日々、多くの作品が上演されている小劇場演劇。どれを観たらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、演劇を愛するAudience編集部が独断と偏見で、8月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!
下町・三ノ輪で繰り広げる“わたしたち”のホームドラマ かるがも団地『三ノ輪の三姉妹』
「かるがも団地」は、脚本・演出の藤田恭輔さんを中心に、2018年に結成した劇団。「団地のようなあたたかさ、多様性」を合言葉に、 不器用ながらも懸命に生きる人々をおもしろおかしく、ちょっと切なく描きます。
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団が主催する、脚本・演出・構成力に優れ、今後の飛躍が期待される劇団を集めて贈る『MITAKA “Next” Selection』の25回目に選出されたかるがも団地。
新作公演『三ノ輪の三姉妹』は、荒川区の三ノ輪で生まれ育った三姉妹と、その母が軸となった物語です。
互いの間に溝ができたまま大人になってしまった葉月、苑子、茜の三姉妹。
そんな三人を一人で育て上げ、愛情を注いでくれた母はもう老い先がそう長くはありません。
家族。なぜか共に生きてしまった、いちばん近い他人。
寝苦しいひと夏のギクシャクを描きます。
主宰で、本作の脚本・演出を務める藤田さんは上演にあたり以下のようにコメントしています。
「第9回本公演は、下町・三ノ輪で繰り広げる“わたしたち”のホームドラマです。
憧れの舞台でまたとない機会をいただきました。大プレッシャーで今からくらくらしそうですが、やっちゃります」
『三ノ輪の三姉妹』は、8月31日(土)〜9月8日(日)に東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。
劇団スポーツがお届けする不条理脱出コメディ『徒』
2016年に旗揚げされた劇団スポーツ。「スポーツ」の由来は、俳優が脚本の向こうに飛び越えて遊ぶことをスポーツとしたからだそう。
”わかっちゃいるけどやめられない”をモットーに、変化を恐れ安定を求めてしまう人間の無意識的な弱さを可笑しみを持って描くコメディを創作。新たな一歩を踏み出す勇気が持てない人の傍にそっと寄り添う作品づくりを目指しています。活動は演劇だけにとどまらず、2020年には行定勲監督の映画『劇場』に劇団員一同出演を果たしました。
今回、新作『徒』で扱うのは、いたずらに時間を浪費し、論点を脇道に逸らし続ける人々を描く《不条理脱出コメディ》です。
目を覚ますと、見覚えのない部屋。そして、手足を縛られた人々。
私たちはどこから来たのか、私たちは何者か、私たちはこれからいったいどうすればいいのか。
確かなことがなにひとつわからないまま、記憶と妄想が入り乱れ、徒に時間だけが過ぎてゆき…。
劇団スポーツ『徒』は、8月28日(水)~9月1日(日)に、東京・小劇場 楽園にて上演です。詳細は公式HPをご確認ください。
「言葉」をめぐる会話劇 イマにヒとコへ(え)『ねぇ、あのさ』
イマにヒとコへ(え)は、脚本家の花香みづほさんと演出家の木川流さんが主宰する団体で、2021年には、ヨコハマ学生演劇フェス2021で大賞・観客賞を受賞しています。
イマにヒとコへ(え)の作品はいつも、どこかの誰かの話からはじまっています。
「誰かのそばにいることは幸福で、嫌なことがあった日は、誰かと話していい日にしたい。
あなたの 明日の となりへ
楽しかった日も悲しかった日も忘れられない日も人生で。
願わくば、私たちの作品があなたの隣人になれますように」と、観客の人生に寄り添った作品を発表し続けています。
第5回公演となる『ねぇ、あのさ』は「言葉」をめぐる会話劇です。
誰とでも意志を交わすための「一般辞書」、より豊かに言葉を扱うための「上級辞書」、世界や心に響く言葉を扱える、唯一無二の「特別辞書」とそれぞれが辞書を持っている世界。
しかし、いつも庭を眺めている夫の様子は、辞書を以ってしても見つかりません。
自分の知らない気持ちを持っている夫を理解するべく「言葉」を見つけようとする妻と、答えられない夫、そんな2人を取り巻く人物たちの群像劇となっています。
イマにヒとコへ(え)『ねぇ、あのさ』は、8月29日(木)〜9月1日(日)に東京・王子小劇場にて上演です。上演時間は途中休憩なし、約100分を予定しています。詳細は劇団公式Xをご確認ください。
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