演劇作品を探していると、「旗揚げ公演」というキーワードを目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。今回は「旗揚げ」という言葉の意味と、演劇以外に使用されるシーンをご紹介。また、様々な劇団の旗揚げ公演を調べていきます。

劇団結成1作目の作品が「旗揚げ公演」

劇団が新たに結成することを「旗揚げ」と言い、1作目の公演を「旗揚げ公演」と呼びます。政党を新たに作る際などにも「旗揚げ」という言葉が使われています。かつては武士たちが家紋などの旗を掲げて戦場に向かうことを指したそう。誰が味方で誰が敵か、誰が手柄をあげたのかを分かりやすくするため、旗が使われたのですね。これは日本だけではなく、世界共通のよう。ドラクロアの絵画「民衆を導く自由の女神」を思い浮かべて頂くとイメージしやすいのではないでしょうか。ミュージカル好きの方は、『レ・ミゼラブル』で旗を掲げるシーンを思い出す方も多いかもしれません。

各劇団の旗揚げ公演を調べてみた!

今や人気の劇団にも、かつて「旗揚げ公演」があったはず。近年では『ライオンキング』や『アナと雪の女王』などのディズニー作品で知られる劇団四季の旗揚げ公演は、『アルデール又は聖女』というフランスの劇作家ジャン・アヌイの作品(1954年)。元々劇団四季はジャン・アヌイやジャン・ジロドゥの作品を中心に上演していました。『キャッツ』は1983年に、『オペラ座の怪人』は1988年に上演を開始。ディズニー作品である『ライオンキング』は創立45周年である1998年に上演が始まりました。

古田新太さんを始め個性的なキャストが勢揃いしている劇団☆新感線の旗揚げ公演は、1980年つかこうへいさん作の『熱海殺人事件』。当時実家の帰省に新幹線を使っていたという理由で付けられた劇団名は、日本中に知れ渡ることとなりました。

『フェイクスピア』で読売演劇大賞・上半期のベスト5にも選ばれた野田秀樹さん率いるNODA・MAP(野田地図)の旗揚げ公演は、1994年の『キル』という作品。“モンゴルの英雄・ジンギスカンの侵略と制圧の戦いを、ファッション戦争に見立てた”という、既に野田さん節全開の作品。1997年の再演には堤真一さん・深津絵里さん・古田新太さんらが出演し、2007年の再演では妻夫木聡さん・広末涼子さん・勝村政信さんらが出演されています。

Yurika

旗揚げ公演は劇団の歴史、そして演劇界の歴史が新たに始まる瞬間。その劇団がゆくゆくは日本の演劇界を背負う存在になるかもしれません。旗揚げ公演でお気に入りの劇団が見つかったら、ぜひ続けて応援してみてはいかがでしょうか。