5月6日より東京のシアタートラムにて、田中圭さん主演の舞台『Medicine メディスン』が上演されます。病院が舞台となるエンダ・ウォルシュの最新作に、白井晃さんの演出と素晴らしい演技力を持つ役者が揃いました。今回は日本初演となる舞台『メディスン』について紹介します。

賞賛を浴びたアイルランドの劇作家エンダ・ウォルシュの最新作!

舞台『メディスン』はアイルランドの脚本家・劇作家であるエンダ・ウォルシュの最新作。2021年8月にエディンバラ国際フェスティバルで初演、9月にゴルウェイ国際アーツフェスティバル、11月にニューヨークで上演。新聞各紙に絶賛のレビューが掲載され、演劇界に旋風を巻き起こしました。

パジャマ姿のジョン・ケインと、メアリーという同じ名前の女性が二人。病院を舞台に、演劇セラピーを受ける男性とスタッフのやり取りが繰り広げられるストーリーです。

エンダ・ウォルシュは2021年の初演時のインタビューで「僕の戯曲はどれも、愛されなかったり、ちゃんと見守られなかった人たちを書いてきた」と話しています。『メディスン』は施設やホームにいる人や中毒者など、見守られることが必要な人たちについての物語であり、彼らを見放したらどうなるかを描いた作品とのこと。

また当時のレビューには、「この作品は観客をその骨までえぐる」「完璧であり、愉快で、恐ろしく、そして啓示めいている。いつまでも記憶に残る」「驚愕の舞台・・・劇場へ行き、見て、聞くべきだ・・・薬がこんなに良い味だったことはかつてない」など賞賛の声が溢れています。同時に役者の芝居に対する評価も高く、日本初演のキャストがどう演じるのかも見どころです。

田中圭×奈緒×富山えり子 演技派の俳優とドラム奏者で進む舞台

舞台『メディスン』でジョン・ケインを演じるのは、ドラマ『リバーサルオーケストラ』や『おっさんずラブ-リターンズ-』などに出演し、テレビやCMで見ない日はないくらい活躍中の田中圭さん。舞台作品には『夏の砂の上』以来約1年半ぶりの出演となり、そろそろ田中さんの生のお芝居が観たいというファンの方も多いのではないでしょうか。

メアリーを演じるのは、田中さんと共演したドラマ『あなたの番です』で猟奇的な女性を演じて話題になり、1月から放送の『春になったら』の主演が記憶に新しい奈緒さん。もう一人のメアリーを演じるのは2019年の田中さん主演舞台『チャイメリカ』、『ザ・ウェルキン』など数多くの舞台作品に出演してきた富山えり子さん。また今作には俳優と共に青ヶ島出身のドラム奏者・荒井康太さんも出演します。

シアタートラムの小さな空間で、役者三人とドラム奏者のみで進行する舞台。病院の一室での光景が、目の前で起きた出来事のようにリアルに感じられるのではないでしょうか。とても引き込まれるお芝居をする役者が揃ったので、一人ひとりの表情にも注目しながらエンダ・ウォルシュの世界にどっぷり浸かってみてください。

エンダ・ウォルシュ作×白井晃演出 3年ぶり3作目となるタッグ

エンダ・ウォルシュは映画『ONCEダブリンの街角で』の舞台版でトニー賞ミュージカル脚本賞受賞。デヴィッド・ボウイの遺作となったミュージカル『ラザルス』の脚本をボウイと共同執筆したことでも知られています。

日本初演となる『メディスン』の演出を担当するのは、白井晃さん。エンダ・ウォルシュと白井さんのタッグは2018年上演の『バリーターク』、2021年上演の『アーリントン』に続き3作目です。白井さんは「私にとってエンダ・ウォルシュほど刺激的な作家はいません。」と、不思議で簡単には理解しにくい戯曲への印象と共に創作への意気込みを語っています。

また田中さんは「メディスン。不思議な作品で、難しいです。ただ、今のこの不思議な時代を生きている僕らに何か救いとなるような、刺激となるようなお薬があったらいいな。という思いで挑戦します!!」と意気込み、奈緒さんは「難解な本に静かな興奮をおぼえました」と期待を語り、富山さんは「今から喜びと畏れで震えています」とコメント。評価が高くファンの多い白井さんの演出でどのような作品が創り上げられるのか、観劇予定の筆者も今からワクワクが止まりません。

舞台『メディスン』は5月6日から6月9日まで東京のシアタートラムにて上演。その後、6月14日から16日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、22日・23日に愛知・東海市芸術劇場大ホール、29日・30日に静岡・GRANSHIP静岡県コンベンションアーツセンター中ホール・大地と各地をツアーで周ります。詳細については公式HPをご覧ください。

かずちぃ

小さな劇場でのお芝居は役者の息づかいや細かい表情の変化まで感じられます。荒井さんのドラム演奏がどのようにお芝居を彩るのかも楽しみです。