不老不死の吸血鬼にまつわる人々を描いた『TRUMP』シリーズや、同名ゲームを題材にした舞台『刀剣乱舞』シリーズなどの脚本・演出を手がける末満健一さんの新たなプロジェクト「MOJO プロジェクト -Musicals of Japan Origin project-」が始動。『TRUMP』シリーズでもタッグを組んでいる「ワタナベエンターテインメント」との共同プロジェクトとなります。

その第1弾として、かつてフランスに実在した王妃「イザボー・ド・バヴィエール」の半生を描いたミュージカル『イザボー』を上演します。「フランス史上最悪の王妃」とされるイザボーとは、一体どんな人物なのでしょうか。

ただ己の欲望のままに生きる王妃

舞台は、1339年から1453年の100年以上にわたって続いた「百年戦争」の時代。バイエルン大公の娘として生まれた少女・イザボーは、隣国フランスの王・シャルル6世に嫁ぐことになりました。

国民からの信頼が厚く「親愛王」と称されるシャルル6世でしたが、あることをきっかけに狂気に陥り、王政が破綻。一転して「狂気王」の異名がつけられる事態に発展します。

混乱の最中、シャルル6世の叔父にしてブルゴーニュ公のフィリップとその息子ジャンが権力を掌握しようと画策をはじめます。一方、シャルル6世の弟・オルレアン公のルイは彼らと対立し、イザボーに権力を掌握させようと不貞の関係に。渦中のイザボーは、愛と欲望のままに生き抜こうとし、やがて国家を破滅へと導きます。

物語は、イザボーの息子であるシャルル7世と養母であるヨランド・ダラゴンがイザボーの半生をたどるように展開していきます。「イザボー・ド・バヴィエール」を題材にした作品の上演は、末満さんの念願でもあるということなので、変貌していくイザボーの姿がどのように描かれるのか注目です。

元雪組トップスター・望海風斗、甲斐翔真、上原理生と実力派ミュージカル俳優が集結

主演をつとめるのは、元宝塚歌劇団の雪組トップスター・望海風斗さん。退団後も『ガイズアンドドールズ』や『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』など多数のミュージカル作品に出演しています。

本作の語り部となるイザボーの息子・シャルル7世を演じるのは、近年『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』など大作ミュージカル作品にも多数出演する甲斐翔真さん。狂気に陥ってしまうシャルル6世は、『レ・ミゼラブル』『マリー・アントワネット』など多数のミュージカル作品で圧倒的なパワーと歌唱力を披露している上原理生さんが演じます。

他にも、父フィリップと結託しながらも自身も王位を狙うブルゴーニュ公のジャンを中河内雅貴さん、イザボーと不貞の関係になるオルレアン公のルイを上川一哉さんが演じます。また、シャルル7世とともに語り部をつとめるヨランド・ダラゴンを那須凜さん、権力の掌握を狙うブルゴーニュ公のフィリップを石井一孝さんが演じるなど、実力派ミュージカル俳優が多数集結しています。

音楽を担当するのは、末満作品ではおなじみの和田俊輔さん。ミュージカル『聲の形』や本格ミステリー歌劇『46番目の密室』など多数の舞台や映像作品の音楽監督として活躍している桑原まこさんが音楽監督・編曲を担当します。

ミュージカル『イザボー』は、2024年1月15日から30日まで、東京建物 Brillia HALLにて上演予定。2024年2月8日〜11日にはオリックス劇場にて大阪公演も予定されています。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

末満さんといえば、ていねいに手間暇をかけて観客の心をえぐってくるような脚本が非常に印象的。本作では「イザボー・ド・バヴィエール」の半生を通じて、どのように我々の心をえぐってくるのか…期待と恐怖が入り混じった感情です。 本作が第1弾と銘打たれた「MOJO プロジェクト -Musicals of Japan Origin project-」の今後の活動も気になるところです。