2023年にはミュージカル『マチルダ』の日本初上演が決まっています。『マチルダ』では、主人公の天才少女マチルダをはじめ、彼女のクラスメイトたちも大活躍。今回は、子どもたちが大活躍するミュージカルをまとめてみました。

夢を諦めないことの大切さ『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』

ビリー・エリオット』は、人気映画『リトル・ダンサー』をミュージカル化した舞台。楽曲は『アイーダ』や『ライオンキング』の作曲を手がけたエルトン・ジョンが担当しました。

2005年5月にロンドンで開幕、翌年ローレン・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞・最優秀作曲賞を含む4部門を受賞。2008年にブロードウェイに進出し、翌年のトニー賞で最優秀ミュージカル脚本賞・最優秀ミュージカル演出賞など10部門で受賞しました。ミュージカル版の演出は、映画に続き、名匠スティーヴン・ダルドリーが担当しました。2017年に日本初上陸。公演は大好評を博し、読売演劇賞 審査員特別賞、菊田一夫演劇大賞などを受賞し、2020年に再演されています。

バレエダンサーを目指す少年のストーリー『ビリー・エリオット』。11歳のビリー・エリオットは、炭鉱夫の父と兄、祖母の4人で暮らしています。炭鉱不況の真っ只中で、ビリーの父親と兄のトニーはストライキに参加する日々。ライト級チャンピオンボクサーの大ファンだった父親はビリーをチャンピオンボクサーに育てることを夢見ています。
しかし、ビリーはボクシングの練習リングの隣で行われているバレエ教室に興味を惹かれ、父親に内緒で、少女たちに一人紛れてレッスンを受け始めます。バレエダンサーを夢見るビリーですが、当時は男性がバレエをすることが周囲から理解されず葛藤するのでした…。

日本での上演時も、オーディションで物語の中心を担う、夢を追う少年ビリーと彼を応援する親友のマイケルの2役がそれぞれ4人ずつ選ばれました。

抑圧された環境でロックの開放的に魅了される『スクール・オブ・ロック』

続いてご紹介するのはアンドリュー・ロイド=ウェバーの人気ミュージカル作品『スクール・オブ・ロック』。ロックを愛するギタリストのデューイは、身勝手なパフォーマンスからバンドをクビになり、親友のネッドとルームシェアしていた部屋は家賃の滞納で追い出されてしまいます。そんな時、ネッド宛てにかかってきた、名門ホレス・グリーン学院からの臨時教師依頼の電話をデューイが取ります。高い給料と知り、デューイはネッドになりすまして臨時教師をすることに。

名門校に通っていますが無気力な生徒たち。デューイは自分のクラスの生徒たちに音楽の才能を見出します。そして、子どもたちとバンドを組んでバンドバトルに出場することを決めると、授業と称してロックを教え始めます。戸惑っていた子どもたちも、いつしかロックの開放感とデューイのありのままの自分達を認めてくれる姿に惹かれていきます。

2003年、ジャック・ブラックが主演し、ロック映画の金字塔となった映画『スクール・オブ・ロック』は、2015年にミュージカル化されました。ブロードウェイでの開幕の翌年、2016年にはイギリス・ウエストエンドでも開幕した人気作品です。『オペラ座の怪人』『キャッツ』など世界的大ヒット作品を手掛けたことで知られている作曲家のアンドリュー・ロイド=ウェバーがプロデュースと音楽を手掛けました。脚本はドラマ「ダウントン・アビー」やミュージカル『メリー・ポピンズ』のジュリアン・フェロウズ、作詞はディズニーミュージカル『リトル・マーメイド』や映画『塔の上のラプンツェル』のグレン・スレイターと豪華クリエイター陣が集結しました。

2020年に日本初上陸を果たすも、新型コロナウイルスの蔓延により、公演中止に。生徒役のメインキャストは、公募によるオーディションが開催され、応募者1,565名から、厳しい審査に勝ち残った24名が生徒役に決定していました。

逆境に負けず希望を持って生きる『アニー』

最後にご紹介するのは、誰もが知っているであろうミュージカル作品『アニー』。物語の舞台は1933年世界恐慌直後のニューヨーク。11歳のアニーは、赤ちゃんの時に孤児院の前に置き去りに。しかし、いつか両親が迎えに来ることを信じて、前向きに生きています。


ある日、アニーは大富豪オリバー・ウォーバックスの秘書グレースに気に入られ、クリスマスの2週間をウォーバックスのもとで過ごすことになります。アニーを養女にしたいと思うようになるウォーバックスと、本当の両親と暮らす夢を諦めないアニー。真っ直ぐなアニーの気持ちに打たれたウォーバックスは、懸賞金をかけて彼女の両親を捜すことに。しかし、それを知った孤児院の院長ハニガン、その弟のルースターと恋人のリリーは、懸賞金目当てに悪だくみを始めます…。

1976年にアメリカではじめてミュージカル『アニー』が上演されました。1977年にブロードウェイ進出。トニー賞で作品賞をはじめとする7部門を受賞。1983年までの6年間のロングラン公演を行いました。


日本では1978年に初演、1986年から毎年上演が始まって今年で37年目を迎えます。毎年オーディションで主役のアニーを初め、孤児院の女の子6人とダンスキッズがダブルキャストで選ばれます。毎年9,000人ほどの応募があり、アニーを目指すには約4500倍の倍率とも言われています。

そして2023年の春に東急シアターオーブでの上演が決まっている『マチルダ』。抑圧された環境にいる子どもたちが、マチルダの持つ特殊な能力で、悪い大人たちをギャフンと言わせる痛快なミュージカル作品。日本初演となる今回は、主人公のマチルダをはじめとした生徒役の子役キャストが、今夏一般オーディションで選ばれます。ミュージカル『マチルダ』公式サイトはこちら

ミワ

夢を持って、なんにでもなれる可能性を秘めている子どもたち。彼らが演じるからこそ、真っ直ぐにこちらに伝わってくるものがあります。どれも大切な役柄です。