記録的な猛暑が続く今年の夏こそ、暑さを吹き飛ばすほどのパワーにあふれたミュージカル映画を鑑賞しませんか?ニューヨークの移民コミュニティを描いた作品から、青春恋愛ミュージカルの金字塔、爽やかな学園ストーリーや南の島の冒険。歌とダンスが織りなす魅力的なパフォーマンスに触れ、夏を満喫するのはいかがでしょうか。

『イン・ザ・ハイツ』(2021年)

イン・ザ・ハイツ』は、ニューヨークのワシントン・ハイツ地区を舞台にしたミュージカル映画です。

ラテン系移民が多く暮らすこの地域で、雑貨店を営む移民一世のウスナビは、故郷ドミニカ共和国での暮らしを夢見ています。真夏の歴史的熱波に見舞われながらも、住民たちはそれぞれの夢を抱き、苦難を創意工夫で乗り越えていきます。

ヒップホップやサルサなどのラテン音楽に乗せて、地域コミュニティの絆と故郷への想いを描いた作品として世界中から注目されています。

本作は、ブロードウェイでメガヒットを記録し続けている『ハミルトン』のリン=マニュエル・ミランダのデビュー作です。監督は『クレイジー・リッチ!』や映画版『ウィキッド』など、数々のヒット作品を手掛けたジョン・M・チュウ。

移民として生きる人々のリアルな暮らしと、自分のルーツを問いかける物語です。

『マンマ・ミーア!』(2008年)

70年代から80年代初頭にかけて活躍したポップバンド「ABBA」。彼らの名曲をふんだんに使い、ミュージカル化したのが『マンマ・ミーア!』です。

ドナとソフィの親子の絆や、サム、ビル、ハリーといった昔の恋人たちと向き合うドナの複雑な心情が描かれています。全編を通して、ギリシャ・エーゲ海の美しいリゾート風景が美しく、ABBAの心踊る楽曲と共に、エネルギッシュな夏を楽しめること間違いなしです。

2018年に公開された『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』では、若き日のドナの過去が明かされています。メリル・ストリープが演じたドナの若い頃を、『シンデレラ』などで知られるリリー・ジェームズが演じ、話題になりました。

『グリース』(1978年)

グリース』は、夏の避暑地で恋に落ちたダニー(ジョン・トラヴォルタ)とサンディ(オリヴィア・ニュートン・ジョン)の物語です。

オーストラリアに帰る予定だったサンディが、父親の転勤でダニーの通うライデル高校に転校してきます。しかし、不良グループ「T・バーズ」のリーダーとして知られるダニーは、仲間の前でクールを装い、サンディを冷たくあしらってしまいました。お互いを忘れられない二人の恋の行方を歌とダンスで描いた青春ミュージカルです。

主役のダニーとサンディを演じたのは、『キャリー』(1976年)や『サタデーナイトフィーバー』(1977年)で大スターとなったジョン・トラヴォルタ、そして世界的な歌手として多くの人々に愛されたオリビア・ニュートン・ジョン(1948-2022)です。

劇中の音楽やストーリーはもちろんのこと、1950年代のアメリカのファッションが魅力的なこの作品。特にサンディのレトロで可愛い洋服や髪型、ダニーたちの不良スタイルなど、観ているだけで楽しくなってきます。

ちなみに2021年には、三浦宏規さん、屋比久知奈さん主演の舞台版『グリース』が日比谷のシアタークリエにて上演されました。

『ハイスクール・ミュージカル2』(2007年)

『ハイスクール・ミュージカル』シリーズは、『ヘア・スプレー』(2007年)や『グレイテスト・ショーマン』(2017年)など数々のミュージカル映画に出演しているザック・エフロンさんが主演を務めた、社会現象を巻き起こした大人気シリーズです。

イースト高校の人気者・トロイ(ザック・エフロン)と、優等生のガブリエラ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)が、旅行先で出会い、互いに惹かれ合います。

やがてトロイの通う学校に転校してきたガブリエラ。シャーペイ(アシュレイ・ティスデイル)やライアン(ルーカス・グラビール)といった個性的な同級生キャラクターも登場し、彼らの青春がたくさんのナンバーとともに描かれます。

ハイスクール・ミュージカル2』では、トロイたちが夏休み中、高級カントリー・クラブでアルバイトすることになります。本作でもさまざまな問題が降りかかるのですが、それを乗り越えていくザックとガブリエラの絆が見どころのひとつです。

夏休みの解放感や青春気分を味わいたいなら、ぜひ『ハイスクール・ミュージカル2』を鑑賞してみてはいかがでしょうか?

番外編:『モアナと伝説の海』(2017年)

夏を題材にした作品ではありませんが、南の島や海の美しさ、そして優れたナンバーの数々を楽しめるのが、ディズニーによるアニメーション作品『モアナと伝説の海』です。

海と特別な絆で結ばれた少女・モアナが、風と海をつかさどる半神半人・マウイと共に世界の平和を取り戻すために奮闘するこの物語。音楽を担当したのは、『イン・ザ・ハイツ』のリン=マニュエル・ミランダ、そしてマーク・マンシーナ、オペタイア・フォアイです。

特にメインナンバーとして歌われる『どこまでも ~How Far I’ll Go~』は、モアナが周囲から寄せられる期待と、それでも海へと向かいたい気持ちのはざまで揺れる心情が表現された名曲です。モアナのこの気持ちは、私たちにも共感できる部分があるのではないでしょうか。

また、2024年には、本作の続編である『モアナと伝説の海2』が公開されました。こちらは前作の冒険を受け、新たな仲間を加えたモアナとマウイの大冒険が楽しめる作品です。

糸崎 舞

恋、青春、冒険、そしてワクワクするミュージカルナンバー。どの作品も気分が熱くなること間違いなし!暑い夏こそ、心踊るパワフルなミュージカル映画で楽しみましょう。