東京・町田市の稽古場を拠点に、オリジナルミュージカルを創作・上演してきた、音楽座ミュージカル。まっすぐな日本語歌詞と美しいメロディが溶け合った、こころに沁みる作品群は多くの人の心を掴んで離しません。今回は音楽座ミュージカルの魅力や作品ラインナップを楽しめる配信サービスをご紹介します。

進化を続ける日本ミュージカルの先駆け

音楽座ミュージカルが旗揚げしたのは1987年。翻訳された海外ミュージカルがまだまだ主流であった時代に、言葉と音楽とダンスが一体となった生演奏のミュージカル作品を目指し、第1作となる『シャボン玉とんだ宇宙 (ソラ)までとんだ』を上演しました。日本人作家の小説や漫画の舞台化や、当時としては世界で唯一の独占ミュージカル化権を獲得した『リトルプリンス(星の王子さま)』で注目を集めました。

1996年に一度解散するも、独創的な作品群への人気は根強く、2004年に再結成。現在までオリジナル作品の創作・上演を続けています。

日本のミュージカル界を牽引する劇団の一つとして、新たな取り組みを積極的に導入してきた実績も。彼らの実験室は、町田市にある稽古場・芹ヶ谷スタジオ。その稽古場をぐるりと囲んだ客席で俳優の熱量を体感できる「ラボシアター」や、VRを融合させた観客参加型ミュージカル「リトルプリンスVR」などを通して、没入感ある観劇体験を探求しています。

過去作品は会員限定で毎月配信中!気になる作品ラインナップは?

音楽座ミュージカルが舞台公演を行うのは年に1〜3作品ほど。数あるレパートリーのなかで最も再演されているものは『リトルプリンス』と言えるでしょう。

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作『星の王子さま』で描かれる愛や死生観といった哲学的なテーマ。沁み入るメロディによって名作文学の世界がすっとこころに浸透します。作品を象徴するナンバー「アストラル・ジャーニー」では、「はてしない宇宙(ソラ)へ 出会いを求めて ぼくは旅立つ」と歌い、地球に降り立った王子の純粋な期待感を表現。「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。」(内藤濯訳)という、原作者の献辞のように、純真な心を取り戻せる本作は砂漠に湧いた水のような尊さを感じさせます。

音楽座ミュージカル「リトルプリンス」 2011年公演ダイジェスト

劇場公演がない今の時期にも、琴線に触れる音楽座ミュージカルを楽しむ方法が!公式ファンクラブの音楽座メイトでは、会員特典として過去の舞台映像を配信中。なんと、月替わりで作品レパートリーを鑑賞することができるのです!7月の配信は、この秋、明日海りおさんが主演することで話題沸騰の『マドモアゼル・モーツァルト』。1993年公演の舞台映像でひと足早く予習してみてはいかがでしょうか?

そのほかにも、『泣かないで』『メトロに乗って』、最新作『SUNDAY(サンデイ)』などなど・・・音楽座ミュージカルの代表作は絞りきれないほど、すべてが珠玉の作品です。音楽座ミュージカル公式ホームページでは全作品のあらすじや舞台写真を見ることができるので、ぜひ一度覗いてみてください。

Sasha

感情の機微に重点を置き、日頃から心と身体のトレーニングを積むストイックな劇団員が創り上げる、音楽座ミュージカルの上質な舞台。その根底に流れる精神性や作品のオリジナリティは高く評価され、これまでに文化庁芸術祭賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞など、数多くの演劇賞を受賞しています。