19世紀を代表する戯曲『ヘッダ・ガブラー』を下敷きに山本卓卓さんが書き下ろし、白井晃さん演出の初タッグで贈るPARCO PRODUCE 2026『ジン・ロック・ライム』。愛を求めながら、世間からの眼差しと自身とのギャップに葛藤する主人公のロックミュージシャン・ジン役を髙木雄也さんが演じます。本作にかける想いを髙木さんに伺いました。
愛、生と死。向き合う中で生まれた作品
−まずは、本作出演への経緯についてお聞かせください。
「パルコさんとは数年前から、自分が考えていること、愛、生と死について、葛藤していること、どんなことを舞台でやりたいかといったことを一通りお話しさせていただいてたんです。それで出来上がったのが今回の『ジン・ロック・ライム』になっています。
山本卓卓さんが書いてくださった脚本を読んでみると、自分が生きている芸能の世界を舞台に、ロックスターが本当の自分と皆さんに見てもらっている自分との違いについて葛藤している物語だったので、まさに自分が今ぶち当たっている壁だなと思いましたね。あてがきとまではいかないけれど、凄く共感できる部分が多かったですし、山本さんとは『東京輪舞』でもご一緒していて、自分のことをよく理解してくださっているので、“これは俺っぽいな”と思うシーンも多かったです。リアルすぎて、やるのが怖いなと思ってしまったくらい(笑)。感情移入しすぎて、ジンのようになってしまわないか心配になりました。芸能界で仕事をされている方なら、誰しもが共感してくれるような内容じゃないかと思います」
−愛や生と死について、舞台で伝えたいと思われたのはなぜだったのでしょうか。
「歳を重ねるにつれて、生と死について考える機会が、突然訪れることが増えたと思います。自分の周囲でも、友人の死がありました。色々と感じることがあったので、そことは向き合うべきだなと思うし、そういう姿を見せておきたいなと思いました」
−今までの出演作とはまた違った作品になりそうですか。
「これまでもリアリティを追求してやってきたので、その最終詰め合わせという感じでしょうか。自分がやりたい方向性のものでの、とりあえず一区切りというイメージがあります。これ以降は、また明るい姿のものを見せられたら良いなとは思っています」
自身の中にある葛藤と変化を重ねながら

−葛藤されていることについては、今の年齢になったからこそ感じることも多いのでしょうか。
「そうですね。若い頃は事務所から言われたことをただやっているだけという感覚でしたし、特に自分はこう見せたいとかもなかったんです。でも事務所の変化もあり、自分が色々なことを考え、選んだり発言したりしなければいけなくなった。じゃあこういう姿を見せてみよう、と思ってやっても、ファンの方が求めるものとは違うこともありました。これは年齢を重ねてきたからこそ感じることなのかもしれません。ずれを感じる瞬間はあるけれど、求められるものだけをやろうとは思わないし、反抗し続けようということでもない。嘘をつきながらやるのも違うと思うし。そこはまだ葛藤している部分です」
−ご自身の葛藤と近しい作品なので、舞台期間中は苦しい瞬間も多いかもしれませんね。
「だからいっぱい散歩をしようと思います。昼公演と夜公演の合間に散歩することも多いんです。ちょっとずつ抜いていかないとしんどくなるから。舞台期間中は、役から影響を受けることで、普段の俺だったら言わないことを言ってしまったんじゃないか、友達に酷いことを言ってしまったんじゃないかと思うこともあります。今回はよりリアルに感じる役柄なので、気をつけようと思います。インスタグラムはお休みかな(笑)」
−演出を手がける白井晃さんの印象はいかがですか。
「演出家さんによって舞台の作り方はそれぞれですし、まだ(取材時点では)稽古に入っていないのでどうなるかは分からないですが、“稽古時間を巻くことはありません。もらっている時間をフルに使うので”とおっしゃっていたので、それは“マジかよ!”と思いました(笑)。でも以前白井さんが演出された舞台を拝見した時、凄く面白い見せ方をされる方だなと思っていたので、今回ご一緒するのが楽しみです。いっぱい白井さんに甘えようと思います」
−山本さんとご一緒されるのは『東京輪舞』に続いて二度目になります。前回の印象はいかがでしたか。
「前回も色々とお話をさせていただいたのですが、とにかく愛が強い方、愛を大切にしている方だなと思います。でも何か掴めない部分もあるんですよね。すごく近づいたと思っても、また離れたように感じる瞬間もあって…それが面白かったです。前回ご一緒したことで、僕の素の部分、例えばお酒を飲んでいる姿やふざけている姿とかも見たので、そういうところを踏まえて今回のキャラクターを書いてくれたんだろうなと思います。山本さんが思う僕のイメージが詰め込まれていると思います」
−曽我部恵一さんが手がける音楽はもう聞かれましたか?
「まだ全ての楽曲を聴いたわけではないのですが、一部を聴かせてもらって、役に入って歌ったらグッときそうだなと感じました。楽しみです」
ファンの方に連れて行ってもらっている。毎回ありがとうって思います
−『東京輪舞』『アメリカン・サイコ』『ジン・ロック・ライム』とパルコのプロデュース作品では挑戦的な作品に挑まれていますね。
「幅広いものをやらせてもらっていますね。どっぷり浸かりすぎちゃったので、他の場所に行ったらオドオドしちゃいそう(笑)。自分がやりたいことも含めていつもお話しさせてもらっていて、たくさん甘えさせてもらっています」
−表現者としてHey! Say! JUMPのメンバーの皆さんから影響を受けることはありますか。
「常にあります。例えばミュージックビデオを撮っていても、自分だったらどうするかなと悩むものを難なくやっている姿を見て、“こういう表現方法があるのか”と思うことがあるんです。先日撮ったミュージックビデオでもそう感じました。いつもいっぱい刺激をもらっています」
−本作は東京PARCO劇場での上演のほか、広島・愛知・大阪・福岡公演が行われます。作品をさまざまな場所に持っていける楽しみもありますね。
「初めての劇場もあるので楽しみです。自分が作品を持っていくというより、ファンの方に連れて行ってもらっていると思っているので、毎回ありがとうって思います」

−最後に本作を楽しみに待っている方へメッセージをお願いします。
「何も考えず、楽しみに来てください。生と死、愛というのは誰にでもあるものだから、こういう形もあるんだなと、観てもらえれば嬉しいです。それぞれ好きなように捉えてもらって良いですし、楽しんで欲しいです。時間を使っていつも観ていただいて、ありがとうございます。舞台が興味ないよという人は、顔だけ見に来てください(笑)」
PARCO PRODUCE 2026『ジン・ロック・ライム』は2026年3月10日(火)から3月31日(火)までPARCO劇場にて上演。4月4日(土)・5日(日)に広島・JMSアステールプラザ 大ホール、4月11日(土)・12日(日)に愛知・東海市芸術劇場 大ホール、4月18日(土)・19日(日)に大阪・SkyシアターMBS、4月25日(土)・26日(日)に福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホールにて上演されます。公式HPはこちら
芸能界を舞台にした設定なので、リアルで苦しくなる作品なのではないかと思ったのですが、そもそも髙木さんの想いから本作が始まっている作品なのだと伺い、板の上に自分自身を曝け出す覚悟を感じました。取材中も、オープンに、飾らずにご自身の思いを言葉にしてくださる姿が印象的でした。


















