俳優の小沢道成さんが主宰するEPOCH MANの最新作が、8月2日(水)から新宿シアタートップスにて幕を開けます。パペットと映像テクノロジーの組み合わせが鍵となる、新作公演『我ら宇宙の塵』について掘り下げていきたいと思います。

気鋭の演劇人・小沢道成による書き下ろしの新作。

EPOCH MANは、小沢道成さんが作・演出・美術を手がける演劇プロジェクト。人間の醜さと美しさを描くストーリーを、大胆なアイデアで映し出し、観客の支持を得ています。

2022年には、『オーレリアンの兄妹』で第66回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネートされました。また、同年に代表作『鶴かもしれない 2022』で本多劇場に進出。本多劇場では非常に珍しいひとり芝居で約1300人を動員しました。2023年には陣さん(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)による一人芝居『Slip Skid』の脚本・演出を担当。さらに、ミュージカル『テニスの王子様』『刀剣乱舞』などで活躍を続ける人気若手俳優の定本楓馬さんを主演に迎えた言劇『仔狸綺譚』を発表するなど、積極的に活動のフィールドを広げています。

そして今回の新作『我ら宇宙の塵』は、『オーレリアンの兄妹』以来の書き下ろし作品で、脚本・演出・美術を担当。自身もキャストとして出演し、音楽をオレノグラフィティさんが担当することでも話題を集めています。

5人の個性派俳優による挑戦。

これまでのEPOCH MANは、1〜2人の少人数芝居を得意としてきました。今回は、いつか多人数での芝居を書いてみたいという小沢さんの兼ねてからの念願が叶い、5人の個性的な俳優が集いました。

シス・カンパニーやイキウメ、ナイロン100℃などの公演に出演し、ねずみの三銃士『獣道一直線!!!』で第28回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した池谷のぶえさん。劇団チョコレートケーキなどオリジナル性溢れるカンパニーへの出演が多く、2023年は舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』に出演した渡邊りょうさん。小劇場からダンスユニット、コント公演まで幅広く活躍、iaku『逢いにいくの、雨だけど』などに出演した異儀田夏葉さん。映画『こんな夜更けにバナナかよ』(2018年)や『キネマの神様』(2021年)にも出演したぎたろー(コンドルズ)さん。そして小沢さんを加え、EPOCH MANにとって新たな挑戦となる5人芝居を作り上げます。

命のないパペットが演じる、宇宙と生命の物語。

この作品は、亡き父の行方を探す少年と、その少年の行方を探す母の物語。小沢さん自身の死生観が投影されたファンタジックなヒューマンドラマとなっています。

本作の世界観の重要な鍵を握るのが、1体のパペット。HPやフライヤーでも不気味な存在感を放っています。日頃から英国のロイヤル・ナショナル・シアター作品などを愛する小沢さんらしいイマジネーションたっぷりの仕掛けがあるとのこと。このパペットがどんな役割を果たすのか。なぜ生身の人間ではなく、パペットである必要があるのか。是非その目で直接確かめてみてはいかがでしょうか。

また本作の見どころの1つとなっているのが、壁一面のLEDビジョンです。映像テクノロジーが演出に使用されることは増えている昨今ですが、小劇場に張り巡らされたLEDビジョンというのは新たな試みと言えます。1体のパペット、5人の俳優、そして最新テクノロジーが織りなす唯一無二の幻想的な演劇空間を堪能することができるでしょう。

『我ら宇宙の塵』は、2023年8月2日(水)から8月13日(日)まで、新宿シアタートップスにて上演されます。公式HPはこちら

チケットぴあ
L

”パペットと映像テクノロジー”と聞いて、特に演劇技法という点で、互いに対極的な関係にあるものなのではないかと個人的に思いました。比較的アナログなパペットと、時代の最先端を象徴するような映像テクノロジーが、EPOCH MANによってどんな化学反応を起こすのかが気になります。