1977年に誕生し、日本では1986年から上演され続けるミュージカル『アニー』。元気で前向きなアニーの姿と、「トゥモロー」を始めとする名曲の数々が明日を生きる力を与えてくれる作品です。4月19日の開幕を前に初日前会見と公開ゲネプロが行われました。

「元気で、明るさ100%のアニーを」

初日前会見にはアニー役の丸山果里菜さんと小野希子さん、ウォーバックス役の藤本隆宏さん、ハニガン役の須藤理彩さん、グレース役の愛原実花さん、ルースター役の赤名竜乃介さん、リリー役の浜崎香帆さん、サンディ役の犬の家康くんが登場しました。

厳しいオーディションを勝ち抜き、アニー役を掴んだ丸山さんは「とにかく元気で、明るさ100%のアニーを演じていきたい」と意気込みます。「アニーの心の変化を特に見てほしい」とアピールしました。

小野さんはアニーが愛され続ける理由について「アニーの前向きさや明るさ、面白さをみんなが大好きだから」と語り、「初日は凄く緊張するし、でも楽しみな気持ちもあるから頑張ります」と意気込みました。

「40年そして50年、100年続けられるように、しっかりとバトンを渡せるように精一杯演じていきたい」と意気込んだ藤本さん。「幅広い層にお楽しみ頂ける作品ですし、感情移入しやすい作品だと思います。楽曲も良いし、フルオーケストラでお届けできるし、何より子どもたちが夢を見ることができる。役者を目指している子どもにチャンスを与えている作品」と魅力を語りました。

昨年に引き続きハニガン役を演じる須藤理彩さんは「同じ作品でキャストが変わって再演というのは初めての経験だったのですが、“同じ台本を使っているのにこうも芝居って変わるんですね”と演出の山田(和也)さんとお話ししたくらい、改めて芝居の奥深さ、魅力、楽しさを今回実感させて頂きました」と稽古を振り返ります。

本作に初出演となる愛原さんは「稽古場の雰囲気が良くて、毎日稽古場に来るのが本当に楽しくて幸せな日々でした。舞台上の幸せな雰囲気がきっと客席にも伝わるんじゃないかなと思って凄く楽しみにしております」とカンパニーの雰囲気の良さを語ります。

赤名さんは「稽古場最終日に「♪イージーストリート」の振付が少し変わって、最後の最後まで作品が良くなるようキャスト・スタッフ全員で高みを目指していく姿に、“これがエンターテイメントだ!”と思って感動しました」とコメント。

浜崎さんは「リリーとして舞台上で暴れ回りたい」と意気込み、「初めての通し稽古で皆さんから「♪イージーストリート」で歓声を頂いて、本当に本当に嬉しくて、それがまた糧となってさらに高みを目指そうという気持ちになりました」と明かしました。

「辛いことも忘れる、いつか」

公開ゲネプロでは丸山果里菜さんがアニーを演じ、チーム・バケツのメンバーが出演しました。ミュージカル『アニー』と言えば、赤毛のアニーの姿と名曲「トゥモロー」を思い浮かべる人が多いでしょう。

明るい印象のある本作ですが、舞台は1933年のニューヨーク、世界大恐慌直後で仕事や家を失った人々が描かれています。またアニーは孤児院で暮らし、孤児院の子どもたちは貧しい暮らしをしています。

しかしアニーは両親が迎えに来てくれることを信じ、自分から両親を見つけに行こうと孤児院を出ていく行動力に溢れた女の子。彼女の前向きなパワーが、少しずつ周囲に伝播していきます。

そんな中で歌われる「トゥモロー」は、ポジティブなパワーだけでなく、きっとじんと胸に響くものがあるはず。「寂しくてゆううつな日には、胸を張って歌うの」。アニーを演じる丸山さんは力強く伸びやかな歌声で、劇場を明るく温かく照らし出します。

子どもたちの楽しいナンバーも数々と登場。圧巻の歌唱力とエネルギッシュなダンスで魅了します。須藤さん演じるハニガンは子どもたちに冷たくあたりますが、子どもたちが負けじとハニガンにイタズラする姿も印象的です。

またアニーが街中で出会う犬のサンディには、本物のワンちゃんが出演。天才犬っぷりに感嘆すると共に、癒されること間違いなしです。

アニーはクリスマスに大富豪オリバー・ウォーバックスと出会い、彼のもとで過ごすことになります。藤本さんは成功者としての威厳や風格を醸し出しながらも、少し不器用な愛らしいウォーバックスを熱演。

愛原さんは優しくアニーとウォーバックスを見守りながらもお茶目な部分も覗かせる秘書グレースを好演しています。

桁違いの大富豪で「すべてを手に入れた」ウォーバックスが気づいた、本当に欲しかったものとは。アニーは両親と再会できるのか。時代を超えた普遍的なテーマを温かい名曲と共に贈る作品です。

撮影:蓮見徹

ミュージカル『アニー』は2025年4月19日(土)から5月7日(水)まで新国立劇場 中劇場にて上演。2公演、舞台手話通訳付き公演が実施されます。また8月には上田・大阪・名古屋公演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

貧しさや苦境を感じるとどうしても暗い気持ちになりがち。アニーの歌声は、現代にも明るくポジティブなパワーを与えてくれます。