「アドルフ・ヒトラーは青年時代に画家を志していた」という史実をもとにした、タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』。美術、歴史、タイムトラベル、SFの要素がたっぷり詰めこまれている作品です。2022年7月に開幕直前に公演中止となってしまってから1年、全キャスト・スタッフが続投での上演となります。

過去を変えるべきか否か…。タイムスリップした美大生3人がアドルフ・ヒトラーを相手に奔走する痛快社会派劇

タカハ劇団は、高羽彩さんが脚本・演出・主宰をつとめる、2005年に旗揚げされたプロデュースユニット。高羽さんは、『僕等のチカラで世界があと何回救えたか』や『耳なし芳一』で脚本を務め、2013年芸劇eyesでは新時代の5人の女性劇作家に選出されました。近年はドラマやアニメ、ゲームシナリオの脚本も務めるなど、幅広いジャンルで活躍しています。

緻密な構成と日常に普遍的に存在しているちいさな絶望や、どんな壮絶な状況でも変わることのない人間の些細なあり方、生き方を笑い飛ばしながらすくい取る叙情的な作風が特徴です。

『ヒトラーを画家にする話』は、「アドルフ・ヒトラーは青年時代に画家を志していた」という史実をもとにした、痛快な社会派劇。美大生の僚太、朝利、板垣は、ひょんなことから1908年のウィーンにタイムスリップしてしまいます。

そこで彼らが出会ったのは、芸術家を目指しウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年、アドルフ・ヒトラーでした。彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。
しかし、ヒトラーにはまったく絵の才能がなく…。果たして三人は、ヒトラーを独裁者でなく画家にすることができるのでしょうか。

更に進化した俳優陣と脚本に注目!

キャストには、モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』で主演を務め、アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』での好演が記憶に新しい名村辰さんを筆頭に、芳村宗治郎さん、渡邉蒼さん、犬飼直紀さん、川野快晴さん、山﨑光さん、重松文さんら若手実力派キャストが集結。

さらに、異儀田夏葉さん、砂田桃子さん、結城洋平さん、柿丸美智恵さん、金子清文さん、有馬自由さんが名を連ねました。

高羽さんは全公演中止を経ての上演に対して、「あれから一年。世界は変わらず激流の只中にあります。主人公たちがタイムスリップした時代はまさに第一次大戦前夜ともいえる時期なのですが、劇中の空気と現在に不気味な符合を感じることも。だからこそ、歴史を変えようと奮闘する主人公たちの物語に共感していただけるのではないでしょうか」とコメントしています。

タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』は、9月28日 (木) 〜10月1日 (日)に東京芸術劇場シアターイーストにて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。

9月29日(金)18:00公演と9月30日(土)13:00公演では、鑑賞サポート対象公演として目の見えないお客様や耳の聞こえないお客様に向けて、鑑賞サポートが行われます。サポート内容は、舞台手話通訳、バリアフリー字幕のタブレット貸し出し、音声ガイド、事前舞台説明会、池袋駅からの移動サポートとなっています。(関連記事「帝国劇場・シアタークリエでも導入されている鑑賞サポートタブレットとは?」はこちら

ミワ

タカハ劇団の公式X(旧Twitter)で行われている「タカハ稽古後スペース」では、和気藹々とした雰囲気で稽古の様子や作品について触れられています。アーカイブも残っているので、観劇の前や後にチックしてみるとより楽しめるかもしれません!