恋をしたとき、皆さんはどんな感情をいだきますか?ときめき、切なさ、舞い上がるような嬉しさ。でもそれだけではないですよね。恋には少し仄暗い思いも必ずあるはず。『ノートルダムの鐘』ではさまざまな愛を通して人間讃歌が描かれます。ストーリー、音楽ともに評価が高く、実写映画化も決定している名作『ノートルダムの鐘』。今回はその魅力をお伝えしてきます!

人々は言う「鐘をつくのは人間か?怪物か?」

15世紀のパリ。ノートルダム大聖堂の鐘が街中に今日も響き渡ります。聖堂の鐘突き塔には一人の男が住んでいますが、市民は誰もそれを知りません。名前はカジモド。「出来損ない」を意味しています。

容姿も醜く、背中の曲がったいわゆるせむし男である彼は、幼い頃聖職者フロローに引き取られて以降、その容姿のせいで聖堂に閉じ込められていました。けれどカジモドは純粋で心優しきただの青年。年に一度の祭の日、どうしても我慢できなくなった彼は塔を抜け出します。そして美しいジプシーの踊り子であるエスメラルダに出会い、恋をするのです。

奇しくもフロローも、聖職者でありながらエスメラルダに歪な恋心を抱いていました。彼はエスメラルダを悪魔だと言い張り、護衛隊隊長のフィーバスに捜索と処罰を命じます。しかしフィーバスも、エスメラルダの魅力に取り憑かれていたのです。この三人の愛の行方と、エスメラルダの逃亡劇の結末は…?

愛することを初めて知った青年

この物語のキーワードは「愛」。三者三様の愛はどれも魅力的ですが、やはり一番胸にぐっと来るのは、カジモドの愛でしょう。二十年来、大聖堂に閉じ込められ、初めて広い世界へと踏み出した彼が、初めての恋をする。容姿に自信がなく、最初は動揺していた彼は、次第に不器用な恋の形を私たちに見せてくれます。物語が進むにつれて、ときには涙するような彼の心情が、繊細に描かれています。

ときめきや、切なさ等を通して描かれるカジモドの愛が、恋の「明」の部分なのだとしたら、「暗」の部分を描いたのはフロローの愛です。彼の愛は執念的で、「手に入らないのであれば処刑してしまえ」と、パリ中を焼き尽くす勢いで彼女を探します。けれどこれも愛の一側面であることは確かです。物語を通して描かれる三つの愛の形は、総じてあまりにリアルで、だからこそ私たちの心を揺さぶるのだと思います。

Asa

ミュージカルアニメ『ノートルダムの鐘』の主人公カジモド日本語吹き替えを担当したのは、あの石丸幹二さん!他にも吹き替えは名だたるミュージカル俳優たちの名前が…!カジモドのやさしく清い心にぴったりな伸びやかな歌声を、ぜひ一度聞いてみては?また、『ノートルダムの鐘』は2022年5月より、劇団四季の横浜公演が決定しています。ファン待望の再演を、お見逃しなく!