2022年に、ミュージカル『メリー・ポピンズ』の再演が決定!バンクス家のいたずら姉弟・ジェーンとマイケルのもとに不思議なナニー(乳母)のメリー・ポピンズがやってくるという本作は、2018年に約96回にわたる日本初公演を大盛況で納めました。2度目の日本公演に先駆け、ミュージカル『メリー・ポピンズ』の魅力を3つご紹介します。

【魅力①】原作映画に劣らない魔法のステージ

原作のディズニー映画『メリー・ポピンズ』は実写とアニメーションを融合させたマジカルな作品でしたが、舞台版では原作映画に劣らない魔法がステージ上に次々と起こります。ジェーンとマイケルが住むバンクス家はまるで仕掛け絵本のようになっていて、扉を開けると豪華なお屋敷が登場。

メリーと彼女と親しいなんでも屋のバートが歌う「最高のホリデイ」のシーンでは、公園の彫像が踊りだして子どもたちはびっくり。ステージから次々と出てくる魔法に満ちた舞台装置と演出は、さながらどんな物でも取り出せるメリーの不思議なカバンのようです。

物語の終盤では、映画でも有名なメリーが傘で空を飛ぶシーンを歌舞伎の「宙乗り」という技法で再現しています。本作の見せ場であるメリーの飛行シーンの距離は、実は日本公演が最長なのだそう。

2018年のプレスコール映像

【魅力②】童心とは無縁の大人にこそふさわしいストーリー

『メリー・ポピンズ』と聞くと子ども向けの作品という印象があるかもしれませんが、ミュージカルは大人の心にも響くストーリーになっていてジェーンとマイケルだけではなく彼らの両親にもスポットが当てられています。

父のジョージは幼少期に厳しい乳母に育てられ、規律と秩序を重んじる銀行員。子供たちが遊びに誘っても、ジョージは仕事でそれどころじゃありません。

母のウィニフレッドは映画版では勇ましい女性活動家でしたが、舞台版では元女優。仕事を辞めて理想の妻と母になろうと努力しますが、夫や子供たちが機嫌を損ねると、彼らが自分に失望しているのではと思い込み家族に心を開けません。幸せな家庭に見えながらも、バンクス家は家族それぞれの距離がどこかぎこちないのです。

メリーは子どもたちとの交流を通じて、バンクス夫婦に対しても「大人になっても子供の頃の想像力を忘れないように」と説くのでした。原作者のP.L.トラヴァースが「わたしは子どものために小説を書いたことは一度もない」という言葉を遺していますが、ミュージカル版『メリー・ポピンズ』も決して子ども向けではなく、大人が童心に返れるストーリーです。

【魅力③】おなじみのキャストと新キャストに期待大

2022年公演では、初演でお馴染みだったメリー役の濱田めぐみさん、バート役の大貫勇輔さんらに加え、新規キャストが追加されることが明らかになりました。その中でも注目すべきは新メリー役の笹本玲奈さんと新バート役の小野田龍之介さんです。

笹本さんは気品あふれるイメージと、柔らかい歌声がメリーにピッタリ。小野田さんは、初演ではバンクス家の使用人・ロバートソン・アイ役でした。役を変えての2度目の出演。ウィットに富んだバートを小野田さんがどのように演じるのか、今から期待せずにはいられません。

さきこ

どんなに摩訶不思議な事が起きようと、涼しい顔で「説明はいたしません」と言ってのける何もかもパーフェクトなメリー・ポピンズ。「チム・チム・チェリー」をはじめとする名曲や迫力のダンスシーンなど見どころはたくさんあるのですが、まずはメリーのように説明は後回しにして、舞台の魅力を劇場で実感してみてはいかがでしょうか?ミュージカル『メリー・ポピンズ』は2022年3月から5月まで東京・渋谷の東急シアターオーブで、同年5月から6月まで大阪・梅田芸術劇場で上演予定です。