記憶喪失という設定は物語ではありがちなパターン。けれど、現実の生活でそういった症状になった時、その人は何を感じ、どのように世界を理解していくのか。そして、周りで支える人たちの葛藤は。実際に記憶喪失という経験をした方の手記をベースにしたミュージカル『COLOR』が9月に上演されます。

ドラマにもなった手記「記憶喪失になったぼくが見た世界」をミュージカル化

ミュージカル『COLOR』の原作は「記憶喪失になったぼくが見た世界」。交通事故で若くして記憶喪失になった坪倉優介さんが実体験を綴った書籍で、これまでにもドラマ化されるなどメディアでも取り上げられてきた感動作です。

困難を乗り越え、草木染作家として活躍するまでのノンフィクションの物語。ミュージカル化するにあたって、本に書かれたエピソードに加えて、制作チームが坪倉さん自身に取材して明かされたお話にも発想を得て、記憶喪失の青年が新しい人生を歩む姿を舞台上で描きます。

楽曲を手掛けるのは、「トイレの神様」で脚光を浴び、ニューヨークと日本で活躍するシンガーソングライターの植村花菜さん。編曲・音楽監督には、バークリー音楽大学出身で作曲・演奏家として活躍する木原健太郎さんが名を連ねました。今回が初のミュージカル作品となるお二方が、記憶喪失という特異な経験を乗り越える人間ドラマを歌と音楽で表現します。脚本には『アナと雪の女王』の訳詞や『生きる』、『バケモノの子』(劇団四季)など数々の新作ミュージカルを手掛けてきた高橋知伽江さん。演出にはミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(劇団四季)を手掛けた小山ゆうなさんと、盤石なスタッフ陣が揃いました。

難しい人間ドラマを演じる舞台上の化学反応。色の違いを楽しめるダブルキャスト

物語の主人公は18歳の美大生だった”ぼく”。ある日交通事故に遭ったぼくが昏睡から目を覚ますと、それまでの人生の記憶が何もかも失くなっていました。記憶喪失と言ってもその症状、深度はさまざまだそうですが、ぼくは自分という人間の記憶を失ったうえ、食べる、眠るなど、生きる感覚さえ分かりません。

めのまえにあるものは、はじめてみるものばかり。
これからなにがはじまるのだろう。

全てが新しく見えるまっさらな状態から、やがて草木染職人として自立していく、たくましい物語を”ぼく”と“母”、そして“大切な人たち”という3役が言葉と歌で紡ぎます。

役者3人という緊張感あるミュージカルに出演するのは、歌、芝居ともに定評のある豪華キャスト。ぼく/大切な人たちは浦井健治さんと成河さんの2人が役代わりで演じ、母は濱田めぐみさんと柚希礼音さんが交代で演じます。

ぼくと母はそれぞれ、浦井さん×柚希さん、成河さん×濱田さんという組み合わせで上演。生きることを一から捉えていく青年の心の機微や母と子という強い関係性など、それぞれのペアで化学反応の違いを感じられるキャスティングになっています。一足早く2組の親子を見ることができるプロモーションビデオやポスタービジュアルは要チェックです。

知ればもっと公演が楽しみになる!ミュージカル制作の裏側情報や制作日記を発信中

この新作ミュージカルの最新情報は『COLOR』Twitterアカウントにて発信中。キャストの顔合わせやメディア掲載情報などと合わせて、上演がさらに楽しみになる情報やスタッフ日誌が更新されています。

ホリプロステージのnoteでは、ステイホーム期間に原作を手に取りミュージカル化を構想した本作のプロデューサー(通称カラP)の制作日誌を公開中。作品を構想する段階からキャスト・スタッフへのオファー、出来上がった台本第1稿を手に取った時の感動など、作品にかける思いを垣間見ることができます。

7月6日(水)からチケット一般発売開始!20歳以下の方にお得な情報も!

ミュージカル『COLOR』は東京・新国立劇場小劇場にて2022年9月5日(月)から9月25日(日)まで上演予定。チケットの一般発売は7月6日(水)11:00から開始します。東京公演に続き、大阪・サンケイホールブリーゼ、愛知・ウィンクあいちでも上演予定。こちらのチケット7月9日(土)10:00より一般発売開始です。

東京公演では、観劇当日に20歳以下の方にはお得にチケットが手に入るYシートという制度もあります。ホリプロ主催のミュージカルに導入されるこの制度は、座席指定ができない代わりに格安で公演を楽しめる、若者の特権です。

Yシートの予約は7月11日(月)から17日(日)まで。この作品で主人公が失ってしまう、生まれてから18歳までの記憶。まさにその記憶とともに生きている若い方に、作品が届くきっかけになればと思います。チケット販売の詳しい情報はこちらの作品ホームページをご覧下さい。

Sasha

インタビューなどを読んでいると、出演者自身もとてもこの作品の制作過程を楽しんでいる様子が伺えます。記憶、というとても比重の重いテーマ。3人キャストという削ぎ落とされた舞台空間に、音楽の力がどう作用していくのか。とても楽しみにしている公演です。