2024年7月にPARCO劇場にてPARCO PRODUCE 2024舞台『オーランド』の上演が決定しました。埼玉、東京を皮切りに、8月には愛知、兵庫、福岡と巡演。摩訶不思議な運命を辿るオーランドを演じるのは宮沢りえさん。オーランドを取り巻く4名のキャストは、ウエンツ瑛士さん、河内大和さん、谷田歩さん、山崎一さんです。

「女性が自己表現者として鮮明に自立してゆく」姿を描いた意欲作

20世紀モダニズム文学の重鎮で最も有名な女流作家のひとりであるヴァージニア・ウルフの代表作『オーランド』。あらゆる女性を虜にする美貌を持つ青年貴族・オーランドが性別を超え、300年以上もの時を超えて真実の愛を追い求める作品となっており、アメリカの劇作家サラ・ルールが翻案して舞台化、1992年には映画化されました(『オルランド』)。

日本ではKAAT×PARCOプロデュース作品として、2017年に白井晃さん演出・多部未華子さん主演で上演されています。2024年PARCO PRODUCE版の『オーランド』は、演出家・栗山民也さんの原案、詩人・岩切正一郎さんの翻案で舞台化されるとのこと。

岩切さんは本作への取り組みにあたり、「オーランドの体には、英国における男性中心の社会から女性が自己表現者として鮮明に自立してゆく350年余りのプロセスが寓意的に折り畳まれています。それを劇として展開する翻案を任されました。ヴァージニア・ウルフが風刺的な物語の人物として創造したオーランドの体と意識は時を越えて広がり、今の日本や世界の状況を包み込んでいます。オーランドのプロットは演劇的なものを壊す要素でいっぱいです。それを逆手に取って、沈黙の襞の奥で響いているものを聴き出せるような台詞にできればと思っています。宮沢りえさんを始めとする素晴らしい俳優陣の演技と栗山さんの演出と一緒に、「オーランド」の中へ分け入ってゆく、秘境の探検隊の一員となったような気持ちで取り組んでいます」とコメントしています。

物語の始まりは、16世紀のイングランド。青年貴族オーランドは、エリザベス女王をはじめ、あらゆる女性を虜にする美貌の持ち主です。しかし初めて恋に落ちたロシアの美しい姫には手ひどくフラれてしまい、ルーマニアの皇女からは力づくの恋を仕掛けられ、傷心のオーランドはチャールズ2世の指名で対しとしてトルコに渡ります。

暴動の最中、7日間の昏睡状態に陥ったオーランド。目が覚めると、彼は艶やかな女性に変身していました。18世紀、19世紀と、激動の時代を超えて生き続けるオーランドは、詩集を発表して賞を取り成功。数々の運命の人々に出会いながら、自らを見つめ続けます…。というのは原作ストーリーで、ここから演出家・栗山民也さんの原案、詩人・岩切正一郎さんの翻案が加わるとのこと。2017年のKAAT×パルコ プロデュース公演ではポップな衣裳・世界観も話題となり、本作ではどのような演出・翻案となるのか期待が高まります。

宮沢りえが女性へと変貌する美貌の青年貴族に

オーランド役を務めるのは、TVドラマ、CM、映画、舞台と多方面で活躍し、5度にわたる日本アカデミー賞主演女優賞や読売演劇大賞・最優秀主演女優賞など、数多くの映画、演劇の受賞歴を持つ宮沢りえさん。演出家・栗山民也さんとは2012年上演の朗読劇『宮沢賢治が伝えること』以来、本格的に初タッグを組みます。

宮沢さんは「初めて栗山さんとご一緒できる事がとても嬉しいです。そして台本を頂き、無限の怖さを感じ、震えてもいます。今までに無い大きな挑戦です。プレッシャーをエネルギーに変え、舞台の上では何者にでもなれるし、どこまででもいけるんだ!その飛躍力を信じ、ただただ突き進みたいと思います」と意気込みをコメント。

そして本作では4名の男性が年代や性別の異なる複数の人物を演じ分けていきます。2018年のイギリス演劇留学を経験後、ミュージカル『太平洋序曲』『アンドレ・デジール 最後の作品』などで活躍が続くウエンツ瑛士さん。NODA ・ MAP『THE BEE』、シス・カンパニー『ケンジトシ』やドラマ『VIVANT』でも存在感を示した河内大和さん。ドラマ『VIVANT』『下町ロケット』などに出演、舞台では『ゲルニカ』『フェードル』など栗山さんの演出作品に多数出演経験のある谷田歩さん。2020年上演の『十二人の怒れる男』『23階の笑い』にて第28 回同賞最優秀男優賞を受賞、NODA・MAP『兎、波を走る』シス・カンパニー『ケンジトシ』などに出演する山崎一さん。4名の個性的な実力派キャストが、本作に彩りを加えます。

演出の栗山さんは「もう30年も前のことになるが、パリで夜ごと劇場に通い、饒舌に語り合うフランス人のように友人たちとカフェで飲みながら、今観た舞台について何時間も語り合った。そんな時カルチェラタンにある劇場の前で一枚のポスターを見た。その闇のような色彩のポスターはロバート・ウイルソン演出の「ORLANDO」。ウイルソン独特の光と影の舞台は、いつものようにマジックのようで鮮やかだった。その時の記憶が深く体のどこかに残っていたのか、宮沢りえさん主演で何かをとプロデューサーから言われた時、「ORLANDO」の淡く深遠な風景がすぐ心に浮かんだ。この物語と出会った時、なんとも不可解な世界に迷い込んだことを覚えている。答えを見つけるのではなく、幾度も問うことが求められた。不変を象徴する「樫の木」が360年生きた主人公とともに、ただ移りゆく時代の表情をじっと見つめているような印象。そんな詩のような、永遠を描く舞台になればと思う」とコメントしました。

PARCO PRODUCE 2024 舞台『オーランド』は、2024年6月29日(土)から30日(日)まで彩の国さいたま芸術劇場大ホール、7月5日(金)から28日(日) までPARCO劇場、8月2日(金)から4日(日)まで穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール、8月8日(木)から11日(日)まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、8月16日(金)から18日(日)までキャナルシティ劇場にて上演が行われます。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

2017年の上演では、多部未華子さん扮するオーランドと小日向文世さん演じるエリザベス女王の可愛らしくも不思議な世界観が魅力的でした。本作ではまた全く異なる雰囲気になりそうですね。