2月14日に開幕した、帝国劇場最終公演となる『THE BEST New HISTORY COMING』。現・帝国劇場で上演されたミュージカル53作品のナンバーが披露される豪華なコンサートです。Aプログラムのゲネプロと、レギュラーキャストによる開幕記念会見の様子をお届けします。

現・帝国劇場で上演されたミュージカル53作品のナンバーを披露

『THE BEST New HISTORY COMING』は、帝国劇場で上演された372作品の演劇・ミュージカルの中から、53のミュージカル作品全てを振り返る、全64曲、約3時間半の豪華コンサート。

井上芳雄さん、浦井健治さん、小野田龍之介さん、甲斐翔真さん、佐藤隆紀さん(LE VELVETS)、島田歌穂さん、三浦宏規さん、宮野真守さんが全日程レギュラーキャストとして出演し、A〜Gプログラムのレギュラーキャストと、各回ゲストを迎えます。

Aプログラムは全日程レギュラーキャストに加え、生田絵梨花さん、昆夏美さん、涼風真世さん、平野綾さん、森公美子さんが出演。ゲスト出演は、鹿賀丈史さん、大地真央さん、松たか子さんです。

帝国劇場の魅力と53の作品名全てを歌詞に詰め込んだ楽曲「THE 帝劇」で華々しく幕が開くと、『天使にラブソングを〜シスター・アクト〜』『1789 -バスティーユの恋人たち-』『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『ミス・サイゴン』と、名作ミュージカルの楽曲が立て続けに披露されます。

森公美子さんが女性キャスト全員と共に歌い踊る『天使にラブソングを〜シスター・アクト〜』や、

浦井健治さん・小野田龍之介さん・甲斐翔真さん・宮野真守さんによる『ジャージー・ボーイズ』、

男性キャスト全員による『三銃士』などこのコンサートならではのステージも!

盆やせり、奈落など帝劇の舞台機構をフル活用したダイナミックな演出が続き、約30年ぶりに動かした機構もあるのだとか。時には客席を巻き込み、劇場全体に祝祭ムードが漂います。

またキャスト陣が1人1人帝劇との思い出を振り返りながら、帝劇の歴史を紐解いていきます。楽曲が披露される際にも上演時の写真が映し出され、観劇時の記憶も蘇るのではないでしょうか。

ゲストの鹿賀丈史さんは『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』より「砂に刻む歌」、『レ・ミゼラブル』より「スターズ」を歌唱。重厚な歌声を響かせ、井上芳雄さんとのトークでは『レ・ミゼラブル』初演時、ミュージカル初出演のキャストも多かったため1年をかけてエチュードを含めた稽古が行われたことが明かされました。

ゲスト2人目は、松たか子さん。父である松本白鸚さんと共に出演した『ラ・マンチャの男』から「見果てぬ夢」を歌唱しました。松本白鸚さんの歌唱映像が流れたのち、映像に向かって一礼してから歌い出した松たか子さん。瑞々しくも力強い歌声が響き渡り、客席を一気に惹きつけました。

華やかな衣装とオーラ溢れる登場で沸かせたのは、3人目のゲストである大地真央さん。『サウンド・オブ・ミュージック』から「サウンド・オブ・ミュージック」と、『マイ・フェア・レディ』のメドレーを披露。『マイ・フェア・レディ』では浦井健治さんも共に歌い、作品の世界観を作り上げます。

『エリザベート』『モーツァルト!』『レ・ミゼラブル』など今や帝劇の定番とも言える作品群から、『Endless SHOCK』『マリー・アントワネット』『ナイツ・テイル –騎士物語–』『レディ・ベス』『SPY×FAMILY』『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』などオリジナル作品まで、改めて帝劇上演作品の幅の広さを感じます。今後も名作が上演され続けるとともに、新たな作品が新・帝国劇場から世界へと発信されていくことでしょう。

撮影:山本春花

「帝劇最後の祭りを楽しみたい」

開幕記念会見には、レギュラーキャストである井上芳雄さん、浦井健治さん、小野田龍之介さん、甲斐翔真さん、佐藤隆紀さん(LE VELVETS)、島田歌穂さん、三浦宏規さん、宮野真守さんが登壇しました。

井上芳雄さんは初日の公演を終え、「とにかくお客様に喜んでいただくこと、お客様と帝劇への思いを分かち合うということができる公演に昨日からなっているんじゃないかなと思います。もちろん盛り上がってくださっているんですけど、ただ盛り上がるだけじゃなく皆さんそれぞれ噛み締めながら、観てくださっているなっていう気がしました。毎回色々なゲストも来てくださいますし、もうこれはお祭りだなと。帝劇最後の祭りを今から2週間楽しみたいなと思っています」と語ります。

浦井健治さんは昨日終演後にスタッフが涙を流して挨拶をしていたことを明かし、「スタッフさんたちの存在が改めて尊くて、人生を懸けているんだなっていうのを昨日すごく感じました」と振り返ります。

