嵐の相葉雅紀さんが朗読劇に初挑戦した音楽朗読劇READING HIGH noir 第2回公演『THANATOS~タナトス~』。10月の公演は満員で閉幕し、11月1日(金)から17日(日)まで配信が行われています。劇作家・演出家の藤沢文翁さんによるオリジナル脚本で、天才心理学者が事件解決を目指すサスペンスストーリーとなっています。
乗組員が消えた「幽霊船」の鍵を握るのは、記憶喪失の1人の女性だった…
ソニーミュージックグループのroom NBと、舞台『キングダム』などで知られる劇作家・演出家の藤沢文翁さんが立ち上げた音楽朗読劇ブランドREADING HIGH。その新プロジェクト【READING HIGH noir】の第2回公演が『THANATOS~タナトス~』です。
『THANATOS~タナトス~』は藤沢さんのデビュー作『HYPNAGOGIA~ヒプナゴギア~』の姉妹作として作られ、2020年はコロナ禍のために配信での上演のみ行われました。
再演となる今回は朗読劇初挑戦となる嵐の相葉雅紀さんと、2020年にも本作に出演した声優の早見沙織さん、アニメ『ブラック・ジャック』シリーズなどで知られる大塚明夫さんを迎え、10月に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。11月1日(金)から17日(日)23:59まで配信が行われています。(チケット販売は17日21:30まで)
舞台は、1899年ロンドン。大富豪アーサー・ポールが個人所有していた豪華な船が、みるも無残な漂流船として発見されます。乗組員の姿はなく「幽霊船事件」として話題になりますが、実は1人だけ生存者の女性ルナがいました。
しかし彼女は、事件のことはおろか、記憶を全て失っていました。難事件を解決すべく、デイヴィッド・スウェイン警部は天才心理学者エドムント・アインハルトに協力を仰ぎます。渋々引き受けたエドムントは、催眠術を使ってルナの記憶の中に踏み込んでいきます。
相葉雅紀さんは、普段の朗らかな印象とは一変、低い声色で冷静さと知性溢れる天才心理学者エドムント・アインハルトを好演します。表現方法が限られる朗読劇というジャンルの中で、目線や息遣い、デイヴィッドとルナに対する声色の違いなどの繊細な演技でエドムントの人物像を創り上げていきます。
また朗読劇ならではなのが、台詞1つ1つを丁寧になぞる姿。役柄を表現しながらも、台本に真摯に向き合う役者・相葉雅紀さんの姿勢を見ることができます。
ルナを演じる早見沙織さんは、記憶を失った無垢なルナと、エドムントが記憶を辿る中で巡り合うルナのもう1つの人格とを強弱を持って演じ分け、本作のスリリングさを高めています。
大塚明夫さんは、ルナとエドムントに翻弄されながらも、事件の解決を願うデイヴィッドの優しい人柄や、パブで物思いに耽る姿が目に浮かぶよう。深みある声が、本作を静かに支えます。
なぜ豪華船の乗組員は消えたのか、海の上の船という孤立した状況で何が起こったのか。いわゆる“考察”ができる本作は、想像力を掻き立てる朗読劇としてピッタリの題材ではないでしょうか。3人の登場人物の一言一言に耳を澄まし、事件の鍵を共に探ることができます。
またピアニストの榊原大さんとチェリストの村岡苑子さんによる贅沢な生演奏と、布のドレープが美しい舞台美術、海上の霧を思わせるスモークなどの幻想的な演出が、本作の世界観へと誘います。
※「榊」はフォントによって「榊」と表示されますが、正しくは“木へんに神”と表記します。
「記憶は再び嘘をつく」。この言葉の真意とは。音楽朗読劇READING HIGH noir 第2回公演『THANATOS~タナトス~』は11月17日(日)23:59まで配信が行われています。チケット購入はこちら
シャーロック・ホームズのように、優れた洞察力と心理学の知識を駆使して事件に迫っていくエドムント。意外な事件の結末に、もう一度遡って公演を見直してしまいました。これは配信だからこその楽しみ方ですね。