日々、多くの作品が上演されている小劇場演劇。どれを観たらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、演劇を愛するAudience編集部が独断と偏見で、4月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!

新進気鋭の注目劇団 papercraftの新作公演『空夢』

昨年浅草九劇にて上演された第8回公演『檸檬』が、第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞し、話題を呼んだ劇団 papercraft。フィクションを徹底的にリアルへ落とし込み、事実になる瞬間を創作する作品が魅力の劇団です。

無意識でものを捨て続けてしまう「ぽいほい病」という難病に侵された男の物語や、「桃から生まれた人間は強制的に戦地へ送られてしまう国」、「存在意義を失うと人間はムシになってしまう世界」「私一人の概念が、ある日突然二人になった女」など、フィクションを徹底的にリアルへ落とし込み、事実になる瞬間を創作する作品が魅力の劇団です。

新作公演『空夢』は、「同級生の街」を舞台に、街の同級生が一人多かったことに気づいたところから徐々に様子がおかしくなっていく男女と、その街を描いた作品。

今回のキャストには、世界的ダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス)のメンバーで、舞台『ある都市の死』や、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』などに出演している小栗基裕さん。
そして、ドラマ『チア☆ダン』『監察医朝顔』、『舞台・エヴァンゲリオンビヨンド』などに出演している坂ノ上茜さんが、W主演を務めます。

共演には、劇団papercraft第7回公演『世界が朝を知ろうとも』以来2度目の出演となる劇団4ドル50セントの前田悠雅さん、ダンサー・振付家としての活躍に止まらず、KAATプロデュース『ジャズ大名』や第66回岸田國士戯曲賞を受賞した範宙遊泳『バナナの花は食べられる』など話題作に出演している入手杏奈さん。音楽劇『浅草キッド』などに出演の村上航さん(猫のホテル)。

そして、劇団papercraftの公演に複数回参加している朝田淳弥さん、佐々木修二さんです。

海路さんは本公演の上演にあたり、「空夢って言葉を知ってから、この作品を書きたくなりました。辞書で引くと「見もしないのに、見たようにこしらえて語る夢」だ、そうです。物語を考えてるうちに、創作活動自体がまさに空夢じゃん、なんて発見をしたりなんかもしてます、今。ひとまず劇場に、そんな空夢を観にきて頂けたら幸いです。頑張りますので」とコメントしています。

今一番勢いがあると言っても過言ではない劇団papercraftの『空夢』は、4月26日 (金) 〜 5月6日 (月・祝) に東京・すみだパークシアター倉にて上演です。上演時間は約2時間を予定しています。詳細は公式HPをご確認ください。

小心者のくせにだらしない2人の元に、殺したはずの彼氏が…!? MCR『前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)』

amazon prime video『恋に落ちたおひとりさま〜スタンダールの恋愛論〜』、NHK『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』、テレビ朝日『相棒』などの脚本なども手がける櫻井智也さんが作・演出を務める劇団MCR。今年で30周年を迎えます。

最近では「軽妙な会話」で紡ぎつつ「悲劇的状況をも喜劇に転化させる」作品を上演しています。MCRの最新作は、『前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)』。

知り合いだけれども、そこまで仲が良い訳ではないみのりと海里。
ある日、些細なことで彼氏と喧嘩してしまった海里は、そこに居合わせたみのりと共に彼氏を殺してしまいます。誰にも見られてない、証拠も残っていない、何の心配もないはず。
しかし、なぜか、殺された彼氏が当たり前のようにそこにいて、海里とみのりに話しかけてきて…。

一度見ると虜になるMCRの新作公演『前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)』は4月24日 (水) ~ 4月30日 (火)に東京・ザ・スズナリにて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。

ポーランドで生まれた「20世紀の傑作」を舞台化 新国立劇場『デカローグ 1~4』

ポーランドの名匠、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の名作『デカローグ』。もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987〜1988年にかけて撮影され、その後、評判の高さから、劇場公開されました。今回は、新国立劇場で完全舞台化されます。

旧約聖書の十戒をモチーフに 1980 年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集。オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品になっており、それぞれ別々の作品でありながら、緩やかにリンクしているのも、この連作の魅力の1つになっています。

全10作のうち、4月13日(土)〜5月6日(月・休)に上演されるのは、1〜4の4作品。プログラムAとBの交互上演になっており、プログラムAでは、小川絵梨子さん演出のデカローグ1『ある運命に関する物語』と、デカローグ3『あるクリスマス・イヴに関する物語』。プログラムBでは上村聡さん演出のデカローグ2『ある選択に関する物語』とデカローグ4『ある父と娘に関する物語』が上演されます。

デカローグ1『ある運命に関する物語』は、大学教授の父・クシシュトフと12歳になる息子・パヴェウの物語。パヴェウは父からの手ほどきを受け、パソコンを使った数々のプログラム実験を重ねています。彼らを待ち受ける苛酷な運命とは…。

デカローグ2『ある選択に関する物語』は、同じアパートで暮らす、愛人の子供を身籠ったバイオリニストの女性・ドロタと一人暮らしの医師の物語。ドロタは重い病を患って入院している夫・アンジェイの余命を知りたいと医長の元を訪ねます。

デカローグ3『あるクリスマス・イヴに関する物語』は、タクシー運転手・ヤヌシュとその元恋人の物語。クリスマス・イヴを妻と子どもと共に過ごすべく帰宅したヤヌシュ。子供たちの為にサンタクロース役を演じたりと仲睦まじい家族の時間を過ごしていたところ、夜遅くに元恋人の女性・エヴァが現れ「失踪した夫を一緒に探してほしい」と頼み込みます。

デカローグ4『ある父と娘に関する物語』は、2人暮らしをしている父・ミハウと娘・アンカの物語。
アンカの母は、アンカが生まれた時に亡くなっていました。友達同士の様に仲良く、幸せに生活していた父と娘でしたが、ある日アンカが「死後開封のこと」と父の筆跡で書かれた封筒を見つけ…。

「20世紀の傑作」と言われている本作の舞台化、オムニバス形式で観やすいこともあり、映画好きのかたの観劇デビュー作におすすめです。『デカローグ 1〜4』は4月13日(土)〜5月6日(月・休) に東京・新国立劇場小劇場ThePITにて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。

ミワ

皆さんの注目作品も是非教えてください!