ミュージカル映画の中でも人気の高い作品『ラ・ラ・ランド』。ロサンゼルスに向かう大渋滞の中、派手なダンスパフォーマンスで幕を開けるオープニング曲「Another Day of Sun」は“ザ・ミュージカル”を味わえる圧巻のシーン!実際に道を封鎖して撮影されたこの楽曲に、どんな意味が込められているのか。歌詞を考察してみましょう!

全ての “夢を追う人”のためのテーマソング

「Another Day of Sun」の冒頭では、田舎の恋人と別れ、映画俳優になるために上京するというストーリーが描かれています。訳するならば、“私はあの日のことを考えている。彼をサンタフェ西部のグレイハウンド駅に置いてきた(日のこと)”。

I think about that day

I left him at a Greyhound station

West of Santa Fe

-Another Day of Sun

サンタフェとはニューメキシコ州にある街のことで、ロサンゼルスまで大体車で18時間ほど。函館駅や広島駅から東京駅まで車で行くと大体20時間ほどなので、イメージがつきやすいのではないでしょうか。この楽曲はロサンゼルスに向かうハイウェイで披露され、主人公のミアも俳優を目指す1人の女性です。ただミアはネヴァダ州の出身のため、この楽曲の主人公は別の人。ミアの状況と重なりつつも、夢を追う全ての人のためのテーマソングとなっています。

どんなに辛くても、また別の朝がやってくる

「Another Day of Sun」のサビでは、“丘を登って高みに手を伸ばし、輝く全ての光を追いかけていく”と語られます。夢を追いかける人の姿にも見えますし、主人公であるミアとセブがグリフィス天文台に忍び込む姿や丘の上で踊る姿にも重なります。

Climb these hills

I’m reaching for the heights

And chasing all the lights that shine

-Another Day of Sun

俳優を目指すミアとピアニストのセブは、夢を追いかけながらもなかなか思い通りにいきません。また、セブが自分の求める方向性とは異なるバンドで成功したことから、すれ違い始める二人。本作は二人の恋愛という視点から観れば悲劇であり、夢を追う人々という視点から観ればハッピーエンドと言えるでしょう。そんなリアルな結末が、本作の魅力とも言えます。「Another Day of Sun」のサビ最後では、そんな映画を象徴するようなフレーズがあります。

And when they let you down

You’ll get up off the ground

‘Cause morning rolls around

And it’s another day of sun

-Another Day of Sun

“誰かに傷つけられた時、あなたはまた立ち上がればいい。だって朝はまた巡ってきて、それは別の晴れた日なんだから”。どんなに辛い日があっても、きっとそれとは「別の」日、天気も気持ちも晴れ渡る日がやってくる。そんな未来への希望を持たせてくれる楽曲です。

Yurika

この曲を改めて聞いてみると、暗いニュースの続く今の世の中にも当てはまる楽曲だなと感じました。夢半ばでもがいている人にとっても、現状にもやもやしている人にとっても、とても刺さる歌詞ではないでしょうか。