東宝演劇部が2023年夏に帝国劇場にて『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を上演することを発表しました。「マッシュ・アップ・ミュージカル」と銘打たれていますが、そもそも「マッシュアップ」とは?作品の事例と共に解説していきます。

マッシュアップとは?リミックスとの違いって?

マッシュアップは、1つの曲からボーカルを、別の曲からメロディーを取り出し、重ねて1つの曲として完成させるもの。簡単に言うと、2つ以上の曲を混ぜ合わせて1つの曲にすることです。1980年代以降、サンプラー(サンプリングした音を任意で再生出力できる機械)の普及、ハウスミュージックの台頭、ヒップホップの多様化により、マッシュアップ要素の多い作品が多くリリースされてきました。日本ではDJイベントで、マッシュアップを中心としたミックスが用いられています。

間違われやすいのが、リミックス。元の曲をそのまま使うことはマッシュアップと同じですが、リミックスは、編集して、雰囲気の違う新たなバージョンを作ることです。

違うものが組み合わさるから面白い!

マッシュアップの魅力を知ることができる作品として、人気テレビドラマシリーズの『glee』が挙げられます。『glee』では男子生徒と女子生徒によるマッシュアップ対決など、複数の曲をマッシュアップすることで楽曲が魅力的に生まれ変わることを実感するシーンがたくさんあります。


例えば、シーズン2の18話でレイチェルとクインによって歌われる「I feel pretty/unpretty」。『West Side Story』でマリアがトニーとのデートに舞い上がって歌う曲「I feel pretty」と、アメリカの女性三人組のR&BグループTLCの曲「unpretty」をマッシュアップ。「unpretty」は、整形して、メイクを頑張っても、もしそれで自分を見失ってしまうのなら、自分を醜いと感じるままでいいという内容です。2つの正反対の内容の曲が、1つになることで、外見にコンプレックスを抱える女の子たちの、美しくなりたい気持ちと、ありのままを認めたい、複雑な心の内を表しています。

ミワ

既存の有名な楽曲を多く使用する『ムーラン・ルージュ』。どのようにマッシュアップされ、魅力的な変化を遂げるのか、今から楽しみです。