演劇やミュージカルというのは、映画などの娯楽に比べると、基本的に「チケット代が高い」「敷居が高い」部類に入ります。しかし、近年ではさまざまな理由からチケット代が値上がりしている例もあり、観劇ファンであっても懐が厳しいところ。では一体なぜ高くなっているのか、安く見る方法はないのかということについて考えてみます。

コロナや世界情勢など、さまざまな要因から値上げへ

2020年〜2022年にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言のため、完全な劇場のクローズ、上演中断や中止などに追い込まれることが多くありました。その影響から、演劇・ミュージカルファンの間では多少のチケット代の値上げが予想されていました。

劇場が再開し、安定した上演が戻ってきた昨今、大幅なチケット代の値上がりが目立つのは、いわゆる「グランドミュージカル」をはじめとした「海外作品」です。

海外作品を多く上演する「劇団四季」では、2023年1月からチケット代の値上げを発表しています。値上げの理由は「世界的な物価の上昇」と「円安」です。「劇団四季」は公式サイトで、「円安」の影響で「上演」そのものに必要な「著作権使用料」などが上昇していることを挙げています。

また、2023年6月から8月まで上演されていた『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』では、S席が17000円と国内で上演されるミュージカル作品では非常に高額に設定されていました。

この様に、「海外作品」は「金融市場」「世界情勢」に大きく左右される面もあります。そのため、普段から金額設定が高めの「海外作品」はさらなる値上げに迫られているのです。

また、日本で上演されるミュージカル作品は、「海外作品」が多いことから、値上げのあおりが強くなっていると思われます。

定価以下のチケット譲渡や席種変更を検討してみる

では、この高騰の最中で安く見る方法というのは存在しているのでしょうか。その際に検討したい方法が2つあります。

1.定価以下のチケット譲渡サービスを利用する
現行の法律(チケット不正転売禁止法)では、公演チケットを「転売目的」で「他人に譲渡」することは違法となっています。しかし、「転売目的」でないにしてもどうしてもやむを得ない事情というのは存在します。

株式会社オケピが運営する「おけぴネット」ではそういった「手放さざるを得ないチケット」を「定価以下限定」で譲渡・交換が可能です。

掲示板システムになっており、基本的にやり取りは個人間となりますが、手数料などのチケット代以外の代金は発生しません。

しかし、そうはいっても個人間のやり取りが不安…という方には別途手数料が発生する代わりに「おけぴ」が仲介するサービス(取次サービス)があります。また、譲り主の受け取れる金額がチケット代の半分になる代わり、全てを「おけぴ」に代行してもらうサービス(おけぴ託しますサービス)もあります。

2.席種変更を検討してみる
S席、A席など「席種」が分かれている場合、基本的に舞台から後退するほどチケット代が安く設定されています。例をあげると、東京宝塚劇場では「SS席」が12500円であるのに対し、「B席」は3500円と大変安価です。先述した「海外作品」であっても、席種によって金額が異なることが多くあります。

また、一部演目によっては立ち見席や見切れ席、機材スペースとしていた部分を客席として解放する「機材解放席」など、一部舞台や演出が見づらい代わりに、チケット代が安く設定された座席もあります。

混迷を極める中、新しい試みも

2020年に上演された『SINGIN’IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』では一部公演に、ミュージカル『SMOKE』(2021年版)では全公演に、「ダイナミックプライシング(価格変動制)」が導入されました。これは、東京ディズニーリゾートなどのテーマパークやプロ野球の試合でも使用されている方法で、「席種や日程、気候」などのビッグデータを使用して、公演ごとにチケット代を変更していくものです。

例をあげると、初日(定価)と千秋楽のチケット代が倍近く違ったり、平日マチネが安かったりするというものです。また、上演中に「口コミで話題になる」などの現象が発生した場合も、チケット代があがることがあります。

もちろん、「チケット代が日々変わっていく」というのはさまざまな懸念点(上昇しすぎる、先行予約で買ったときより安くなってしまうなど)はありますが、「チケット代が高いから…」という理由で観劇を諦めている人への選択肢になるかと思われます。

ほかにも、学生席の導入やU-25制度など、若年層向けの比較的安価な席種を設定している場合もありますので、情報のこまめなチェックがおすすめです。

筆者も先日、2年前に見た舞台の再演に行った際、チケット代が2000円あがっているなんてことがありました。 値上げにはどうにもならない事情もありますが、今後はB席などの後方席もうまく活用していきたいなと考えています。