舞台上で繰り広げられる壮大な物語、その裏側では沢山の職業が力を出し合って作品を作りあげています。中には普段は聞きなれない職業もあるかもしれません。そのどれかひとつが欠けても作品は完成しないんです。俳優として、普段お世話になっている職業をご紹介します。
01 舞台上の安全を守る【舞台監督】
舞台監督は親しみをもって「舞監(ぶかん)さん」と呼ばれたりもします。みなさんは舞台監督と聞くとどんな仕事をイメージしますか?「監督」とついているので「演技指導をしたりするのでは?」と思っている方も結構いるようです。しかし、舞台で演技について指揮を取るのは「演出家」の役割。舞台監督さんは全く異なる仕事をしています。
例えば、セット転換のタイミングの指揮・技術スタッフの総責任者・舞台上のあらゆることに関する安全確認など、とても役割の多い大変なお仕事なんです。
役者陣も舞台上で何か心配な事があった時は舞監さんに相談します。例えば「真っ暗な中を移動しなくてはいけない時、セットにぶつからないように目印を付けてもらう」「舞台裏の通り道で危険な所、通り辛い所がある時」などですね。とにかく舞台上でスタッフ・演者、みんなが安全に仕事できるようにしてくれているのが「舞台監督」さんなんです。
02 カツラの事は全ておまかせ【床山(とこやま)】
床山さんはあまり聞いた事が無いという方もいるのではないでしょうか。歌舞伎や時代劇の時に役者が被るカツラを整えたり、管理をする専門職。ミュージカルではヘアメイクさんが担当されたりもしますね。※ちなみにお相撲さんのまげを結う方も「床山」と言います。
時代劇で使うカツラは高い物だと1つ数十万円という超高級品。初めてカツラを被った時の緊張感は今も覚えています。
カツラを被る時、事前準備として羽二重(はぶたえ)という布を頭に巻く事があります。最低限のマナーとして自分でキッチリ巻けるようになってから床山さんの所にカツラを借りに行きます。
事前に練習はしていたものの下手っぴな僕に「もっとここをしっかり引っ張らないとここにシワがいくよ」と丁寧に教えてくれました。出演者全員分のカツラ装着や整備を担当し、ただでさえ忙しい床山さんの時間を奪っている自分が恥ずかしくて本番前後に猛練習したのを覚えています。
いかがでしたか?実際に演劇に参加してみないと知る事が出来ない職業も色々あります。他にはどんな仕事があるんだろう?と少しでも興味を持っていただけたら幸いです。 過去記事に音響・照明編もありますので、ぜひご覧になって下さい。