オフィスビルで行われる夏のカラオケ大会を舞台に、社員たちの人間ドラマと、予想外のトラブルに奔走する運営スタッフを描いた舞台『SHINE SHOW!(シャイン・ショウ!)』。宝塚歌劇団で花組トップ娘役を務め、ミュージカル『ザ・ミュージック・マン』での好演も記憶に新しい花乃まりあさんが本作で挑むのは、元アイドルでカラオケ大会に出場する会社員。本作の魅力や意気込み、また宝塚で培ったことを伺いました。(作品についてはこちら

元アイドル、自己顕示欲が爆発するあかねを「振り切って演じたい」

−社員のカラオケ大会が舞台という、今まで演じられてきた作品とは異なる、より現代的な作品となっていますね。
「今まで出演させていただいたことのないジャンルの作品なので、とても楽しみです。先日まで出演していたのがミュージカル『ザ・ミュージック・マン』だったこともあって、役名や舞台が日本ということも新鮮です。全然違った役柄に挑戦できるのは、役者冥利に尽きますね」

−台本を読んでみていかがでしたか?
「スピード感のある作品だなという印象を受けました。色々な登場人物に色々な出来事が起こっていくので、お客様は息つく間もなく楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。毎公演終わるたびにスカッとした気持ちになりそうです」

−花乃まりあさんは、アイドルグループの元メンバー・琴浦あかねを演じられます。
「元アイドルというのは今までやったことない役柄で、舞台でアイドルソングを歌うのも初めてです。自分自身とアイドルとが結びつかなくて、宝塚時代もいわゆるアイドル的な娘役ではなかったので、新境地だなと思います。あかねは元アイドルという一面と、欲求が爆発している部分との二面性が面白いキャラクターで、コメディは大好きなので、振り切って演じていきたいです」

−あかねに共感できる部分や共通点はありますか?
「女の子らしいものが好きなのは通ずるところがありますね。自己顕示欲は自分ではさほど強くないと思っていますが、この仕事をしているという意味では根底で共感できることがあるかもしれませんね(笑)。彼女は自己顕示欲を隠しているつもりだけど、隠せていないのはキュートな部分であり、羨ましい部分でもあります」

−あかねの他にも、個性的なキャラクターが登場する作品ですね。
「本当に個性豊かですよね。ポスタービジュアルを見て頂いても分かる通り、様々な色が混ざり合う舞台になっていくと思います。私自身もすごく楽しみです」

−宝塚の先輩であり、共にミュージカル業界でご活躍中の朝夏まなとさんとの共演についてはいかがですか?楽しみにされていることなどあれば教えてください。
「共演させていただくのは宙組に在籍していた時以来です。まあスーツの似合うこと!かっこいいスーツ姿を見られるのが楽しみです!久しぶりにお稽古場で色々お話ししたいです」

−舞台裏でのトラブルということで、ご自身の経験と重なる部分はありましたか?
「私はいつも舞台裏でドタバタしているので(笑)、すごく共感しますね。でもここまで自分勝手にやる人たちはいないです(笑)。一生懸命やって、稽古通りにやろうとしても本番では予想外のことが起こるのはその通りですね」

−誰もが知るJ-POPソングを歌うカラオケ大会ということですが、普段はJ-POPソングを聞いたり歌ったり、カラオケに行ったりすることはありますか?
「松田聖子さんが好きで、昔からよく聴いています。松任谷由実さんや竹内まりあさんなど、母が好きでよく聴いていた曲が私も好きです。カラオケも好きで、松田聖子さんの楽曲を歌ったりしますよ。宝塚の同期とカラオケに行ったこともありますが、結局みんなで歌わずに宝塚の映像を見ちゃいますね」

−もし花乃さんご自身がカラオケ大会に出場するとしたら…どんな楽曲で、どんなパフォーマンスをされますか?
「ミュージカルソングを選ぶと思います。やはり今までミュージカルの経験が多いので、勝負曲となるとミュージカルソングになりますね。皆さんが一緒に盛り上がれるディズニーソングとかが良いかな」

宝塚『ベルサイユのばら』から、人生が動き出した

−花乃さんが影響を受けた舞台作品を1つ挙げるとしたら、何になるでしょうか?
「初めて宝塚を観たのが、2001年上演の『ベルサイユのばら』でした。この作品を初めて見た時から自分の人生が動き出したので、『ベルサイユのばら』は外せないと思います」

−宝塚にいたからこそ分かる、宝塚の魅力は?
「宝塚を本当に好きな人たちが集まっているということですね。伝統がずっと受け継がれているのは、舞台や宝塚というものに対する愛、先輩へのリスペクトがあるからこそ。ステージの端に立っている子たちも、全員が宝塚の舞台に立てて嬉しいという気持ちを持っているというのは、宝塚の魅力に繋がっていると思います」

−宝塚時代が今の俳優活動に活きていると感じられるのはどんな部分でしょうか?
「作品に向かって努力する姿勢は宝塚で培われたものが大きいです。また、トップ娘役としていた期間に、相手役さんとの関わりの中で、自分の弱点や欠点に気が付けたというのは特に大きなことでした。本来、そういうことって人間関係の中で相手には言いにくいものじゃないですか。そこを一歩踏み込んで本音で指摘してくださる方に出逢えたからこそ、自分を客観的に見るきっかけができたので、それは本当に有難いことでした」

−ドラマやZIP!生中継など様々なことに挑戦されている花乃さん。今後のキャリアビジョンや挑戦してみたいことは?
「演じることがすごく好きなので、ミュージカルだけでなく、ストレートプレイにも意欲的に挑戦したいという気持ちが強くあります。『SHINE SHOW!』では楽曲もたくさん登場しますが、お芝居の面も強いので、それも楽しみです。ZIP!でも経験を積ませて頂いているので、おしゃべりを活かせるお仕事もやってみたいです」

撮影:山本春花、ヘアメイク:清水尚子、スタイリング:槇 佳菜絵
<衣裳>ワンピース:CELFORD、靴:ダイアナ、他/スタイリスト私物

−最後に、本作への意気込みをお聞かせください。
「とにかく楽しい作品になっています。夏の暑い時期に、世の中のワクワクした空気を纏ったまま、私自身も楽しんで演じたいと思いますので、ぜひ劇場にお越しください」

『SHINE SHOW!』は8月18日から9月4日まで、シアタークリエにて上演。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

瑞々しい透明感の中に、役者としての強い芯を持っている花乃まりあさん。『SHINE SHOW!』での弾けっぷりに注目です!