明治座創業150周年記念ファイナル公演 舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』。怪盗キャッツアイの3姉妹が明治時代を舞台に華やかに躍動します。3姉妹を演じるのは、次女・来生瞳役に藤原紀香さん、長女・来生泪役に高島礼子さん、三女・来生愛役に剛力彩芽さん。観客の笑い声と大きな拍手に包まれた初日と、舞台後の熱気に包まれた取材会の様子をお届けします。

華麗なる3姉妹と個性溢れるキャラクターが繰り広げる大怪盗劇

1981年の発表以来、爆発的な人気を博し、杏里さんのアニメ主題歌も人気を誇り続ける「CAT‘S♥EYE」。今回の舞台版は明治座創業150周年記念ファイナル公演『メイジ・ザ・キャッツアイ』として明治時代に設定を変え、怪盗キャッツアイの3姉妹が鮮やかな盗みの大一番を披露するオリジナルストーリーです。脚本を岩崎う大さん(かもめんたる)、共同脚本・演出を河原雅彦さんが手がけます。(関連記事:演出家・河原雅彦が『メイジ・ザ・キャッツアイ』を手がける上でキーポイントとなった「でたらめさ」とは?

物語の主人公となる怪盗キャッツアイの3姉妹は、次女・来生瞳役を藤原紀香さん、長女・来生泪役を高島礼子さん、三女・来生愛役を剛力彩芽さんが演じます。

写真提供:明治座

拍子木の音色と共に花道を通って活弁士(長谷川初範さん)が登場し、『メイジ・ザ・キャッツアイ』の世界が幕開け。怪盗キャッツアイは木札で犯行予告をし、アクロバティックに、華麗に絵画を盗みます。その姿はレオタードではなく、和柄を取り入れた艶やかなコスチューム。華やかな登場シーンから劇場は拍手に包まれ、本作ならではの世界観への期待感が高まります。

瞳の恋人で警察官の内海俊夫(染谷俊之さん)と、後輩刑事の平野猛(上山竜治さん)はいつもキャッツアイにまんまと逃げられてばかり。今度こそはキャッツアイをお縄にかけるため、フランス帰りの才女・浅谷光子(佃井皆美さん)が捜査に加わります。

帝国新聞社の記者・神谷(川久保拓司さん)らが通う喫茶猫目には、長らく海外で暮らしていたという車椅子に乗った少女・栞(新谷姫加さん)と、その執事・藤堂(美弥るりかさん)が訪れます。栞は日本の怪盗キャッツアイに心を奪われているようです。

キャッツアイは失踪した父ミケール・ハインツ(長谷川初範さん)の描いた絵を見つけては盗み、父の手がかりを掴もうとします。そんな中、キャッツアイに泥棒対決を挑んだのは東京の大泥棒、ネズミ小僧三世。老舗お茶屋のお座敷を舞台に、キャッツアイとネズミ小僧との絵画を巡る泥棒対決が始まりますが、そこに謎の怪盗・ホークスロウも登場。ネコ、ネズミ、タカの泥棒たちが狙う絵画の秘密とは?

花道や、盆による舞台セット転換、瞳の宙乗り、黒衣も多々登場し、明治座らしい演出が盛りだくさんの本作。アクションや3姉妹の早着替えも、キャッツアイの世界観を創り上げます。役者たちは客席通路も縦横無尽に駆け抜け、劇場全体にキャッツアイの世界が満ちていくのを感じます。

さらに美弥るりかさんは宝塚時代の活躍を彷彿とさせる燕尾姿で颯爽と登場し、本作の登場人物たちと観客の心を鷲掴み。個性溢れる艶やかなキャッツアイの世界観にピッタリのオリジナルキャラクターです。もちろん、瞳と俊夫の焦ったい恋模様も、明治時代に合わせてさらに焦ったい2人として、愛らしく描かれています。

俳優たちの技量が見えるコミカルなお芝居と、次々に繰り広げられる心躍る演出の数々、明治時代の色鮮やかな世界観、ショー要素を感じさせる歌やダンス。エンターテイメント性と愛に溢れた舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』に魅了され、雪の積もった明治座初日は熱い拍手に包まれました。

「秒刻みでセリフのきっかけも決まっていて、ミュージカルのよう」

初日を終え、「正直ホッとしました」と安堵の表情を浮かべた藤原紀香さん。実写映画化時には来生泪役を演じていたことから、「泪姉さんの気持ちを分かりながら瞳のセリフを話すという作業も自分の気持ちの中で出来ましたし、北条先生の作品が大好きなので、2度も携われたことが本当に幸せです」とコメント。早着替えも多いため、「間に合うか間に合わないかドキドキしながらやっていましたけれども、皆さんにカバーしていただきながら。衣裳もお芝居の一部で、素敵なお衣裳を着させていただきながら楽しく芝居が出来ています」と笑顔で語ります。

