2008年の初演から好評を博し、再演のたびに当日券に長蛇の列ができるハイバイの代表作『て』が12月19日(木)から東京・本多劇場にて再演されます。『て』は、ハイバイ主宰の岩井秀人さんの実の家族をモデルにした悲喜劇です。今回「完全版」として、キャストを一新します。

ハイバイ流の「笑うしかない」切実さと悲惨さのバランスが形成された代表作『て』

2003年に主宰の岩井秀人さんを中心に結成された「ハイバイ」。向田邦子賞、岸田國士戯曲賞の受賞経験のある岩井さんが、ありえそうでありえない世界を描き、観客に「ありそうだぞ、いやこれが世界そのものだ」と思わせます。

代表作には昨年ミュージカル化された『おとこたち』や、第57回岸田國士戯曲賞受賞の『ある女』、全国各地に赴き、参加者が「自分の身に起こった話を書き、演劇化して本人が演じる」という『ワレワレのモロモロ』などがあります。

2008年の初演以来、再演のたびに当日券を求めて観客が列をなしてきた人気作品『て』。今回、ハイバイ20周年を祝して、ハイバイ初の本多劇場公演に始まり、富山オーバード・ホール、高知県立県民文化ホール、兵庫県立芸術文化センターでの全国ツアー公演となっています。

『て』は、作家・岩井秀人さんの実の家族をモデルにした作品。家族が、過去の関係を清算しきれず、お互いの分かり合えなさに沈んでいく様を描いた、厚みある悲喜劇です。

<あらすじ>
山田家の4人兄妹は、かつて自分たちに手を上げていた横暴な父の元を離れ暮らしていたが、祖母の認知症をきっかけに、実家に再集合した。父の過去の暴力について騒ぐ次男。それについて一向に触れようとしない長男。「家族をやりなおそう」と希望を見せる長女。そして兄妹たちが集まる。酒に酔った父の発言を元に、山田家に再び、暗く熱を持った活気が蘇ってくる。

ハイバイ流の「笑うしかない」切実さと悲惨さのバランスは、この作品で形成されたそう。次男と母の二つの目線で同じ時間を繰り返す構造が、「家族」という切っても切れないはずの関係を見せつけます。

「我が家の風景、なんで知ってんだあ!」

岩井さんは今回の再演にあたり、以下のようにコメントしています。
「2008年に初演し、ハイバイとわたくし岩井のその先の方向を決定づけた作品『て』の再演となります。ご覧いただいた方からは、「我が家の風景、なんで知ってんだあ!涙」と、ありがたい悲鳴をいただけるこの作品も、誕生から15年経ち、さすがに家族って進化したのかなと思いきや、全然世の中の家族問題、なくならないっすね。
「家族だから許せ」的な考え方をやめたらいいのに、と思いながらも、それでも最終的にこの作品が「願い」や「許し」について扱ってることに救いを感じつつ、またイチから作り直したいと思います。
「なんか面白いらしいけどどうなんだ」と思ってる方は、身近な人で見たことがある人に聞いてみてください。面白いぞと、説得されてください。
見たことない方は、とにかく見に来てください。後悔はさせません。させたらすみません。
僕自身が演出し、僕自身が出演するのはこれで最後にするので、見納めとしてもお勧めです。お待ちしております!」

「完全版」キャストとして本作に出演するのは、大倉孝二さん、伊勢佳世さん、田村健太郎さん、後藤剛範さん、川上友里さん、藤谷理子さん、板垣雄亮さん、岡本昌也さん、梅里アーツさん、乙木瓜広さん、岩井秀人さん、小松和重さん。

ハイバイ20周年『て』は、12月19日(木)〜12月29日(日)に東京・本多劇場にて上演。
その後、2025年1月8日(水)・9日(木)に富山オーバード・ホール 中ホール、2025年1月18日(土)に高知県立県民文化ホール グリーンホール、2025年2月1日(土)・2日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでの上演を予定しています。詳細は公式HPをご確認ください。

ミワ

近年の人気企画『いきなり本読み!』で岩井さんを知った方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ハイバイ本公演の、笑えて、切実で、痛い世界観を堪能してみてはいかがでしょうか。