コロナ禍による2020年の公演中止を経て、2年越しに待望の日本版初上演を迎えるミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』。「2年間ずっと頭の片隅にこの作品のことがあった」と語った主演の薮宏太さん始め、カンパニー全員の上演実現への喜びに満ちたゲネプロリポートをお届けします!

ミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの処女作

『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキング』などの作詞を手掛けたティム・ライス。誰もが知る名作を生み出した2人がまだ学生時代だった頃、初めてタッグを組んだミュージカルが『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』です。

本作は元々、ある学校から生徒たちが歌う20分ほどのオラトリオ(物語性のある宗教曲)を依頼されたことから始まりました。旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに作られ、エジンバラ演劇祭を経てフル・ミュージカルに成長。1982年にトニー賞で7部門にノミネートされています。

数奇な運命を辿るジョセフの人生を表現するため、ロック、バラード、シャンソン、カントリー、ロカビリー…と、実に多彩で様々なジャンルの楽曲が使用されているのも本作の特徴。天才作曲家の才能が存分に発揮された作品と言えます。

度重なる困難の中でも、再起し続けるジョセフ

現代のある家。眠れない子供たちの前に突然不思議な女性ナレーター(平野綾、シルビア・グラブのWキャスト)が現れ、過去の物語を語り始めます。それは、旧約聖書の「ジョセフの物語」。

カナンの地に住むジョセフ(薮宏太)は、12人兄弟の11番目。父ジェイコブの一番のお気に入りでした。ある日、父からジョセフだけにカラフルなコート(テクニカラー・ドリームコート)が授けられます。しかしこれがきっかけで11人の兄弟からの妬みを買い、策を講じられて奴隷として売り払われてしまいます。

提供:松竹

奴隷としてエジプトで暮らすことになったジョセフ。持ち前の真面目さで献身的に仕えるうち、主人に信頼されていくようになります。しかし、主人の妻から一方的に想いを寄せられたことがきっかけで、投獄されることに。

再び困難に陥ったジョセフですが、 “夢を読み解く”能力を生かして牢獄でも存在感を見せていきます。ついにはエジプト国王に仕える立場にまで登り詰めますが、そこにかつて自分を売り飛ばした兄弟たちが現れて…。

大迫力のダンスシーンも!絵本のような世界観が魅力

ナレーターが子供たちに向けて、「あなたにとても似ている夢追い人の物語」だと歌いかけて始まる本作品。案内人として物語を解説してくれるナレーターの存在により、日本人にはあまり馴染みのない聖書の物語でも、絵本のように分かりやすく観劇することができます。

見どころは、大勢のキャストによる大迫力のダンスナンバー。振付とステージングを務めるTETSUHARUさんのセンスが光ります。TETSUHARUさんは、映画版も大きな話題になった『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』の日本版演出やミュージカル『刀剣乱舞』振付、SMAPやAKB48などJ-POP楽曲でも知られる振付師。観客も手拍子で参加できる、楽しいダンスシーンが繰り広げられます。

また、キャラクターたちの多彩な衣装替えも印象的。白いシンプルな衣装から、カナン、エジプトと場所と共にどう変化していくのか、是非、衣装の変化も楽しみに観劇してみてください。

提供:松竹

幅広いスタイルの難曲に挑戦!主演・薮宏太さんが2年間積み上げてきたものとは?

アンドリュー・ロイド=ウェバーの処女作ということで、楽曲を楽しみに観劇される方も多いのではないでしょうか。全編音楽の本作のラストには、全曲をメドレーで楽しめる場面が用意されています。繋げて聴くと、改めて本作の楽曲のジャンルの幅広さに驚かされます。

ほとんど歌いっぱなしのナレーター役を務めるシルビア・グラブさんは、自身も出演したことのある全編音楽のミュージカル『レ・ミゼラブル』と比べ、「この作品は全曲“スタイル”が違う。声色・音域が広く、今まで出演してきたミュージカル作品の中でも、かなりチャレンジングな役」だと苦労を語りました。

地声と高音との行き来など、高難度の歌唱が求められる本作。薮宏太さんは2020年の中止から今回の上演までの2年間、楽譜を見返したり、楽曲を自主練習したりして過ごしていたそう。その結果、「歌唱指導や音楽監督の先生が(自主練していたことを)気づいてくれて。偉い!と褒めてくださった」と目に見えて歌唱力が向上。低い音程で歌っていた箇所を高い音程に変更するなど、音域を広げて難曲に挑んでいます。

提供:松竹

“人を赦し、もう一度立ち上がる”再起の物語。様々な困難のある時代だからこそ、届くものが多い作品となるのではないでしょうか。『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』は4月7日(木)〜4月29日(金)に東京公演を行い、その後、愛知・大阪公演が予定されています。詳しくは公式HPから。

ミワ

限られた時間の中で、集中して作品と向き合っていたようですが、「17時ごろになるとみんな夜ご飯の話をし始めて…」と稽古場の様子を語ってくれた薮さん。「あやちゃんがウーバーイーツを見だすんだよね」(小西遼生さん)「自分の作る料理の参考にしようと思って」(平野 綾さん)と、共に食事に行けない環境ながらも、夜ご飯のメニュー決めがコミュニケーションの一環になっていたようです。