ローレンス・オリヴィエ賞の演劇作品賞にノミネートされるなどイギリスで高く評価された戯曲『星の降る時』が、2025年5月に日本初演を迎えます。崩壊の危機に直面する家族を描き出し、現代を生きる人々の心を揺さぶるヒューマンドラマは必見です。

イギリスで話題の戯曲が世界に先駆けて日本上陸!

『星の降る時 Till the Stars Come Down』は、イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールによる戯曲です。かつて炭鉱で栄えたロンドン近郊の町を舞台に、ある家族がおめでたいはずの結婚式の日に過去から噴出した問題と対峙する羽目に。時代の変化や異文化の受容といった現代社会ならではのテーマを取り上げ、“家族”とは一体何なのか、時にユーモアを交えながらリアルな台詞と演出で観客に問いかけます。

本作は2023年にイギリスのナショナル・シアターで上演されると、深い人間観察に基づくストーリーと巧妙な劇構成が称賛され、四つ星、五つ星の評価を獲得。2024年には英国演劇界で最も権威ある賞として知られる「ローレンス・オリヴィエ賞」の演劇部門において、作品賞(BEST PLAY)と助演女優賞にノミネートされました。

そんな話題のヒューマンドラマが、パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』として2025年5月に東京のPARCO劇場で開幕します。今回の日本公演、なんと初めてイギリス国外で上演される機会でもあるんです。イギリス発の戯曲が日本のスタッフ・キャスト陣によってどのように読み解かれ、表現されるのか、とても気になります。

<あらすじ>
ロンドン近郊、かつて栄えた炭鉱町に生まれ育った三姉妹。今では二人の娘を持ち相変わらず倉庫勤務の長女・ヘーゼルと、町に嫌気がさして実家を遠く離れていた次女・マギー、そしてポーランド移民と恋に落ちた三女・シルヴィア。今日は三女の結婚式で、母親代わりの叔母キャロルと共にパーティの準備をしている。早くに妻を亡くしながらも娘たちを守ってきた父親のトニー、その兄とは長年に渡って絶縁状態だった叔父ピート、長女の夫で移民に職を奪われ失業中のジョンも、久しぶりに顔を合わせることに。しかし、三女の夫となるマレクを迎えて催された祝いの宴で、問題をはらんだ家族間の扉が開いてしまう。果たして家族は再び向き合い、新しい朝を迎えることができるのか。

江口のりこ×那須凛×三浦透子が三姉妹に

舞台『星の降る時』には、演劇界きっての実力派キャストが顔を揃えています。

物語の中心となる三姉妹の長女・ヘーゼルを演じるのは、俳優の江口のりこさん。2024年に主演映画が3本立て続けに公開され、今年も映画や連続テレビ小説『あんぱん』への出演が控えるなど、舞台はもちろん映像作品でも大いに活躍されています。

次女・マギーは、劇団青年座に所属する俳優の那須凜さんです。青年座公演のほか、舞台『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』や『逆さまの日記』などに出演し、高い演技力を発揮。2022年に第29回読売演劇大賞で杉村春子賞を、2024年には第59回紀伊國屋演劇賞で個人賞を受賞しています。

家族に結婚式というターニングポイントをもたらす三女・シルヴィアは、俳優だけでなく歌手としても活動する三浦透子さんです。近年では2023年の舞台『ロスメルスホルム』で第31回読売演劇大賞の優秀女優賞と第58回紀伊國屋演劇賞の個人賞を受賞。さらに2024年のミュージカル『VIOLET』では主演を務めており、今後の成長が楽しみな演劇界の若きホープです。

そして、多くの舞台や映画、ドラマに出演し、2024年には紫綬褒章を受賞した俳優の段田安則さんが三姉妹の父親役に。経験豊富な段田さんが家族の問題に大きく関わるであろう“父”の存在をどう演じられるのか、注目です。

三姉妹の育ての母でもある叔母役には、これまで数々の演劇賞に輝いた実績を持つ秋山菜津子さんをキャスティング。2024年には舞台『ふくすけ2024~歌舞伎町黙示録~』『台風23号』などに出演しました。

長女の夫・ジョン役は、大人計画所属の近藤公園さん。2024年の舞台『う蝕』では、6人が織り成す濃密な不条理劇で存在感を放ちました。また、三女と結婚するマレク役の山崎大輝さんは、2024年のミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』に新たな主役ペアとして参加。そして映画『朽ちないサクラ』やドラマ『新宿野戦病院』、舞台『応天の門』など幅広いジャンルで活動する俳優の八十田勇一さんが三姉妹の叔父・ピートを演じます。

今作で演出を手掛けるのは、演出家の栗山民也さん。なんとメインキャストの8人全員が栗山さん演出の作品に出演した経験があり、出演者のコメントからも厚い信頼と期待が感じられます。さらに小田島則子さんによる翻訳で、海外初演に相応しい日本版『星の降る時』を作り上げてくれるのではないでしょうか。

パルコ・プロデュースの舞台『星の降る時』は、2025年5月10日(土) から6月1日(日)まで東京・PARCO劇場で上演。その後、山形公演が6月8日(日)に山形・やまぎん県民ホールで、兵庫公演が6月12日(木)から15日(日)まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで、福岡公演が6月21日(土)・22日(日)にキャナルシティ劇場で、愛知公演が6月27日(金)から29日(日)まで穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールで行われる予定です。なお東京公演と山形公演に関しては、3月8日(土)よりチケットの一般発売が始まります。そのほか詳細は公式HPをご確認ください。

もこ

イギリスで称賛された新作戯曲がいち早く日本で、しかも日本語のセリフ、日本人のキャストで観られるチャンスです!日本各地で地方公演も行われるので、ぜひお近くの劇場に足を運んでみてください。