オーストリアの劇作家アルトゥル・シュニッツラーが1900年に発表した問題作『輪舞』(La Ronde)を「現在」「東京」に翻案し上演するPARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』(トウキョウロンド)。脚本は第66回岸田國士戯曲賞を受賞した山本卓卓さん、演出は杉原邦生さんが手がけ、髙木雄也さんと清水くるみさんが計10人の男女の情事の風景をリレー形式で演じていきます。

人間の欲望を描いた問題作を、現代の東京を舞台に翻案

『輪舞』(La Ronde)は19世紀末の世相を背景に、男女の情事前後の会話をリレー形式で描写。当時の性道徳や階級理念に反していたために、上演を巡っては法廷論争まで引き起こした“問題作”です。しかし人間の普遍的な関係性と欲望を描いた本作は1950年、64年、73年と三度映画化され、93年にはオペラ化もされました。

英国の巨匠デヴィッド・ヘアーは『輪舞』を20世紀末の英国に移して翻案、『ブルールーム』というタイトルで、ロンドンとブロードウェイで1998年から1999年にかけて上演。この舞台はサム・メンデスが演出、ニコール・キッドマンとイアン・グレンが女性男性5人ずつを演じ、世界的な話題を呼びました。

そんな世界で愛され続ける本作を、今回は「現在」「東京」に翻案。劇団「範宙遊泳」主宰で2022年に『バナナの花は食べられる』にて第66回岸田國士戯曲賞を受賞した山本卓卓(すぐる)さんが脚本を務めます。演出は、『SHELL』『血の婚礼』『パンドラの鐘』などを手がけた杉原邦生さんです。

山本さんは「キックオフミーティングの時に、杉原さんやパルコスタッフのみなさんに「私は私の言葉と物語に責任を持ってこの戯曲を書く」と宣言してしまったので、私は私の言葉と物語に責任を持って「東京輪舞」を書いています。つまりそれはシュニッツラーや杉原さんに責任を押し付けるようなことは絶対にしないということなのですがそれってめちゃくちゃキツくて苦しいっす。でも山本卓卓いいもの書きます。楽しみにしていてください」と覚悟の見える意気込みをコメントしました。

杉原さんは「野心に満ち満ちた企画」だからこそ山本さんに依頼したいと考えたといいます。「知り合ってすでに10年以上になりますが、卓卓くんが択ぶ日本語のセンス、その組み合わせによって生まれる独特のリズム、テキストから漂う息が詰まるような現代日本の空気感、そして人と人との交わりに冷静に寄り添う作家としての知性、それらがこの作品には必要だと思ったからです」。

そして本作で5役を演じ分け、計10人、10組のカップルの情事の風景をリレー形式で演じていくのが髙木雄也さんと清水くるみさん。

髙木さんはHey! Say! JUMPのメンバーとして活躍を続けながら、『ブロードウェイと銃弾』『裏切りの街』『星降る夜に出かけよう』など舞台にも精力的に出演。

着々と実力を積み上げている高木さんですが、1人5役、演じる幅も広い本作への出演には迷いがあったと言います。「今の自分にできるのかと悩み、お受けするまで少し時間がかかりました。でも自分が諦めて誰かがこの作品に出演し、それを見て後悔するぐらいなら、自分自身が努力して自分の幅を広げれば良いと思い挑戦しようと決めました!」と決意をコメントしました。

PARCO劇場公演は『海王星』『月とシネマ2023』に続く出演、ミュージカル『マリー・キュリー』での好演も記憶に新しい清水くるみさん。直近は『親友は悪女』で連続ドラマ初主演、『ブギウギ』で朝ドラ初登場も果たしています。

清水さんは念願の2人芝居だったと言い、「1人5役ということでかなりハードですが、小悪魔少女から、今まで演じたことのない挑発的な女性まで、これまでの経験を活かしつつ、チャレンジすべき課題が非常にたくさんあることにワクワクしています!髙木さんとは初めましてなのですが、どんなキャッチボールになるのか全然想像できないので、稽古が本当に楽しみです。ご一緒したかった演出の杉原さん、脚本の山本さん、もう既に出来上がっている前半の脚本がおもしろいのでプレッシャーですが、きっときっとおもしろい作品になる!してみせる!ので、是非是非、観にきてほしいです!」と喜びと共にコメントしました。

PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』は2024年3月にPARCO劇場にて上演。4月には福岡・大阪・広島公演が行われます。公式HPはこちら