演劇やミュージカルを見たとき、幕が下りたのに何度も出演者が登場する独特な挨拶に疑問を感じたことはありませんか?それは、「カーテンコール」という舞台作品特有の挨拶。ファンの間では「カテコ」と呼ばれています。実はこのカーテンコール、挨拶が目的というだけではなくて、舞台と観客が一体になれる最高のひとときなのです。カーテンコールの意味や、作品ごとに違うユニークな実施方法を紹介します。

カーテンコールとは?

カーテンコールとは、舞台の終演後に観客が拍手を送り、出演者を舞台へ呼び戻すことです。呼び戻された出演者たちは、観客からの拍手喝采にお辞儀などの挨拶をして応えます。コンサートの終演後に行われる「アンコール」にも似ていますが、カーテンコールは出演者の再登場をリクエストするもので、アンコールは再演奏をリクエストするもの。カーテンコールでは一般的に挨拶のみを行いますが、作品によっては劇中のミュージカルナンバーを簡単に披露することもあります。

複数回行う意味とは?

カーテンコールに対する疑問としてよく聞くのが、「なぜあんなに何回も行うのか」。出演者が舞台に再登場したと思いきや再びはけて、観客からの鳴り止まない拍手を受けてまた出演者が登場して…というやりとりが3回以上続くことも。

基本的に、カーテンコールは観客からの拍手が続く限り複数回繰り返すもの。観客の拍手は、作品への敬意と称賛の証です。観客は舞台を楽しませてくれた出演者を労うため、出演者は観客に感謝を伝えるために図るコミュニケーションが、カーテンコールと言えます。千秋楽や貸切公演のような特別な公演では、出演者から観客への感謝の言葉が送られることもあります。

観客を楽しませる工夫も

作品によっては、ただ拍手するだけではない変わったカーテンコールを実施しています。ノリノリなダンスナンバーが見どころの『マンマ・ミーア』、『キンキー・ブーツ』では、観客が座席から立ち上がり、出演者と一緒に劇中ナンバーを踊るというカーテンコールが作品の醍醐味です。

季節のイベントに合わせた特別仕様のカーテンコールをする作品もあります。2021年12月24日と25日に上演された『キャッツ』の福岡公演では、クリスマスの特別カーテンコールを実施。猫たちから観客へ、クリスマスソングを歌うプレゼントが贈られました。

舞台作品は写真撮影が禁止されているものがほとんどですが、なかにはカーテンコールのみ撮影OKにしている作品も。2022年2月に上演された『SINGIN’ IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』の東京公演は、カーテンコールはフラッシュを使わない撮影が可能でした。観客を楽しませてくれるカーテンコールは、特別な思い出を持ち帰ることができるので忘れられない観劇になりますね。

さきこ

カーテンコールは、劇場で舞台とファンが1つになれる最後の瞬間です。舞台上の俳優は、カーテンコールで客席に座る人の顔や反応をよく見るのだとか。観劇でもらった感動と感謝の気持ちは、カーテンコールでしっかりと舞台に返したいものですね。