2025年6月9日(月)、WOWOWにて「第78回トニー賞」授賞式の模様が独占生配信されます。今年の開催会場は、アメリカ・ニューヨークにある「ラジオシティ・ミュージックホール」です。ニューヨークでの授賞式で司会を務めるのは、映画『ウィキッド ふたりの魔女』エルファバ役で世界中から大注目されているシンシア・エリヴォさんです。

そして、生中継でナビゲーターを務めるのは、井上芳雄さんと宮澤エマさん。さらに、スペシャル・サポーターとして、京本大我さん(SixTONES)の登場も決定しています。※6月9日の生中継は、同時通訳による2ヶ国語放送。字幕版の放送は6月15日(日)となります。

トニー賞とは?アメリカ演劇界で最も栄誉ある賞

演劇・ミュージカル好きの方なら、一度は耳にしたことのある「トニー賞」。一体どんな賞で、どのような作品に与えられるのでしょうか。

トニー賞とは、その年にブロードウェイで上演された作品、俳優、そしてスタッフに贈られる演劇賞のことです。アメリカの演劇界で最も栄誉ある賞と言われています。映画のアカデミー賞(Oscar)、音楽のグラミー賞(Grammy)、テレビ番組のエミー賞(Emmy)と並んで、アメリカのエンターテイメント界になくてはならない存在です。

通常は毎年5月、ブロードウェイの専門サイト『PLAYBILL』にて、ノミネート作品が発表されます。トニー賞に投票できるのは、俳優労働組合のメンバーやブロードウェイ作品のプロデューサーたち、演劇制作に関わる団体の代表者などです。

過去にトニー賞を受賞したミュージカル作品は?

過去にトニー賞ミュージカル作品賞を受賞した作品のなかには、日本でも複数回にわたって上演されている名作が多くあります。その中でも、特に注目度の高い作品をご紹介します。

第77回受賞作『アウトサイダー(The Outsiders、ザ・アウトサイダーズ)』

前回の第77回(2024年)にミュージカル作品賞として輝いたのは、オクラホマ州に生きる貧しい若者たちを描いた『アウトサイダー(The Outsiders)』。女優のアンジェリーナ・ジョリーがプロデュースを務めたことでも話題となりました。

日本ではまだ公演されていませんが、原作となった小説は、現地で学校の教科書にも使われるほど有名であり、多くのアメリカ人にとって馴染み深い作品と言えるでしょう。

第74回受賞作『ムーラン・ルージュ!』

第74回(2021年)にミュージカル作品を受賞したのは『ムーラン・ルージュ!(Moulin Rouge!)』です。

本作品は1899年のパリを舞台に、ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」の花形スターであるサティーンと、アメリカ人作曲家のクリスチャンの恋物語。

大人の恋模様や情熱、そして妖艶な歌とダンスなど、まるでショーのなかに入り込んだような体験が楽しめる名作といえるでしょう。

2023年には、『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』として日本公演が行われ、大きな反響を呼びました。

第67回受賞作『キンキー・ブーツ』

第67回(2013年)には『キンキー・ブーツ』がミュージカル作品賞を受賞しています。ドラッグクイーンのローラやエンジェルスによるパワフルなダンスや、シンディ・ローパーが監修した楽曲はどれも印象的で、この作品を観ているだけでハッピーな気分になるでしょう。

そんな『キンキー・ブーツ』は、2025年4月27日(日)から5月18日(日)まで東京・東急シアターオーブにて上演中。5月26日(月)から6月8日(日)まで大阪・オリックス劇場で上演予定です。公式ホームページはこちら

第66回受賞作『Once』

第66回(2012年)には、アイルランド映画を原作とした『Once』が受賞作品に選ばれました。

アイルランドの首都・ダブリンで、ストリートミュージシャンのダイと、チェコからの移民である「ガール」が出会い、音楽によって心を通わせていくピュアなストーリーです。

同年のトニー賞で11部門にノミネートされ、作品賞、演出賞、脚本賞、主演男優賞を含む8部門を受賞する大ヒットミュージカルとなりました。

2025年9月には京本大我さんを主演に迎えて東京・日生劇場で日本版初演を迎え、10月からは愛知、大阪、福岡を巡ります。公式ホームページはこちら

第63回受賞作『ビリー・エリオット』

第63回(2009年)の受賞作は、2000年にイギリスで製作された映画『リトル・ダンサー』をミュージカル化した『ビリー・エリオット』です。ミュージカル作品賞の他に、演出賞、脚本賞、主演男優賞など10部門を受賞。

