『12人の優しい日本人』『ショー・マスト・ゴー・オン』『彦馬がゆく』などを上演し、1994年に“30年の充電期間”を発表した伝説の劇団・東京サンシャインボーイズ。宣言通り2024年、東京サンシャインボーイズの面々が再集結!2025年2月からPARCO劇場を皮切りに、全国で新作舞台『蒙古が襲来』を上演します。
群像劇、コメディ、そして時代劇を詰め込んだ作品に
東京サンシャインボーイズの新作舞台製作発表会見に出席したのは、相島一之さん、阿南健治さん、小原雅人さん、梶原善さん、甲本雅裕さん、小林隆さん、近藤芳正さん、谷川清美さん、西田薫さん、西村まさ彦さん、野仲イサオさん、宮地雅子さん。そして2009年に劇場シアタートップスの閉館イベントとして『returns』を上演した際にも出演した劇団研究生の吉田羊さん。作・演出の三谷幸喜さん、演出補の福島三郎さんが登壇しました。
まずは三谷幸喜さんと、三谷さんから「一番たどたどしくなりそうだったから」という理由でご指名され、MCを務める相島一之さんが登場。相島さんの「東京サンシャインボーイズ全員集合!」という呼びかけと共に皆さんが登壇し、製作発表会見がスタートしました。
人気絶頂時の活動休止宣言について、三谷さんは「劇団として上り調子で、みんなが俳優として売れていって、僕は脚本や演出はやるけれどもマネジメントはできないと思った時に、一番売れている時に解散しちゃって、それぞれみんなが事務所に入れていただいて、各々頑張ってもらおう」と思ったのだといいます。1994年の『罠』の最終公演の日には、様々な芸能プロダクションのスタッフを呼び、実際に「うちの劇団の役者いりませんか?」とお話しされて回ったのだそう。
しかし『罠』のパンフレットには、30年後の2024年、新宿シアタートップスにて、老境サンシャインボーイズ第1回公演『リア玉』の告知が入れられていました。「『リア玉』は玉の製作に時間がかかって間に合わないことが分かった」のでやらないとのことですが、宣言通り2024年に復活公演の発表を行うこととなりました。(上演は2025年)
そして作品については、「サンシャインボーイズといえば、群像劇、コメディ。それはやっぱり欠かせないなと思います。僕は劇団を辞めた後、時代劇を何本か書かせていただいて、時代劇でいきたいなと思いまして、群像劇でありコメディであり、時代劇という作品をやろうと思いました」と三谷さんから語られ、『蒙古が襲来 Mongolia is coming』のタイトルが発表されました。
作品について三谷さんは「元寇を舞台にした、鎌倉時代のお芝居です。蒙古がやってくるその日の朝、何も知らない九州のとある漁村が舞台です。そこで繰り広げられるアットホームなコメディ。それ以上はまだ考えていないんですけれども、何となくですけれども、凄い傑作になるような予感はあります」と語ります。
また『罠』での告知では上演劇場は新宿シアタートップスとなっていましたが、新宿シアタートップスが閉館時に本公演のお話があがっていたため、PARCO劇場での上演が決まったそう。そして全国10箇所を回る全国ツアーとなります。
やろうと言われた時、断る選択肢が「僕にはなかった」
長年東京サンシャインボーイズに在籍している梶原善さんは、「公演中にお客様の爆発的な笑い声、ドッカンドッカンとなっていたのが心に残っています。劇団休止後、いくつかの舞台に立ちましたが、そこまでお客様がドッカンドッカンしてくれることはないです。だからそれだけ、サンシャインボーイズのメンバーと、三谷さんが書く脚本でお客様が笑ってくれたということが凄いなと今でもたまに思い出すんですけれども、来年もPARCO劇場で体験できるのかなと思うとすごく楽しみ」と意気込みます。
相島さんは「感無量です。30年前に劇団を休団、ほぼ解散した時に、シャレだろうなと思って“30年後にまたやろうぜ”と言っていたのが、だんだんと年数を重ねて、15年前に一回復活して、もしかしたら本当にできそうだなとなってきて、今こうやってみんなと会えると本当に嬉しいです」と皆さんのお顔を見渡してしみじみと喜びを噛み締めました。
小林隆さんは情緒たっぷりに「昔味わった、台本を開く瞬間、今度は何が飛び出すか。久々に大きなびっくり箱をみんなで開けられることが非常に嬉しいし、楽しみだし、ワクワクします」と語り、福島三郎さんから「製作会見の前に1人でブツブツ言いながら場当たりをしていた」と暴露される一幕も。
近藤芳正さんは役者を辞めようか迷っていた時期に東京サンシャインボーイズに初出演されたそうで、「お芝居って楽しんじゃいけないものだと思っていたんですけれど、楽しんでいいんだということが心の底から分かって。これだったらもう売れなくてもいいや、三谷さんの脚本でみんなと稽古しながら年に2〜3本やれれば、あとはバイトする幸せもあるなと心の底から思って。そしたら三谷さんが一躍勢いに乗って売れてしまって、自分の方にもいろいろと仕事が来るようになって、思いもよらない人生になった」と振り返ります。
また東京サンシャインボーイズの魅力について「皆さんがすごく面白くて、本当にあて書きの面白さが素晴らしくあって、みんながそれぞれどこか変でどこか真面目で。決して仲がいいわけではなく、普段は結構バラバラなんですが、三谷さんの芝居になると一致団結するという結束力と力強さは正直感動していました」と熱を込めて語られました。
吉田羊さんは『returns』上演時に客演として参加して以来の出演となり、「『returns』のカーテンコールで相島さんから“今回から僕たちの仲間になってくれるメンバーをご紹介します”と呼び込んでいただいて、私は全く知らなかったものですから、本当に驚いて嬉しかったのを今も昨日のことのように覚えています。そして15年経って、またこうして本当に復活公演にお声をかけて頂いて、この15年間仕事を辞めずに続けてきてよかったなとつくづく感じております」と出演の喜びを語りました。
三谷さんは復活公演が実現した経緯について「正直、僕はだんだん30年が近づいてくるに従って、嫌だなぁ、本当にやるのかなという思いがあったんですけれども。役者のみんなと当時のスタッフが集まって、やろうよ、やりたいっていう声を聞いたときに、僕は本心で言いますけれども、この人たちに育てていただいたっていう思いがすごく強いので、彼らがやろうと言ったときに、それはちょっと勘弁してくれと言う選択肢は僕にはなかったので、言ってくれた時点でやりましょうと」決意されたという、秘めた熱い想いが明かされました。
パルコ・プロデュース2025 東京サンシャインボーイズ復活公演『蒙古が襲来 Mongolia is coming』は、2025年2月9日(日)から3月2日(日)までPARCO劇場で上演後、全国ツアーへ。3月に岡山・京都・松本・仙台、4月に札幌・大阪・豊橋・福岡、5月に那覇で上演が行われます。またPARCO劇場開幕直前に、新宿シアタートップスにてプレイベントを開催予定。公式HPはこちら
三谷さんからは「これを機に劇団が再結成するわけではないんです。この公演が終わり次第、再び充電期間に入ります。次回公演は80年後、2105年になります。今世紀最後の東京サンシャインボーイズ、ぜひお見逃しなく」とコメントがあり、本公演が本当に東京サンシャインボーイズ最後の公演となりそうです。