5大メジャースポーツやシカゴピザなどのイメージが強い街・シカゴ。実は、演劇好きが楽しめるスポットが充実しており、ミュージカル上演も盛んです。街歩きで特に興味を惹いたのは、ミュージカル公演を告知する広告。今回は、シカゴ中心地で見つけた、大胆で斬新な広告をご紹介します!

01 花壇からミュージカルの名曲が聞こえてくる!?

筆者がシカゴを訪れた際は『キャッツ』『レ・ミゼラブル』『ハミルトン』などが上演中でした。大通りの街灯には、風になびくミュージカルの旗広告がずらり。旗を見上げながら歩いていると…『キャッツ』の名曲「メモリー」が聞こえてくるではありませんか!

キョロキョロと音源を探ると、目に留まったのは歩道端の花壇にある『キャッツ』の看板広告と金色のオブジェ。先端にLEDライトが光る、背丈1〜2mくらいの細長い金色の棒が竹のように群生したそのオブジェから、作中2曲のミュージカルナンバーが交互に流れていたのです。

作品を代表する名曲の美しいメロディや普遍的な歌詞。その魅力がシンプルに伝わる、斬新で力強い宣伝手法に感動し、周囲の目も気にせず「メモリー」を1曲聴いてその場を立ち去りました。その後、滞在中に観劇できないかとスケジュールを確認したのは言うまでもありません。

02 シカゴ市民を惹きつける秘策は音楽にあり

付近はビジョン広告もなく、東京でいう日本橋のようなオフィス街。そんな公共性の高い場所で音楽を使った宣伝が実現する背景には大きく2つの理由があると思います。

1つは集客ターゲットが地元市民であること。シカゴは北米ツアー公演の拠点地として、ミュージカルの本場・ブロードウェイに劣らぬ演目数と規模を誇ります。しかし、短期間で次々と作品が変わる興行スタイルでは、その観客層は限定的。地元客中心にならざるを得ません。通勤で人が行き交う場所で告知をし、市民の興味を惹く必要があるのです。

2つ目は街に根付いた音楽文化です。もともとジャズやブルースの生演奏が盛んで、世界最大級の屋外ジャズフェスティバルが毎年開催されているシカゴ。音楽に触れる高揚感を知るこの街であれば、歩道でミュージカルナンバーが聞こえても、人々は違和感なく受け入れるのではないでしょうか。

Sasha

高層ビルの隙間に広がる20世紀初頭の世界。シカゴは歩くたびに発見がある楽しい街でした。活気が戻った際には、劇場へ誘う音楽を浴びながら、散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。