宝塚歌劇団では、女性団員が男性役として「男役」を、女性役として「娘役」を演じます。そのため、タカラジェンヌは男役と娘役のどちらを担当するのか決める必要があるんです。しかし、実際には、男役から娘役に転向するタカラジェンヌもいることを知っていますか?この記事では、タカラジェンヌの転向について詳しくお話します。
男役か娘役か、どうやって決めるの?
宝塚歌劇団の在団中、男役と娘役のどちらを担当するのかは、基本的にタカラジェンヌ本人が決めます。そのタイミングは、大きく分けて2つ。
1つは、宝塚音楽学校に入学するときです。学校での授業内容に演劇が含まれるため、入学時点で男役・女役の方向性を固めておくことが重要なんですね。
もう1つのタイミングが、宝塚歌劇団への入団時です。ここから男役、あるいは娘役として舞台活動がスタートします。
一方で、身長や声域、容姿など持って生まれた素質によっては、どうしても本人の希望通りにいかないケースも。タカラジェンヌにとって、男役と女役の選択は大きなターニングポイントといえます。(関連記事:男役、娘役…宝塚独特の世界観を知って観劇をより楽しもう)
男役から娘役に変わることがある?
宝塚歌劇団に入団し、男役と娘役に分かれるタカラジェンヌたち。とはいえ男役でも、舞台やショーで女性ポジションに配役される場合があります。
娘役としての面白さや楽しさを感じたり、周囲から演技を高く評価されたり…自分自身の新しい可能性に気付いたとき、思い切って環境を変えたくなるタカラジェンヌもいるはず。そこで、男役から娘役に転向することが選択肢のひとつとなるんです。
ただ、娘役から男役に転向するケースはほとんどないそう。「男役10年」と言われるように、演技や立ち居振る舞いを身につけるのが大変だからこそ、娘役からの転向はなかなか難しいのかもしれません。
娘役に転向したタカラジェンヌの活躍
男役から娘役に転向したタカラジェンヌは、それぞれ男役としての経験を活かしながら、魅力的な娘役に成長しています。
なかには、男役から転向してトップ娘役まで昇りつめた方もいるほどです。最近のケースだと、2018年に退団された月組のトップ娘役・愛希(まなき)れいかさん。入団当初は男役でしたが、入団3年目で娘役に転向しました。愛希さんは6年7ヶ月にわたってトップ娘役を務め、退団後もミュージカル『エリザベート』や『マリー・キュリー』など精力的に役者活動をされています。2024年はミュージカル『トッツィー』に出演予定!
また、元雪組の娘役・大湖(だいご)せしるさんは、入団11年目で男役から転向したという経歴の持ち主。ここまで長く男役をした方が転向するのは、宝塚史上初だったんだとか。大湖さんは、宝塚バウホール公演でヒロインを務めたり、『ルパン三世』で峰不二子を艶やかに演じたりと、ファンの記憶に残る娘役になりました。
転向は決して簡単な話ではないものの、男役と娘役の両方を経験することで、役者としての幅が広がるのではないでしょうか。
男役から娘役への転向は、自分自身ととことん向き合った証です。ファンとしても、勇気ある決断をしたタカラジェンヌが娘役として活躍する姿を、全力で応援したいですね。