9月6日より東京・愛知・大阪で上演の舞台『夫婦(めおと)パラダイス~街の灯はそこに~』は、日本文学の名作やレジェンドにオマージュを捧げるシリーズ「日本文学シアター」の第7弾です。今回のモチーフは織田作之助の『夫婦善哉』。笑いにいろどられた奇想天外な舞台のみどころをチェック!

織田ワールドにインスピレーションを得た北村想オリジナル作品

『夫婦パラダイス』は、尾上松也さんと瀧内公美さんが主人公の駆け落ちカップルを演じる舞台。尾上さんの柳吉と瀧内さん扮する蝶子のカップルが、蝶子の腹違いの姉の信子(高田聖子さん)のスナックに流れ着き、騒動が起きていきます。

作・北村想さん、演出・寺十吾さんのコンビによる「日本文学シアター」は、これまで『草枕』(夏目漱石)『風博士』(坂口安吾)をはじめとする日本文学の名作や文豪たちの世界観を、北村さん独特の発想で新たな劇世界へと発展させ、人気を集めてきました。

『夫婦パラダイス』のモチーフとなる『夫婦善哉』は戦前の大阪を舞台にした人情芝居で、何度も映画化やドラマ化がされてきました。今作は、『夫婦善哉』の柳吉と蝶子のカップルになぞらえつつ、北村さんの発想で予測不能な展開が期待されます。

北村さんは、過去に織田作之助の生涯をテーマにした戯曲『オダサク、わが友』を書き下ろして上演しています。無頼派として名を残した織田の生き様と信条、彼の作品の中でのドラマを、織田と同時代の作家や俳優も登場させ描いた群像劇でした。『夫婦パラダイス』でも、北村さんの眼を通した「織田ワールド」が映し出されるかもしれません。

二本立て芝居で好演の尾上松也×『光る君へ』で存在感見せる瀧内公美

尾上松也さんは、歌舞伎俳優であるとともにドラマ・舞台でも欠かせない実力派。昨年は2本立て芝居の『ガラスの動物園/消えなさいローラ』で青年トムと葬儀屋を名乗る謎の男の2役を好演しています。『夫婦パラダイス』でも頼りない亭主・柳吉をどう演じるか、期待がわきます。

瀧内公美さんは放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』で、藤原道長の2人目の妻の源明子として出演しています。父の源高明が藤原氏との政争のさなかで亡くなり、道長や兼家に愛憎半ばする感情を持つ明子を、情念たっぷりに演じていました。大人の女性を巧みに演じられる瀧内さんにより、いきいきとした蝶子が舞台で観られそうです。

大阪を舞台にしたコミカルで、でも人生訓もたっぷりな『夫婦善哉』が北村さんと寺十さん、キャストによりどうアレンジされるのか。『夫婦パラダイス』は9月6日から19日まで東京・紀伊國屋ホールで、9月22日・23日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールで、9月26日・27日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演されます。一般前売チケット発売は7月20日から。公式HPはこちら

令和の現代にはなつかしい、レトロでほっこりできる舞台になりそうです。