名作ミュージカルとして世界で上演され続ける『ウエスト・サイド・ストーリー』。日本では2019年から2020年にかけてIHIステージアラウンド東京でロングラン公演が行われ、2021年にはスティーヴン・スピルバーグ監督の映画公開が予定されています。60年以上に渡って愛され続ける作品の魅力と、演出の変化を探ります。
アメリカ版ロミオとジュリエット!ダンスと美しいバルコニーシーンに注目!
ニューヨークを舞台に描かれた本作は、シェイクスピアの悲劇『ロミオとジュリエット』に着想を得て作られたミュージカル。1950年代、移民たちが住んでいたウエストサイドを舞台に少年たちの争いと、敵同士であるトニーとマリアの“許されざる恋”を描いた作品です。女性たちの圧巻のダンスが魅力の楽曲「America」などは、作品を観たことがなくとも聞いたことはあるという方も多いかもしれません。その他にも大勢のキャストによるダンスシーンが多いのは、『ウエスト・サイド・ストーリー』の見所の1つと言えます。
また、『ロミオとジュリエット』と同様に『ウエスト・サイド・ストーリー』でもトニーとマリアがバルコニーで愛を誓い合うシーンがあります。その時に歌うのが名曲「Tonight」。ロマンティックなメロディーと2人のハーモニーが美しく、ステージが360度回転するIHIステージアラウンド東京での公演では星空の映像の中に階段が浮かび上がっていくという映画のような演出が2人の恋心を見事に表現していました。
ブロードウェイ新演出では雨が降る?!進化し続ける『ウエスト・サイド・ストーリー』
ブロードウェイで1957年に公開した『ウエスト・サイド・ストーリー』はロンドン公演や実写映画化を経て世界中から人気を獲得しました。2019年にはベルギー出身の芸術監督イヴォ・ヴァン・ホーヴェによるリバイバル公演がブロードウェイで開幕。俳優の表情を映し出す映像演出や雨が降り注ぐ演出など大胆な進化が話題を呼びました。
2021年には、『インディ・ジョーンズ』や『ジュラシック・パーク』、『E.T.』『レディ・プレイヤー1』などを生み出したスティーヴン・スピルバーグが『ウエスト・サイド・ストーリー』を映画化。12月に公開が予定されています。スピルバーグが王道ミュージカル作品をどう演出するのか。今から世界中の期待が集まっている作品です。
IHIステージアラウンドの公演は来日公演と日本キャスト版Season1〜3が予定されていましたが、Season3公演は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。日本でも再び『ウエスト・サイド・ストーリー』に出会えることを願うばかりです。まずはスピルバーグ監督の映画の公開を楽しみに待ちましょう。