1986年に公開され、長年語り継がれてきた伝説の香港映画『男たちの挽歌』。華麗なガンアクション、独自の映像美、熱くも美しい男たちの生き様が強い印象を残す、多くの人から愛されてきた名作です。そんな『男たちの挽歌』が2024年、時代を超え、国境を超え、音楽劇『A Better Tomorrow -男たちの挽歌-』として新たなステージを迎えます。今回は、気になるあらすじや豪華キャスト陣についてご紹介していきます。

あの名作がオリジナル脚本で蘇る!

音楽劇『A Better Tomorrow -男たちの挽歌-』の脚本・演出を担当するのは、劇作家・演出家の鄭義信(チョン・ウィシン)さん。オリジナル脚本を書き下ろし、香港映画の傑作『男たちの挽歌』を音楽劇として蘇らせます。

舞台は香港の裏社会。ホーは、親友で弟分のマークと共に裏組織に加わり、偽札の製造、取引に関わっています。彼は、病気の父・ディエンと学生の弟・キットを養うため、幹部として仕事をこなしていました。しかし、キットは、ホーとマークが組織で働いていることを全く知らないまま、正義感に燃え警官を目指しています。

ホーは、キットの警官としての就職を機に組織から足を洗うと父に約束し、最後の仕事として台湾での取引に向かいます。しかし、その取引は密告されており、警察に取り囲まれたホーは、ボスの息子・シンを逃がして自首することに。

一方の香港では、取引の失敗を受け、口封じのために組織がホーの家を襲撃。ディエンは殺され、キットは尊敬する兄が裏組織の一員だったことを知ります。さらに、その事情を知ったマークは報復を決意。裏切り者の一派に単身で乗り込み、敵を皆殺しにするも、足を負傷してしまいます。

その後、8年の服役を経て、ホーは出所します。しかし、父が亡くなる原因をつくり、警官としての出世を妨げる存在である兄を、キットは受け入れられません。それでも和解を願うホーは、今度こそ堅気として穏やかに暮らそうとしますが……。

原作の核でもある兄弟愛や友情のドラマ、人と人とがぶつかるパワフルなエネルギーはそのままに、新たに香港の現代史を盛り込んだ、社会の大きなうねりを肌で感じられる内容となっています。

普遍的人間ドラマの匠・鄭義信の新たな挑戦!

音楽劇『A Better Tomorrow -男たちの挽歌-』で脚本と演出を担当する鄭義信さんは、2014年に春の紫綬褒章を受賞。近年は『パーマ屋スミレ』『赤道の下のマクベス』『すべての四月のために』『泣くロミオと怒るジュリエット』といった話題作を次々と生み出してきました。また、2021年3月には、浅草九劇をホームグラウンドとした劇団「ヒトハダ」を旗揚げし、活躍の場を広げ続けています。

2023年には『パラサイト』の日本舞台化で脚本・演出を手がけ、作品の舞台を90年代の関西に移して上演。2024年には、沢尻エリカさんを主演に迎えた『欲望という名の電車』の演出を手がけました。

鄭さんの得意ジャンルは「普遍的人間ドラマ」。例えば、近年の代表作と言える『泣くロミオと怒るジュリエット』は、『ロミオとジュリエット』『ウエストサイド物語』をもとにした、現代版の「垣根」の物語です。また、劇団ヒトハダの旗揚げ公演『僕は歌う、青空とコーラと君のために』では、1950年代アメリカンポップスのヒット曲に乗せて、多様な事情を抱える人々の共存を描きました。

そんな鄭さんが今回、伝説の映画を音楽劇に生まれ変わらせるという新たな試みに挑戦します。世の中に鋭い視線を向けながら、登場人物の人生を克明に活写する匠の手腕に、期待が高まります。

今をときめく豪華キャスト陣に大注目!

新米の警官であり、兄に反発心を抱くキットを演じるのは、7人組男性アイドルグループ Travis Japanの松倉海斗さん。兄貴分のホーと組織に加わるマークを、同じくTravis Japanの川島如恵留さんが演じます。松倉さんと川島さんは、グループ全員でのアメリカ留学を経験しており、ここ数年で演技力や歌唱力が急成長しています。本作では一体どんなお芝居が見られるのでしょうか。

また、物語の柱を担うホー役を青柳翔さん、裏組織のボスの息子・シン役を岡田義徳さんが演じます。岡田さんは本作について、「僕は鄭義信という演出家が大好きなので、出演が決まった時は飛び上がるぐらい嬉しかったです」「人間の持つエネルギーみたいなものを最大限前に出す演出をしてくださる鄭さんなので、今回も“男たちが全身を使って叫んでいる姿”を見られる舞台になるのではないかなと思っています」とコメントしています。

音楽劇『A Better Tomorrow -男たちの挽歌-』は、2024年6月24日(月)から7月8日(月)まで東京の日本青年館ホール、7月12日(金)から16日(火)まで大阪のオリックス劇場で上演予定です。詳しくは公式HPをご覧ください。

さよ

演劇ならではの新たなアクションシーンと骨太な人間ドラマ、生のお芝居だからこそ感じられる人々のエネルギッシュさを、ぜひ劇場で楽しんでみてはいかがでしょうか?