撮影:山本春花

剛力彩芽さんは3姉妹の艶やかな衣裳について、「姉さん2人がとてもセクシーでそこには敵わないので…特に“セクシーじゃなくしてください”とは言っていなかったのですが、愛ちゃんらしい可愛さとカッコいい要素がある衣裳で、愛ちゃんカラーのオレンジも凄く好きなので、自分のテンションも上がって嬉しいです」とお気に入りポイントを語ります。

藤原紀香さん演じる瞳の恋人・内海俊夫を演じる染谷俊之さんは、「役者になって、こんなことあるんだなって家で毎日思っています」と感動を噛み締める日々のよう。「怒涛のクライマックスは、何が起こっているんだと僕らも追いつかないくらい。本当に面白くて、袖でも笑いそうになっています」と演じる最中でも本作に魅了されていることを語りました。

興奮するとサーベルを振り回すおバカな刑事の平野猛を全力で演じた上山竜治さんは、「前代未聞のスーパーエンターテイメント作品が出来ていると感じた」と初日の手応えを表現。「(藤原さん・剛力さん・高島さんの)3人の気遣いと体当たりのお芝居にずっと感化されて稽古をしていました。キャストの皆さん、天才の集まりなので、一緒にやらせて頂けて本当に光栄」と語ります。

3姉妹の父ミケール・ハインツを始め、活弁士や大成金の袴田を次々に演じる長谷川初範さんは、「僕がこんなにたくさん役をやっているのはどうしてなんだろうと…(稽古)途中で削って頂けたらありがたいなと思っていたんですけれど(笑)。綿密に台本が出来ているので、裏では秒刻みでセリフのきっかけも決まっていて、ミュージカルのように進んでいるんです」と目まぐるしく展開していく本作の演出の裏側を明かしました。

川久保拓司さんは「見てください!とんでもない美の集結!こんなに美しいことってあります?!地球上の美がここ明治座に一極集中している!そんな公演になっています!」と興奮気味にアピール。「泪姉さんが風になびかれて登場するシーンが凄く好きで、美しさと漫画らしさが詰まったワンシーン」といち押ししました。

フランス帰りの才女・浅谷光子を演じる佃井皆美さんは、「美弥るりかさんに接近して頂くシーンがあって…本当に心からグッと来ています。1番好きです!」と美弥さんへの愛を告白?!美弥さんは照れながらも「ありがとうございます」と笑顔に。2人のシーンには、きっと多くの人がときめくはずです。

新谷姫加さんは客席のスタンディングオベーションを見て、「間違ってなかったんだなと。こんな素敵な方々と舞台に立てて、本当に幸せです」と出演の喜びを語り、「ネズミ小僧と浅谷のとあるシーンが好きで、後ろから覗いて見ているくらい好きです」とコメント。

美弥るりかさんは久しぶりの燕尾服に、「まさかまた着る日が来るなんて思ってなかった」と驚きを見せながらも、「(卒団して)4年経っているので、歩き方とか忘れちゃっているよなと思っていたんですが、着たら背筋が伸びる感じや、1歩を大きく出す歩き方、手の出し方、エスコートの仕方は染み付いていて、自分でも驚きでした。当時を知ってくださっている方が今回も観に来て下さるとしたら、当時を思い出して懐かしく思ってくださったら嬉しいです」と笑顔で語ります。

高島礼子さんは「今までやったことのないような芝居ばかりで、演出の河原さんからたくさん指導をいただきまして(笑)。たくさん挑戦をさせて頂いて、本当に楽しいです。自分にこんなことができるんだなと。できているかどうかはお客さんが判断していただけることだとは思うのですが、千秋楽までにもどんどん上達できるんじゃないかとワクワクしています」と新境地への挑戦の喜びを語ります。

また普段は映像作品への出演が多いため、1人で何役もこなすアンサンブルに驚いたそう。「アクションやって、踊りもやって、芝居もやって…アンサンブルの皆さんの見事さは、最高に見どころだと思います」と熱を込めて語りました。

舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』は2月6日(火)から3月3日(日)まで明治座にて上演。公式HPはこちら

Yurika

カンパニーの人柄がとにかく良い!と出演者皆さんが口を揃えて語り、和やかで絆の深いカンパニーの様子が伺えました。