1937年創立の老舗劇団・文学座。 「真に魅力ある現代人の演劇をつくりたい」という創造理念のもと、国内外問わず幅広い作品を上演し、多くの観客に愛されています。そんな文学座が2025年6月21日(土)から上演するのは、劇作家・田村孝裕さんによる書き下ろし作品『もうひとりのわたしへ』です。
田村孝裕(作)×五戸真理絵(演出)が手掛ける注目作品
作者の田村孝裕さんは、1998年に劇団ONEOR8を旗揚げし、以降全公演の脚本・演出を務めました。文学座に作品を書き下ろすのは、今回で2度目です。
ご自身の戯曲は、これまでに岸田國士戯曲賞や鶴屋南北戯曲賞など、戯曲賞に何度もノミネートされており、劇作家として大きな注目を浴びています。
本作の演出を務めるのは、2023年に第30回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞した気鋭の演出家、五戸真理絵(ごのへ・まりえ)さんです。
五戸さんは2005年に文学座付属演劇研修所に入所し、2010年に座員に昇格したのち、文学座内の多くの公演に参加してきました。2016年からは演出家としてもデビューし、戯曲や童話の執筆など、多彩な才能を発揮しています。
『もうひとりのわたしへ』現代女性の「リアル」と「違う世界線」
主人公の椎葉里歩は、まもなく40歳。
子供はいないものの、優しい夫と健全な両親、そして仕事にも恵まれています。
一見幸せそうな彼女ですが、夫とのセックスレスや現実味を帯びてきた両親の介護など、じわじわとした不安が彼女を取り巻いている状況です。
そんな里歩の元に現れた「異次元の住人」が、彼女を「違う世界線」へと連れて行きます。
毎日の生活に不満はないけれど、「このままでいいのか?」と悩む里歩に共感する方も多いのではないでしょうか。本作品では、現代女性の葛藤がリアルに描かれるのかと思いきや、「異次元の住人」と「違う世界線」という設定が登場します。
リアルな悩みと超現実的な設定がどうクロスするのか、そして里歩は、どんな答えを出すのでしょうか。非常に気になります。
託児サービスや演劇初心者まで、安心の観劇サポートも
本公演の注目すべきポイントとして、あらゆる層の観客に向けて、多くのサービスが提供されていることです。
たとえば、カンフェティからチケット予約する観客を対象に、「託児サービス」対象日を導入。小さなお子さんをお持ちの親御さんにとって、大変ありがたいサービスと言えるでしょう。
また、22日13時30分の回は、「ハートフルDAY」に設定されており、観劇が初めて、あるいは観劇に慣れていない観客に向けて、本編前に解説が入ります。観劇にハードルの高さを感じていらっしゃる方にも嬉しい時間ですね。
そして、25日(水)、29日(金)19時からの回では、終演後に創作意図の解説や、観客に意見を聞くといった「夜の集い」を実施。
観劇に馴染みのない方や初心者の方、育児でなかなか観劇の時間が取れない方、作品の世界をしっかり楽しみたい演劇ファンまで、さまざまな観客層に楽しんでもらえるような工夫が見られます。
文学座『もうひとりのわたしへ』は、6月21日(土)~29日(日)まで、新宿・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演。その後、7月4日(金)〜5日(日)には、可児市文化創造センターala小劇場(岐阜県)にて上演。公式ホームページはこちら

私は現在30代前半ですが、40歳を迎える頃にはどんな自分でいるのだろう、と考えさせられました。「もしもあの時、別の選択をしていたら」という気持ちは、誰もが感じたことがあるのでは。今を精一杯生きる「オトナ世代」の方々にぜひ観てほしいです!