この冬開幕するミュージカル『プロデューサーズ』。日本では4度目の上演ですが、WEST.の濵田崇裕さんと神山智洋さんをW主演に迎え、新演出版として帰ってきます。今回はこの作品の魅力を深掘り。映画・ミュージカル、共に愛され続ける理由に迫ります。

最低で最高のミュージカル、開幕!

まずは物語のあらすじから。

マックスは、かつてブロードウェイでヒット作を飛ばした名プロデューサー。それが今では破産寸前、打ち出す芝居がことごとく不入りの日々です。そんな彼のオフィスに、気の弱い会計士・レオが派遣されたことから、話はひょんな方向へ。

帳簿を調べていたレオは、成功した芝居よりも失敗した芝居の方が利益を生むことに気づきます。それを聞いたマックスは、計画的に芝居を失敗させて出資者から集めた資金を騙し取り大儲けする詐欺を提案。

二人は一世一代の詐欺興行を打つべく、「最悪の脚本家、最悪の俳優、最悪の演出家」を探し始めます。そうしてたどり着いたのが『ヒトラーの春』。ヒトラーをこよなく愛するドイツ人・フランツが書いた脚本です。次に最低の演出家・ロジャーとアシスタントのカルメンをスカウト。

加えてろくに英語がしゃべれないスウェーデン娘ウーラを主演女優に迎え、ホールドミー・タッチミーらニューヨーク中の裕福な老婦人たちから巻き上げた出資金を元に、史上最悪のミュージカル製作に乗り出していきます。

1968年の同名映画を元に2001年にブロードウェイで舞台化され、トニー賞において史上最多の12部門で最優秀賞を受賞した本作。ロンドンのウエストエンド、カナダ、ドイツ、オーストラリア、韓国など世界各国で上演を重ね、2005年にはブロードウェイ・オリジナル主要スタッフとオリジナル主演キャストによる映画も製作されています。

コメディの王道を行く分かりやすさと、ウィットに富んだ掛け合い。国や性別を問わず、多くの人に長く愛される作品となりました。

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ゴージャスでパンチの効いたキャラクターたち

本作の魅力を語るには、キャラクターの紹介は欠かせません。濵田崇裕さん演じるマックスと神山智洋さん演じるレオのでこぼこコンビはもちろん、彼らのミュージカル製作に巻き込まれる面々もなかなかの曲者揃い。

王林さん演じるウーラは、2005年製作のリメイク版映画では『キル・ビル』などで知られるユマ・サーマンさんが演じています。高身長、美しいスタイル……ある意味お色気担当とも捉えられますが、英語が全く喋れない故の滑稽さも持ち合わせているキャラクターです。このハードな役をミュージカル初挑戦の王林さんがどのように演じるのか、注目されている方も多いのではないでしょうか。

新納慎也さん、神里優希さん扮するロジャーとカルメンのカップルもパワフルで印象的。物語に一癖も二癖も味を加える役どころです。いかに強烈に演じるかが肝になりそうですが、実力派の新納さんと歌唱にも定評のある神里さんコンビでどのように魅せるのか、今からとてもドキドキですね。

そしてヒトラー信者のフランツには岸祐二さん。映画版や過去のミュージカルでも鳩とのコミュニケーションが印象的な役ですが、アドリブ演技もお得意の岸さん、このコミカルで狂気に溢れた役を華麗に演じてくれること間違いなしです。

最後にホールドミー・タッチミー。島田歌穂さんと友近さんがWキャストで演じます。彼女が率いるおばあちゃん軍団は圧巻。これが一番ツボ、と思う方も多いはずです。

ナチスやゲイ、お色気シーン、現代ではコンプライアンスに引っかかってしまうのでは、と心配にもなりますが、これこそが昔から親しまれてきた王道のコメディだ、とも言えます。ダンスシーンも豊富とのことで、華やかに軽やかに、懐かしく新しい『プロデューサーズ』を観られるのではないでしょうか。

この作品が2024年の日本ではどのように表現されるのか、皆さんもぜひ劇場で確認してみてくださいね。予習として過去の映画版をご覧になるのも楽しいかもしれません。

ミュージカル『プロデューサーズ』は2024年11月8日(金)〜12月6日(金)東京・東急シアターオーブにて上演予定。9月21日(土)からは一般発売が開始されます。詳しくはこちらをご覧ください。

かとうまゆ

ウーラ役が王林さんと知った時は、あまりのピッタリさに思わず声が出ました。初舞台・初ミュージカルとのことで、彼女の新たな挑戦に大注目です!