新進気鋭の映画監督・山内ケンジさんの最新作『夜明けの夫婦』が、7月22日(金)より劇場公開。それに伴い、7月9日(土)〜18日(月)に長編3作と舞台公演3作の『山内ケンジ特集上映』の開催が決定しました。

最新作は現代の家族を描いた『夜明けの夫婦』

『夜明けの夫婦』は、コロナ禍もようやく一応終息を迎えた日本を舞台に、1階に老夫婦、2階に息子夫婦という二世帯住宅で暮らす家庭を描きます。息子夫婦は、孫を強く望む姑のプレッシャーに晒されながら生活する日々。「子供を作りたいのか、作りたくないのか、作れないのか、作らないのか」。現代社会の家族の在り方や、生き方を描いた作品です。

かつては自由主義で生徒に支持される教師だった姑ですが、姑の夫に、韓国人の嫁・さらのことを人種を理由に「話が通じない」という差別的な内容の発言をする場面があります。また、さらの職場の韓国人の同僚が「自分と同じ思いはさせたくないから子供は作らない」と話し、生きづらさを吐露するシーンも。


家族像に対してだけでなく、コロナ禍で変化した人間関係や、ハラスメント、男女の問題、人種の問題など、現代の様々な問題が提起されている作品となっています。7月22日(金)より新宿ピカデリー、ポレポレ東中野、下北沢トリウッドほかで上映が開始されます。全国順次公開予定です。公式HPはこちら

劇作家としても活躍する山内ケンジ監督が魅せる会話劇

『夜明けの夫婦』で監督・脚本を務める山内ケンジさん。CMプロデューサーとしてソフトバンクモバイルのCM「白戸家」を手がけ、演劇プロデュースユニット「城山羊の会」の劇作家・演出家として第59回岸田國士戯曲賞を受賞するなど、映画監督だけでなく多彩な才能で活躍しています。

2011年に『ミツコ感覚』で長編映画監督デビュー。『友だちのパパが好き』や、『At  the  terrace テラスにて』等に続いて、長編映画では4本目の監督作となります。『友だちのパパが好き』での“親友の父親を好きになった女子大生”といった独特なキャラクターや、山内監督が演劇作品の創作もしていることから、会話の間合いや俳優の表情で魅せる演出が特徴です。

『At  the  terrace テラスにて』は、特に会話劇が特徴的な作品。山内監督自身が執筆し岸田國士戯曲賞を受賞した『トロワグロ』という戯曲を映画化しました。豪邸で開かれたホームパーティーが終わり、来客が帰り始めた頃にテラスで起こった男女7人の約90分間に渡る騒動を描いています。

舞台公演も併せて上映される貴重な機会「山内ケンジ特集上映」

山内ケンジ監督の最新作『夜明けの夫婦』の公開を記念して、「山内ケンジ特集上映」の開催が決定しました。7月9日(土)から、これまでの監督長編『ミツコ感覚』(2011)、吹越満さんと岸井ゆきのさん共演の『友だちのパパが好き』(2015)、公開時には満席が続いた『At  the  terraceテラスにて』(2016)の3作品。そして、舞台公演は“城山羊の会”で上演された直近3作『埋める女』(2018)、『石橋けいのあたしに触らないで!』(2020)、『ワクチンの夜』(2021)が上映されます。

舞台公演は初の映画館上映!今後も配信予定はないため、今回の上映が鑑賞できる貴重な機会となっています。2作品鑑賞すると割引されるお得な鑑賞方法も。また、山内ケンジ監督と出演者による舞台挨拶も開催が予定されています。
特集上映イベントは、下北沢トリウッドにて、7月9日(土)から7月18日(月・祝)まで上映されます。(火曜日が定休日になります。)詳しくはこちらから。

ミワ

子供を持つかどうかの選択を含め、現在では様々な家族の在り方、生き方があります。監督が男性ということもあり、男性視点で描かれている印象はありましたが、『夜明けの夫婦』は現代の問題を真っ向から描いていて、考えさせられる作品でした。ぜひ、他作品も併せて映画館でご覧ください。