「童心に帰る」という言葉がありますが、心の健康を保つためには子供の頃の心を取り戻すことも時には必要。「子供時代のように最近はしゃいだのはいつだっけ?」とお疲れモードの方におすすめしたいのが、2018年公開のミュージカル映画『メリー・ポピンズ リターンズ』です。
1964年に公開されたディズニー映画『メリー・ポピンズ』の続編であるこの作品は、1作目に乳母のメリー・ポピンズにお世話をされた子供たちが大人になってからのストーリーを描いています。楽しい空想の世界の中にほろっと泣かされるような優しい言葉が隠れていて、大人の方にこそ楽しんでもらいたい作品です。
01 コロナ禍と重なる作品の時代背景
作品の舞台は、1作目から25年が経った大恐慌時代のロンドン。1作目では子供だったマイケル・バンクスは、家計に苦しんだ末に大切な家を抵当に融資を受けていて、姉のジェーン・バンクスは貧しい労働者のために組合活動をしていました。霧が多いロンドンの空模様と相まって、作品の中には不景気の先行き不安な空気がちらつきます。
見通しが悪くて何となく不安になってしまうような雰囲気は、まるで今のコロナ禍のようです。『メリー・ポピンズ』というと幻想的で非日常的な世界を連想するかもしれませんが、続編は作品の時代背景が現代と重なり、共感できる部分があります。
02 毎日を楽しくするためのコツが詰まった、教科書のような作品
マイケルは愛する妻をなくして、姉のサポート受けながら1人で3人の子供を育てています。昔のバンクス家は家族愛であふれていましたが、マイケルは幸せな生活を妻と共に失い、妻がいない現実を受け止めきれずにいました。
そこに現れたのが、メリー・ポピンズ。現実を受け入れ、急ぎ足で大人になろうとする子供たちに、メリーは歌と魔法で想像力の大切さを教えました。子供たちが想像力を取り戻したおかげで、マイケルの心にも幼いころの楽しい気持ちがよみがえります。
劇中では「想像できる?」、「本は表紙じゃわからない」、「小さな火を灯せ」など楽しいミュージカルナンバーがたくさん出てきますが、そのどれもが想像力とメッセージ性にあふれた歌詞で、聴くと元気が湧いてきますよ。想像力を忘れた大人に「毎日を楽しくするコツ」を教えてくれるような、まるで教科書のような作品です。
大恐慌時代のロンドンを舞台に、人生の喜びや家族との絆の大切さを教えてくれるディズニーのミュージカル映画『メリー・ポピンズ リターンズ』。舞台のような楽しいミュージカルシーンは、曲が終わるたびに思わず拍手したくなります。
メリーをよく知る点灯夫のジャック役をミュージカル『ハミルトン』で知られるリン=マニュエル・ミランダが演じていたり、メリーの日本語吹き替え声優には舞台版『メリー・ポピンズ』で同役を務めた平原綾香さんが起用されていたり、ミュージカルファンにはたまらないキャスティングも必見。
なんと、前作でバート役を演じたディック・ヴァン・ダイクも出演していますよ。遊び心と前向きな言葉であふれた『メリー・ポピンズ リターンズ』、ぜひ童心に帰ってワクワクしながらお楽しみください。