宝塚歌劇団は「女性のみで構成された歌劇団」として、長い歴史を歩んできました。退団後には女優としてテレビドラマなどに出演する方も増え、舞台ファン以外にも認知度が広がっているといえます。華やかなイメージがある一方で、劇団の持つ独特の雰囲気に敷居の高さを感じる方も多いかもしれません。そこで今回は、宝塚歌劇団の成り立ちに触れながら、人々を楽しませるエンターテインメントとしての魅力をお伝えします。
宝塚歌劇団ってどんなもの?
1914年、兵庫県宝塚市に誕生した宝塚歌劇団。団員は全て女性であり、それぞれ男性役を「男役」、女性役を「娘役」と呼びます。現在は宝塚大劇場と東京宝塚劇場をメインに、組ごとに公演を実施。当初は花・月の2組から始まり、雪・星・宙(そら)組と増設されてきました。また演技派揃いの専科は、組の枠を超えて幅広く出演し、宝塚歌劇団を支えています。
宝塚に入団するためには、宝塚音楽学校を卒業しなければなりません。厳しい受験戦争や、合格発表日の様子をニュースで見たこともあるのではないでしょうか?卒業生たちは新人として各組に配属され、男役・娘役にわかれて活動していきます。
宝塚オリジナルの脚本から、海外のミュージカル、日本の小説・漫画・アニメを題材とした作品まで、公演内容は実に多彩。特に『エリザベート』、『ベルサイユのばら』のように定期的に再演される人気作品は、宝塚の入門編としてもおすすめです。
“女性のみ”だからできる魅せ方
宝塚歌劇団には男性の役者がいないため、女性が男性役を演じます。男性ならではのパワフルな声音や動作による演出ができない、という面で、一見不利に思えるかもしれません。しかし、そこを逆手に取ることで“タカラヅカ”の世界が確立されているといえます。舞台映えを意識した濃いメイクは、男性になりきる武器に。また、体格をカバーするように俊敏な動きを取り入れ、中性的な男性像を創り出します。
ラブシーンもあえて大胆に演じることが、観客をドキドキさせるポイントです。同時に、娘役との掛け合いには、女性同士だからこその繊細さが窺えます。男役のハスキーボイスと娘役のハイトーンボイスによるデュエットも必聴。女性にしかできない表現を目指しながら、性別に縛られない演劇の可能性も追い求める。宝塚歌劇団は100年の歴史を経てなお、強い輝きを放ち続けています。
宝塚にあまり詳しくなかった筆者ですが、2014年の花組公演『エリザベート』で、見事にその世界観にノックアウト。男役のトップに就任した明日海りおさんを推しとして、何度も劇場に足を運びました。そして、これを機にミュージカルへの興味が深まり、観劇を趣味のひとつとするように。宝塚歌劇団は、確かに特殊な劇団といえるかもしれません。しかし、常に進化しながら、演劇の面白さと熱量を伝えてくれる場所でもあります。観劇好きの方はもちろん、初心者も、唯一無二の煌びやかな舞台へ導かれてみませんか?