世界中で話題を集めた、異色の青春ゾンビミュージカル映画『アナと世界の終わり』。主人公は女子高生アナ。彼女が歌って踊る姿は、まさに青春ミュージカルそのもの! しかし、そんなアナの背後で繰り広げられている異様な光景…。なんとそこにはゾンビが!今回はその気になる内容に迫っていきます。

冴えない日々にうんざり! 広い世界を夢見る女子高生

イギリスの田舎町に住む、高校生のアナ。小さい時に母を亡くし、父とふたり暮らし。学校では、絶妙にダサい幼馴染のジョンや嫌がらせをヤメない元彼・ニック、そのほか冴えない友人たちと、パッとしない生活に嫌気がさしていました。

ある日のこと、アナに密かに想いを寄せるジョンと、父の送迎で学校に向かいます。その車中、アナが父に内緒で貯めている航空券代について、ジョンが口を滑らせてしまいました。大学に進学をせず、広い世界を見たいアナ。それを知った父は激怒し、学校の前でアナと喧嘩別れをしてしまいます。

落ち込んでいたアナでしたが、ジョンに励まされ少しだけ元気に。翌朝、すっかり明るさを取り戻したアナは、外がなにやら騒がしいことに気付いていません。希望に満ち溢れた顔で、アナは歌い、踊りながら学校に向かいます。前向きな歌詞を口ずさみウキウキしているアナとジョン。

そんなふたりの前に倒れ込んできたひとりの男性。助けようと近づいてみると、なんとその男性は血まみれのゾンビだった!

迫りくるゾンビに、歌って踊って派手に立ち向かう​​

突如あらわれたゾンビに驚くアナとジョンでしたが、なんとか危機を回避。アルバイト先のボーリング場に避難したふたりは、友人らと生き残りをかけゾンビたちと戦います。室内にいたゾンビたちを倒したアナたち。しかし、会えない家族や外の凄まじい光景を見て、絶望感に包まれます。その悲しい気持ちを歌う彼らに心がぎゅっと締め付けられる一幕です。

翌朝、喧嘩別れをした父にどうしても会いたいアナは、友人たちと学校へと向かうことに。その道中、元彼のニック集団と遭遇します。武器を身につけ戦闘態勢バッチリのニック。かっこいい音楽と共にゾンビに立ち向かいます。容赦なくゾンビをやっつけていくニックたちの姿は、スカッとするシーンです!

ようやく学校にたどり着いたアナと友人たち。父とは無事に会えるのか? 友人たちと町を抜け出せるのか? 最後まで目が離せないストーリーです。

ゾンビ映画ファンも楽しめる! 見どころ満載のミュージカル映画

当時、世界各国のファンタスティック映画祭で上映され、世界中の映画ファンを虜にした本作。海外の批評家から「『ショーン・オブ・ザ・デッド』と『ラ・ラ・ランド』の出会い!」とも評されたそうです。ゾンビ映画とミュージカル映画の融合を果たした今作には、それぞれの見どころが沢山つまっています。

まず、ゾンビが登場するいくつかのシーン、ゾンビ映画が好きな人なら「見たことがあるぞ」と思わせるオマージュがちりばめられています。そして、アナと友人らのそれぞれの抱える悩みや葛藤。閉ざされた町で、平凡にやり過ごし、外への憧れを抱くアナ。一度は感じたことのあるその感情に、共感せずにはいられません。また、友人たちの心を映し出すミュージカルのシリアスなシーンも、必見!

そしてなんと言っても、ミュージカル映画ならではの楽曲が満載! 食堂で、歌って踊るシーンで使われている「Hollywood Ending」は、これぞ「青春ミュージカルの王道!」とも言える音楽。お気に入りの一曲を見つけるのもミュージカル映画の醍醐味ではないでしょうか。

菜梨 みどり

青春ゾンビミュージカル映画!?と目を疑い想像もつきませんでしたが、見てみるとなぜか癖になる。マイケル・ジャクソンの「スリラー」さながら、ゾンビが踊り出すという展開ではないのも、なんだかまた良い。悩める乙女VSゾンビ、鬱々とする日々が続くいま、主人公の気持ちとリンクし、ゾンビを倒して広い世界へと抜け出そうとするその姿に元気をもらえる作品です。