毎年6月になると、演劇・ミュージカル界隈はトニー賞の話題で持ちきりになります。演劇好きなら誰しもその存在を知っているとは思いますが、トニー賞がどのような賞なのか、知っているようで知らないという方も多いのではないでしょうか?今回は77回目の授賞式を目前に控えたトニー賞について、詳しくご紹介します。
今年で77回目の開催!世界が注目するトニー賞とは
トニー賞はブロードウェイで前年4月末からの1年間に上演された作品を対象に、その年の優れた演劇作品とミュージカル作品に授与するアメリカ演劇界の年間賞のこと。
テレビのエミー賞(Emmy)、音楽のグラミー賞(Grammy)、映画のアカデミー賞(Oscar)と並ぶ、エンターテイメント・アワードの花形です。
26部門の賞と特別賞から構成され、新作とリバイバル上演作品からそれぞれ選ぶ作品賞、男・女優賞の他、演出賞、衣装デザイン賞、照明デザイン賞など制作スタッフへの賞も設けられています。
ノミネート作品は毎年5月に発表され、アメリカ演劇協会の評議員、演劇界を代表する俳優、演出家ら約830人の投票によって決まるのです。
投票の結果は、6月に開催される授賞式で発表されます。授賞式といっても堅苦しいものではなく、豪華スターによる熱いスピーチや華やかなパフォーマンスが見られるショーアップされた式典です。
その様子は全米ではCBS、日本ではWOWOWで生中継されますが、争奪戦になるチケットを運良く購入できた一般の人も、式典に参加できます。
トニー賞の正式名称は、アントワネット・ペリー賞。アントワネット・ペリーは女優、演出家、プロデューサーとして活躍し、ブロードウェイの発展に貢献した偉大な女性です。その功績を称え彼女のニックネームであるトニーから名付けられたトニー賞は、1947年の第1回開催から今年で77回目を迎えます。
第77回トニー賞のノミネート作品
<演劇作品賞>
『ジャジャズ・アフリカン・ヘアー・ブレイディング』
『メリー・ジェーン』
『マザー・プレイ』
『プレイヤー・フォー・ザ・フレンチ・リパブリック』
『ステレオフォニック』
<演劇リバイバル作品賞>
『民衆の敵』
『アプロプリエイト』
『パーリー・ヴィクトリアス:ア・ノン・コンフェデレート・ロンプ・スルー・ザ・コットン・パッチ』
<その他演劇部門ノミネート>
『ワーニャおじさん』
『ダウト~疑いについての寓話』
『パトリオッツ』
【ミュージカル作品賞】
『ヘルズ・キッチン』
『イリノイ』
『アウトサイダー』
『サフス』
『サーカス象に水を』
【ミュージカルリバイバル作品賞】
『キャバレー』
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』
『メリリー・ウィー・ロール・アロング』
『TOMMY』
<その他ミュージカル部門ノミネート>
『きみに読む物語』
『酒とバラの日々』
『レンピッカ』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
『サフス』
『モンティ・パイソンのSPAMALOT』
第77回トニー賞には、演劇・ミュージカル部門を合わせて26作品がノミネート。演劇部門では、架空の70年代バンドがスターダムを駆け上がるまでを描いた『ステレオフォニック』が演劇部門史上最多の13部門にノミネートされました。
ミュージカル部門では、グラミー歌手のアリシア・キーズが手掛けた半自伝的ミュージカル『ヘルズ・キッチン』も13部門にノミネートされています。
次いで多い12部門に選出されたのが、同タイトルの映画で知られ、アンジェリーナ・ジョリーがプロデュースしたミュージカル『アウトサイダー』です。
ミュージカルリバイバル作品部門では、『キャバレー』からエディ・レッドメインが主演男優賞、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』からダニエル・ラドクリフが助演男優賞にノミネートされました。映画『ハリー・ポッター』シリーズの2大ヒーローがそれぞれ受賞するのか、注目したいところですね。
主演女優賞にはトニー賞常連のケニー・ オハラが『酒とバラの日々』でノミネートし、2度目の受賞を狙います。
毎年話題を呼ぶ授賞式の司会者は、去年と一昨年に続きアリアナ・デボーズ。
トニー賞の楽しみの1つであるオープニングアクトを2年連続で盛り上げたアリアナに、今回も期待が高まります。 今年の会場は、リンカーンセンター内にあるデイヴィッド・H・コーク劇場。ニューヨーク・シティ・ バレエの本拠地であるこの劇場でトニー賞が開催されるのは、今回が初めてです。
トニー賞を見るならWOWOW!6月はトニー賞月間
第77回トニー賞授賞式は、WOWOWにて独占放送。
日本時間の6月17日(月)の午前8時から「生中継!第77回トニー賞授賞式」と題し、同時通訳による二か国語版にて独占生中継、ライブ配信されます。
番組ナビゲーターを務めるのは、今回4度目のタッグを組む井上芳雄さんと宮澤エマさん、そしてスペシャル・サポーターは、今回初出演の京本大我さん。
日本の演劇界を牽引し、舞台をこよなく愛する3人からどのような解説とトークが飛び出すのかも必聴です。
リアルタイムで番組が見られない場合や字幕を見ながらゆっくり楽しみたい場合は、6月23日(日)の15時・7月27日(土)の15時半の字幕版放送がおすすめです。
授賞式の前には井上さん、宮澤さん、京本さんによるトニー賞の関連番組を放送。
昨年の授賞式の振り返りや今年のノミネート作品、トニー賞の楽しみ方が紹介されますので、今年の推し作品・俳優を見つける良いヒントになりそうです。
またYouTubeの公式チャンネルでは、6月14日(金)18時までの期間限定で今年のトニー賞ノミネート作品と最新情報を予習できる特集動画も配信されています。
6月のWOWOWは、トニー賞月間!トニー賞授賞式の開催を記念して、ミュージカル映画や舞台公演、ミュージック・フェスなどが目白押しの演劇ファン垂涎の1か月です。
エンタメ業界の中でも特にシビアな世界と言われるブロードウェイでは、トニー賞の受賞によって舞台の興行収入が上がったり、反対に受賞を逃して閉幕に追い込まれたりすることもあるそうです。今後日本でも上演されるかもしれない作品や未来のスターを見つけられるのもトニー賞の醍醐味の一つですので、ぜひ授賞式にご注目ください。