1951年にブロードウェイにて初演されて以降、不朽の名作として愛され続けるミュージカル『王様と私』。「Shall We Dance?」は誰もが聞いたことのある名曲です。日本でも数々の名優が演じてきた本作を、ミュージカル初主演の北村一輝さん、元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りおさんが演じます。演出は、ミュージカル『MEAN GIRLS』日本初演を手がけ、明日海さんの20周年コンサートも担当した小林香さんです。

ミュージカル『王様と私』が約28年ぶりに日生劇場に

『オクラホマ！』『回転木馬』『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られるリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世の代表作であるミュージカル『王様と私』。1952年に第6回トニー賞作品賞、主演女優賞を含む5部門を受賞した後、1985年、1996年のブロードウェイ再演においても大ヒットを博しました。1956年にはブロードウェイ公演で王様を務めた名優ユル・ブリンナーが映画版でも同役を務め、第29回アカデミー賞において9部門ノミネート、主演男優賞を含む5部門で受賞。

1860年代のシャム（現タイ）を舞台に、国の近代化を図る王と、子供たちのために雇ったイギリス人の家庭教師アンナが、国籍や身分を超えて信頼を深めていく様を美しい音楽と共に描いた作品です。

日本では、1965年に初演が上演され、王様役を市川染五郎さん（※現 二代目松本白鸚）、アンナ役を越路吹雪さんが務めました。1990～1991年には、日本で王様役を演じた九代目松本幸四郎さん(現 二代目松本白鸚）がイギリスに招聘され、200回以上王様役を務めるという快挙も成し遂げました。

さらに2015年にはニューヨークのリンカーン・センターでのリバイバル上演では、王様役を渡辺謙さん、アンナ役をケリー・オハラが演じ、第69回トニー賞9部門ノミネート、再演ミュージカル作品賞他4部門の栄冠に輝きました。そして2024年4月に日生劇場、5月に梅田芸術劇場メインホールにて上演。東宝製作のプロダクションとしては、2000年1月の博多座公演以来約24年ぶり、日生劇場での公演は、1996年9月以来、28年ぶりの上演となります。

舞台は、1860年代のシャム（現タイ）。イギリス人将校の未亡人アンナ・レオノーウェンズが、はるばる王都バンコクまでやってきます。植民地化を図る欧米列強を憂い、国の近代化を図る王は、国の将来を背負う子供たちに、西洋式の教育を受けさせるために、アンナを家庭教師として雇ったのでした。

シャムの専制君主とイギリス人家庭教師。人一倍頑固で誇り高い二人は、最初はことあるごとに対立をしていましたが、お互いに先見の明を持ち、誠実な心を持っていることを知り、国籍や身分を超えて、人間としての信頼を深めていきます。

そんなある日、イギリスの特使がバンコクにやってくるとの急報が。対応を誤れば、隣国のように植民地にされてしまうことを恐れる王様に対して、アンナは西洋式の晩さん会を開き、特使を歓待するように提案します。アンナの提案を受け入れた王の号令の下、趣向を凝らしたもてなしは大成功に終わります。その夜、「シャル・ウィ・ダンス？」と、口ずさむアンナは王にダンスの手ほどきをしますが、王は瞬く間にステップを習得し、二人は手を組み踊りだします。華麗なステップと音楽に乗せて、シャムの王様とイギリス人家庭教師が、心を通わせるひと時が流れる中…。

王様役・北村 一輝×アンナ役・明日海りお×演出・小林香

欧米の列強の干渉から国を守り、独立自尊と発展を目指す王様役には、ミュージカル初出演となる北村一輝さん。出演を決めるギリギリまで自問自答をしていたと言い、「未だに大丈夫なのか？と正直、心配な気持ちもありますが、「挑戦して良かった！」と実感できるように精一杯務めたいと思います」と素直な心の内を明かしました。現在はトレーニングジムでの体力作りとボイストレーニングに励んでいるそう。

作品については「本作は時を超えて愛されている王道のミュージカルで、名ナンバーの「Shall We Dance?」のフレーズが記憶に残る名作です。日本でのミュージカルの印象は、「歌中心」というイメージですが、本来は、お芝居の延長線上に歌唱があり、歌詞もセリフだと思っています。歴代、名優の方々に演じられてきた王様役ですが、自分なりのチャーミングで人間らしい王様を表現したいと思っています」と語りました。

アンナ役を務めるのは、元宝塚歌劇団花組トップスターで、退団後も『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン-WAR PAINT-』『精霊の守り人』などに出演、ドラマ『大病院占拠』への出演も話題となった明日海りおさん。

「ロジャース＆ハマースタインの名作、クラシックミュージカルのど真ん中をゆく「王様と私」に出演させていただく事になり、身の引き締まる思いです。ひとたび「Shall We Dance？」が流れてくれば、誰もが甘く華やかな気分になれる。あの名場面を、今回初共演の北村一輝さんとご一緒させていただけるのがとても楽しみです」とコメントしています。

そして演出を務めるのは、『リトルプリンス』『MEAN GIRLS』『カラフル』などを手がけるほか、サンリオピューロランドの「ミラクルギフトパレード」や、20th Anniversary Rio Asumi sings dramas『ヴォイス・イン・ブルー』などで演出を担当した小林香さん。「クラシカル・ミュージカルのマスターピース、「王様と私」。東宝が半世紀以上にわたり大事に守って来られた名作の演出をさせていただくことになり、とても光栄に感じております」と語ると共に、「今の時代と世界の様子にアンテナを張りながら、今を生きるお客様に響く、まったく新しいプロダクションにしたい」「この二人（王様とアンナ）が、洋の東西、宗教、身分、性別を超えて、ついに辿り着く地平は素朴で美しく、今もって世界が見つけることのできない第三の道すじを示してくれる気がします」とコメントし、2024年版らしい演出への期待が高まります。

ミュージカル『王様と私』は2024年4月に日生劇場、5月に梅田芸術劇場メインホールにて上演。公式HPはこちら