2021年12月9日にNetflixにて公開された映画『浅草キッド』。ビートたけしさんの自伝小説を劇団ひとりさんが7年の構想期間を経て映画化、柳楽優弥さんと大泉洋さんの熱演で話題となりました。公開直後にNetflix日本国内TOP10ランキングで1位を獲得した映画『浅草キッド』の魅力を紹介します!

劇団ひとりが脚本・監督!映画化への熱い思いが7年を経てNetflixによって実現

「誰よりも浅草キッドやたけしさんに対する思いは強いから、他の人には絶対撮らせたくない」。劇団ひとりさんの熱い想いからNetflixによる映画化が実現した『浅草キッド』。原作は1988年1月に出版されたビートたけしさんの自伝小説『浅草キッド』です。

物語の舞台は昭和40年代の浅草。渥美清さんや萩本欽一さんなどを発掘したフランス座でエレベーターボーイをしていたタケシは、幻の浅草芸人と呼ばれた深見千三郎に弟子入りします。深見から芸を磨くことを叩きこまれ、芸人として舞台に立ちながら裏方の仕事をこなす日々。しかしテレビの普及によりフランス座の客は激減、経営は悪化。残った数少ない客も、コントではなくストリッパー目的であることを痛感するのです。そんな時、元先輩のキヨシから一緒に漫才をしないかと誘われたタケシ。深見に激怒されながらもフランス座を後にするのでした。

小学生の頃からビートたけしさんが大好きだった劇団ひとりさん。『浅草キッド』の原作を自分の手で映画化するため脚本を書き始めたものの、なかなか実現まで至りませんでした。最終的にNetflixで公開されるまで費やした年月は7年。Netflixの公式YouTubeで柳楽優弥さん、大泉洋さんと共に撮影秘話を語ったひとりさんは、「仮に自分がこの作品に携わってなかったら悔しいでしょうね」と話しています。監督としてのこだわりが詰まった、温かさと切なさの溢れる作品です。

柳楽優弥が熱演!ビートたけしが憑依した演技力と役作り

映画『浅草キッド』を観てまず感じるのが、ビートたけしさんを演じた柳楽優弥さんの演技力の素晴らしさ。ビートたけしさんの時々目をつぶる仕草や首を斜めに傾けるクセなど、まるで憑依したかのような演技が話題になり、現在でも口コミやSNSなどで高く評価されています。

この役作りには、たけしさんのモノマネでも有名な松村邦洋さんの協力がありました。演技指導は受けながらもモノマネにはならないように注意していた柳楽さん。若い頃のたけしさんの雰囲気が想像できるお芝居には、不思議な感覚になり引き込まれます。また映画の冒頭で現在のタケシを演じているのも実は柳楽さんです。4~5時間かけたという特殊メイクは、本物のビートたけしさんにそっくり。この俳優さんは誰だろうと、気になって調べた方も多いのではないでしょうか。

劇中に何度も登場するタップダンスや漫才のシーンも見どころ。違和感がなくスマートにこなす姿に、柳楽さんの役作りへの努力とセンスが感じられます。

愛のある師弟関係に涙する。大泉洋が演じる師匠・深見千三郎とフランス座の仲間たち

映画『浅草キッド』のもう一人の主役と言えるのが、大泉洋さんが演じるタケシの師匠・深見千三郎です。一言で言うなら、とにかくかっこいい!芸人であることに誇りを持ち、笑いに関してはとてもストイック。上演中であっても、タケシの芝居で客が簡単に笑って拍手すると、「下手な芝居で拍手するな」とステージ上から客に向かって注意するほど。舞台の上では笑いを取り、弟子に対しては厳しく接しながらも面倒を見てあげる優しい一面も。妻の麻里といる時に見せる少し柔らかい表情も魅力的です。

舞台に立ちたいと言いながら何も芸のなかったタケシにタップダンスから芸の極意まで叩きこみ、自分の元から去っても密かに見守っていた深見。タケシもまたテレビで活躍するようになっても師匠・深見への感謝と慕う気持ちは変わりませんでした。二人の絆に心が温まり、自然に涙が溢れます。

またタケシや深見を囲むフランス座の仲間たちを演じたキャスト陣も演技派揃い。タケシの相方・キヨシ役をナイツの土屋伸之さん、フランス座のストリッパー・千春役を門脇麦さん、深見の妻・麻里役を鈴木保奈美さんが演じています。キャラクターに見事にハマったキャスティングに、劇団ひとりさんの監督としての才能を感じられました。Netflix『浅草キッド』の視聴はこちら

かずちぃ

2023年10月8日より関テレ開局65周年記念公演として、音楽劇『浅草キッド』が上演されます。北野武役に林遣都さん、深見千三郎役に山本耕史さんが抜擢され、映画版とはまた違う『浅草キッド』が楽しめるのではないでしょうか。音楽劇『浅草キッド』を観に行く前に、Netflixの映画『浅草キッド』で予習をするのもおすすめです。