界、映像化されるのが待ち遠しいですね。