宮野真守さんは「錚々たる皆さんが出演している中、僕は比較的新参者というか、帝劇新世代俳優なので(笑)、歴史的瞬間に立たせて頂けたことが光栄でしたし、昨日はコールアンドレスポンスをやって伝説を残せたんじゃないかと(笑)。演出の方から怒られるかと思ったら、もっとやってくださいとのことだったので、楽しい空気の中、コンサートを盛り上げていきたいと思っております」とコメント。芳雄さんからは“帝劇新世代俳優”というワードに対し、「世代は僕たちと一緒だよね?!笑」とツッコミが入ります。

小野田龍之介さんは「もうただただ、胸熱でございます。本当に次の時代に向かったコンサートだなと思うのと同時に、一つの大きなミュージカル史の一つの大きな区切りなんだなというのも正直感じます。そういったものを日々、ゲストの皆様キャストの皆様スタッフの皆様オーケストラの皆様と、かみしめながら、そしてお客様と分かち合いながら楽しくしっかり思いを馳せて、努めていきたいなと思っています」とご挨拶をすると、芳雄さんから「龍之介は(帝劇)開場時から出ているんだよね?」と振りが。

これには小野田さんも「出てないわ!(笑)僕は一生、新世代俳優って言われない。ずっと中堅俳優って呼ばれる。まだまだ33歳若手俳優で頑張っていきます」と返すと、宮野さんからは「年下かぁ(笑)」とぼやきがあり、皆さんの和やかな雰囲気が伝わります。

三浦宏規さんは「出演者の皆様も、セットも衣装も音楽も、全てが豪華すぎて、袖からお客さんとして観ています。本当に集大成を飾るコンサートなんだなと思って、出演しているんですけれどもいちファンとして、コンサートを凄く楽しんでおります」とミュージカルを愛する三浦さんらしいコメントを。

甲斐翔真さんは「新世代俳優として(笑)、大先輩方に囲まれてこういうふうにコンサートをさせて頂けて光栄で、嬉しいことです。コンサートでは歴史をすごく勉強できますし、初演キャストの方もたくさんいらっしゃいます。僕が20年30年40年経ったときに、そういった存在になれているかなと思うと、背筋を伸ばされるような気持ちでやらせて頂いています。いつか帝国劇場が新しくなった時には、第一線でやれるように頑張っていきたいと思います」と力強く意気込みを語ります。

佐藤隆紀さんは「僕の中では帝国劇場はミュージカルのイメージがすごく強かったんですけれど、演出の中で以前は演劇作品も多かったと感じることができて、本当に歴史のある場所なんだと改めて感じました。本当に熱い思いで届けるんですけれども、なぜこの最後の最後で歌でずっとやってきた僕が0番で踊りを踊っているのか…(笑)。びっくりするほど練習したんですけれども、その姿も楽しんでいただきたいです」と見どころの1つであるシーンを明かしました。

島田歌穂さんは「この素晴らしい男性キャストの中で、なぜか全日程出るということで」と恐縮しながらも、「今回のコンサートを通して、帝劇の知らなかったことをたくさん知れました。後半で、今の帝劇から次の帝劇へ、というシーンがあるのですが、毎回ウルウルしてしまって。とにかく感謝を込めて、また未来への希望を胸に、1回1回頑張りたいと思います」と意気込みます。

井上芳雄さんは「歌穂さんは恐縮していらっしゃいますけれど、歌穂さんが歌われる『レ・ミゼラブル』の名曲は1幕の核です。本当に素晴らしいので、見どころだと思います」とアピールしました。

終始、仲の良さが伝わるキャスト陣ですが、錚々たるメンバーが出演する本作の稽古は芳雄さん曰く「気を遣いまくり」だったのだとか。三浦宏規さんは「もう隅っこで消えそうでした」と緊張を明かします。しかし最終的には和やかに稽古が進んだそうで、佐藤隆紀さんは「芳雄さんが穏やかに見守ってくれていたからだと思う」と語りました。

最後に井上芳雄さんから「帝劇の全部が愛おしく感じるような毎日なんですけどでも、僕たちはここから28日まで毎回出させて頂くから、帝劇とのお別れがしっかりできる凄くありがたい立場にたまたまいさせて頂いて。ゲストも来てくださいますし、今回いらっしゃらないけれど、帝劇に強い思いを持ってらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思うんです。そして何よりお客様1人1人、思い出があると思いますので、劇場にいらしてくれた皆さんとは本当に分かち合いたいですし、そうでなくても、配信やライブビューイングや特別番組などいろいろございますので、日本の演劇界にとっては一つ、寂しいけれども大きな節目でもあるので、最後まで感謝の気持ちを込めながらみんなで帝劇を愛し尽くして、抱きしめ尽くしてお別れしたいなと思っておりますので、28日までどうぞ一緒に。同じ気持ちでよろしくお願いします」とメッセージが贈られ、会見が締め括られました。

撮影:鈴木文彦

『THE BEST New HISTORY COMING』は2025年2月14日(金)から2月28日(金)まで帝国劇場で上演され、一部公演でライブ配信、2月28日大千穐楽公演は全国84箇所の映画館でのライブビューイングも行われます。公式HPはこちら

Yurika

次々と名曲の洪水を浴び、多幸感あふれる中で最後に披露されたのは、『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」。直近まで帝国劇場で上演された『レ・ミゼラブル』で聞いた「民衆の歌」とはまた違う印象を抱きました。「New HISTORY COMING」と銘打つ通り、未来への希望を感じる公演となっています。