80年代、不況にあえぐイギリスの炭鉱街で、バレエダンサーを夢見る少年ビリーと、彼を取り巻く家族の姿を描いた作品です。

日本では、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』として、2024年8月から11月にかけて上演され、2017年に初演。2020年、2024年に再演されました。

第62回受賞作『イン・ザ・ハイツ』

第62回(2008年)の受賞作は、多くの移民が暮らす、マンハッタン北西部を舞台にした『イン・ザ・ハイツ』です。

世界中で最もチケットが取れないと言われるミュージカル『ハミルトン』。

本作品は、『ハミルトン』を生み出したリン=マニュエル・ミランダの、初めての作品です。リンはディズニー作品『モアナと伝説の海』の楽曲も手掛けています。

舞台はマンハッタン北西部にある、ワシントンハイツ。多くの移民が暮らすこの町で、さまざまな人間関係や恋模様が描かれるほか、ラップ音楽が多く使われているのも特徴的です。2020年には、同タイトルで映画化もされました。

2014年には日本初演され、2024年に再演。ウスナビ役は「Def Tech」のMicroさん、平間壮一さんが務めました。

第60回受賞作『ジャージー・ボーイズ』

第60回(2006年)には、『ジャージー・ボーイズ』がミュージカル作品賞を受賞しました。

1960年代に活躍したポップ・グループ「ザ・フォー・シーズンズ」の軌跡を描いた本作は、すでに存在する楽曲を使用した「ジュークボックス・ミュージカル」の代表的作品です。

劇中には誰もが一度は耳にしたことのあるような名曲がふんだんに使用され、観客を楽しませてくれます。また、栄光の影に潜む人間ドラマも、観る人の心を打つことでしょう。

2016年には日本公演が行われたほか、2025年8月10日(日)から9月30日(木)まで、東京・日比谷のシアタークリエで公演予定です。公式ホームページはこちら

京本大我が巡る、ブロードウェイの世界とは

WOWOWの特別番組『京本大我 ハロー・トニー! in NY』

5月6日(火・祝)19時からは、京本さんがアメリカ・ニューヨーク、そしてミュージカルの聖地であるブロードウェイを尋ねる『京本大我 ハロー・トニー! in NY』が放送・配信されます。

番組内で京本さんが巡るのは、ニューヨークの中心地ともいわれるタイムズ・スクエアやアートやカルチャーの発信地であるブルックリンなど、多彩な芸術と出会える場所です。

さらに、ブロードウェイの歴史に触れられる「ブロードウェイ博物館」や、今回トニー賞授賞式の会場となる「ラジオシティ・ミュージックホール」など、演劇・ミュージカルファンにとって大注目の場所を巡ります。

また、番組内では、京本さんが演劇を学ぶ学生たちと交流する様子も放送されます。精力的にブロードウェイミュージカル作品に挑戦し続ける京本さんにとって、大きな意味を持った旅となったようです。

本場の体験からの新たな視点に期待

今回初めてニューヨークを訪れたという京本さん。

WOWOWによるショートインタビューでは、初めてのニューヨークについて「ニューヨークという街にとって『舞台』がいかに身近で大きな存在なのかをブロードウェイの景色を見て感じました」と語っていました。

そのほか、日本とブロードウェイの観劇スタイルについても「お客さんの観劇スタイルがすごく自由だと思いました。驚いた時に声を出している人がいたり、歌唱シーンでは大歓声が起こったり、コンサートを見ている感覚に近かったです」と、それぞれに違いを感じたそうです。

ブロードウェイを直接体験した京本さんは、スペシャル・サポーターとしてどのような視点をトニー賞授賞式で見せてくれるのでしょうか。ぜひWOWOWでの生中継をお楽しみください。WOWOW特設サイトはこちらです。

糸崎 舞

過去にトニー賞を受賞した作品は日本公演が行われることが多いため、今回の受賞作品をいつか日本公演で観られるかもしれませんね。