お芝居やミュージカルを観に行ったとき、役者のオーバーな演技に驚いたことはありませんか?確かに舞台上の演技は大袈裟に見えますが、それにはれっきとした理由があるのです。今回は2つの理由をご紹介します。
01 遠い席の観客まで演技を届けるため
演劇やミュージカルは、観客がそれぞれの客席から楽しむエンターテイメント。客席の位置によって舞台と観客の距離が決まるので、役者もそれを考慮して演技しています。
1階席前方の観客には聞こえていても、3階席後方の観客に聞こえていない台詞があったらお芝居が台無しですよね?遠い席の観客にも演技や台詞を届けるため、舞台演技は大袈裟になる傾向があります。
02 映像演技と舞台演技の見せ方が違うため
大袈裟だと感じてしまう理由には、私たちが日常的に観る映像演技と舞台演技の見せ方に違いがあることも関係しています。
映像演技とは、ドラマや映画で観るようなカメラが映す狭い枠の中で展開される演技のこと。映像の世界では、どんなにかすかな演技も小さな声もすべて表現できます。ドラマでよく見る、敢えて小さな声で話したり微かに表情を変えたりする演技は、映像だからこそできる技。
これが舞台演技だとそうはいきません。劇場という広い枠の中で、映像演技の小さくて微かな演じ方は通用しないのです。
演劇やミュージカルの演技がオーバーになってしまう理由をご紹介しました。劇場は演じる環境が広いので、遠くの席まで演技を届けるためにオーバーに見えてしまうのですね。観劇の際は、舞台ならではの役者の演技に注目してみてください。