2025年10月より本多劇場にて、岩松了さんがM&Oplaysと定期的に行っているプロデュース公演の最新作『私を探さないで』の上演が決定しました。ノスタルジックなサスペンス劇となっており、勝地涼さん、河合優実さん、小泉今日子さんらが出演します。
かつて突然姿を消した少女との再会から蘇る、あの日の記憶
舞台『私を探さないで』は『クランク・イン』(2022 年、眞島秀和さん主演)、『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』(2023 年、黒島結菜さん主演)、『峠の我が家』(2024 年、仲野太賀さん主演)など、岩松了さんがM&Oplaysと定期的に行っているプロデュース公演の最新作です。
スティーブン・ミルハウザーの短編小説「イレーン・コールマンの失踪」にインスパイアされ、背景を現代の日本へと置き換えた岩松流サスペンス劇として上演されます。
岩松さんは本作について「S・ミルハウザーの『イレーン・コールマンの失踪』という短編を読んで、失踪した本人もさることながら、それがまわりの人間を被害者的な感覚に陥れるという視点に興味を惹かれた、のが始まりです」と明かします。
出演は、帰省した故郷で過去の記憶と向き合う古賀アキオ役に、舞台『いのち知らず』以来4年ぶりの岩松作品参加となる勝地涼さん。物語の重要なキーパーソンとなる謎の失踪を遂げた少女・三沢アキラ役には、今回が岩松作品初参加となる河合優実さん。アキオとアキラの高校時代の担任で、現在は作家になっている大城ユイ子役には、2016 年の舞台『家庭内失踪』以来の岩松作品参加となる小泉今日子さん。
さらに、ユイ子の作家活動を支える助手役に富山えり子さん、アキオとアキラの高校の同級生役に篠原悠伸さんと、新名基浩さんが出演します。
勝地さんは「岩松さんは公演の数年前から構想をお持ちなので、今回は「ある少女が失踪した話にしたい」と仰っていて、それだけでも興味深かったのですが、今は戯曲が読みたくてウズウズしています。
自分の初舞台は岩松さんの戯曲、小泉今日子さん主演の作品でした。21年経ってまたおふたりとご一緒できるなんて、役者を続けてきて本当に良かったと思います。
沢山の演出家の方がいる中で、定期的に岩松さんの作品に呼ばれることは、自分にとって襟を正すきっかけになります。きっと高いハードルが用意されていると思いますが、共演者の皆さんと共に乗り越えていく覚悟です!」と意気込みをコメント。
河合さんは「素敵な先輩方とともに岩松さんの舞台を経験できること、とても嬉しいです。稽古と本番を通してぜいたくな探究の時間を味わい尽くすことが、正直、今いちばんの楽しみではあるのですが、ドラマをもってお客さまとどのように出会い、どのように噛み締めてもらえるか、そこに自分の身体で辿り着かなければとも思っています。とても豊かで自由で厳しい道のりになりそうで、ワクワクしています。強い気持ちで臨もうと思います」と語ります。
小泉さんは「私が岩松さんの戯曲に惹かれるのは、生と死、光と影、本当と嘘、そういうものの境界にはっきりと線を引かないからなのかもしれない。死にたいと思いながら生きる。生きたいと思いながら死ぬ。どちらも切実で、どちらも苦しい。
だから人は嘘をつく。そして嘘が本当になったり、本当が嘘になったりする。
今回、私が演じる元教師は作家になって小説を書きながらその境界に線を引こうとするのか。そんなこと出来っこないくせに。とにかく今私はワクワクしながらこの役をどう演じるのか考えています」とコメント。
岩松さんは3名に対して「河合優実という女優が、この失踪者であると思った時、私の中でドラマが動き始めたのは、ふと姿を消し我々を不安に陥れる何かを彼女の中に見たからでしょう。
その失踪を「若さ」が時に向かう「負への傾斜」として「物語」に変えようとする小泉今日子。彼女の中ではそれが「若さ」に対する「嫉妬」なのか「憐れみの情」なのか判然としない。
勝地涼は、河合優実の失踪を自分の青春の汚点と感じるが、失踪者である河合優実自身が彼の前に現れて「あなたがそうやって私を思い出す時間と、私のことをすっかり忘れている時間はどう違うの?忘れてる時間がはるかに多いわけでしょう?だとしたらたまに思い出す時間はどういう時間なの?」彼はその問いに詰め寄られながら、人生の次の一歩を踏み出す。
……3人には、そんなドラマを体現してくれることを期待している、ということです」と期待を語りました。
【ストーリー】
結婚が決まって、その報告のために郷里の町に帰省した古賀アキオ(勝地涼)は、この町をなつかしく思うと同時に、高校の時に失踪した三沢アキラ(河合優実)のことを思い出す。教室の隅にいつもポツンといるような少女だったアキラが失踪したのは、自分にも原因があるのではないか、という思いにとらわれていたアキオは、高校の時の担任で、今は作家になった大城ユイ子(小泉今日子)と再会するが――。
過ぎた日に、ある日突然姿を消した少女。長い不在の末に帰省した故郷で、その少女と再会した男。彼女は本当にあの時の少女なのか。それとも抱き続けた贖罪の気持ちが見せた幻なのか。深まる謎を解き明かそうとするほどに不安が大きくなってゆく男のたどり着く先は果たして――。
M&Oplays プロデュース『私を探さないで』は2025年10月11日(土)から11月3日(月・祝) まで本多劇場にて上演。その後、大阪・富山・愛知・広島・岡山公演が行われます。公式HPはこちら